耳の穴がカユクなる恋愛絵巻   

だから、すべてはたわごとですってば、タ・ワ・ゴ・ト・・・

第二夜  小学校6年
3太郎、ストーカー行為に奔る!




 
ストーカーって言葉。もう、すっかり定着していますね

 それだけストーカーが世の中に多いってことなんでしょうか?

 でも、一昔前まであんなこと当たり前っぽくありませんでしたっけ?

 好きな子の家の前まで行って、あの子の部屋の明かりを見上げながら
ため息をつく・・・

 
げた箱に 押しピン ラブレターを毎日毎日入れる

 声が聞きたくて電話番号をまわしてみて、やっぱり度胸が出ず

 
ワンコール鳴らして相手が出る前に受話器を慌てておく・・・

 ほぉらほぉら・・・書いてて3太郎、せつなくなってきましたよ

 誰だってやってた当たり前のことじゃないのかなぁ・・・

 まぁストーキングする側が大人で、しかも相手に身の危険を感じさせるかどうかが

 犯罪行為と切ない恋の差なんでしょうけど・・・



 
学校6年生のとき、クラスにとても頭のよい子がいました

 その子はK美ちゃんといいました

 とりたてて可愛いタイプでもなく美人でもなかったけど、

 控えめで清楚で黒目がちで色白の、いわば
タイプだったんですねぇ

 いつどこで、ナニがきっかけで好きになったのかは、はっきりとは憶えていませんが、

 子どもですから
目の色変えて一緒になれる機会を探っていた気がします

 以下に判りやすく、私がK美ちゃんに対して行ったストーカー的行為(無自覚)の数々を列挙してみましょう


  5月・・・家を知るために後をつけた

  6月・・・一緒に帰りたいがために、
       それほど仲良くなかった彼女の家の向かいのヤツと接近し、そいつと毎日帰った


  7月・・・彼女の通う塾(というよりも寺子屋)の話を聞きつけ、そこにもぐりこむことに成功

  9月・・・学級委員選挙に彼女が推薦されたと見るや慌てて立候補し、
       見事W当選を果たしルンルンの2学期を過ごした


 10月・・・クラス4分割で全員参加のドッヂボールチームを作ったとき、
       監督に無理グリ就任し、大して戦力にもならない
       
K美ちゃんをドラフト1位で獲得

 通年・・・あれやこれや

 う〜ん・・・

 幼い!
 
稚拙だ!
 ガキっぽい!

 クダラン!
 
何も考えていない!
 
ビジョンがない!
 
先を見ていない!
 
頭悪い!


 えぇえぇえぇえぇ。何とでもおっしゃい!なんとでも!

 子どもやモン!ガキやモン!なんも考えてへんモン!

 それだけ
純粋だったってコトじゃないですか!

 確かに「
K美ちゃんに近づく」という目標の達成にヤッキになってしまい、そのアト、を見失っていた

 というよりもどうしていいのかわからない状態に陥っていたのだ

 恋のイロハ1+1も、ましてやも知らない小学生、
 
 20年前の田舎都会のガキだったんです


 
(今もそれだけ純粋だったら、と一瞬思いましたがそうなるとホンマモンのストーカーになっているかもしれないので、思うのヤめます)

 
 でも今思うと確かにオカシイ。あんなに接近する機会があったのに、
 
 ついぞ話をした記憶がないのだ


 ・・・これはマジで
ヤバイ
 
 近づいてくるけど何も話し掛けてこないヤツ、無言でいつのまにか近づいてくるヤツ・・・

 ・・・うわ。
ストーカーやん、ワシ。カンペキに。うわー。あちゃー。たら〜・・・(汗 from 腋の下)

 けっきょく近づくだけで精一杯、話し掛ける話題もエネルギーも持ち合わせがなかった

 ああ、情けない・・・もったいない・・・

 今そんなチャンスがあったら絶対、

 速攻で 陥としてモノにしてアンナコトヤコンナコトヤ・・・ 話し掛けてお友達になってみせるのに・・・
 

 んで、その後どうなったかって?

 
K美ちゃん学級委員の任期切れと同時にこう言ったの・・・

 
「近づかんとって! 気持ち悪い!」

 ハイ、おっしゃるとーりです・・・来月の同窓会は欠席させていただきます・・・


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