RETURN OF wooch
act 2



激突!

act1で書いたように、その後の私はなにか根っ子が無くなったような不安定さで日々を過ごしていた。しかし親が逝ってしまったからといってわんわん泣いたりできる年でもないし、一応の日常生活も営まねばならない。その頃の記憶も今となってははっきりしないが、とりあえず時間に押されるまま暮らしていたようだ。
しかし、道を歩いていても、あるとき急に恐くなることが度々あった。言葉にだして「恐い・・」と呟いてしまうこともしばしば。なにがいったい恐いのだろう?・・自分でもよくわからない。反面、恐い恐いと口にだすと体の中の鼓動と一致して不思議と落ち着くのも事実だった。
そんな風にして、自分の感情と生活の折り合いをつけていたある日、私は車で買い物にでかけた。交差点での信号待ちでぼんやりとまっていると、ものすごい衝撃が襲ってきた。運転席から身体が前に飛び出そうとし、その身体をシートベルトが勢いよく座席へと引き寄せた。身体がスローモーションで鞭のように撓るのがわかった。
 原因は後続車の前方不注意による追突。警察を呼び、現場検証、病院でのレントゲン撮影、診察、さらに警察での事情聴取。これだけで午後4時から9時までかかった。もうへとへとだった。
停車中の事故だったため、こちらには過失はないという事になった(あたりまえや)事故の相手方にはなにか事故なれしたような印象をうけて不愉快になった。(なんか全然慌ててないし)
 診断の結果は頚椎捻挫ーこれは通称ムチウチ症である。私の場合、頭、肩、首がだるくてだるくてしょうがない状態であった。おまけに眼が痛くてテレビもろくに見えれないし、パソコン作業などもっての他であった。
 事故の相手方は「お見舞いにいくべきところやけど、明日から沖縄(だったかなあ?もう忘れた!)に釣りに行かねばならんので・・」と寝ぼけたことをいってくれる!なにが釣りや〜。私の怒りは頂点に達した。しかしどんなに怒っても頭首肩眼球の痛みが酷くいまいち反撃にでれない。保険関係の電話での交渉も面倒なほどだった。事故は4月半ばの事で、その頃は雨が多かったから、雨のたびに肩が背後霊でもついているかのように重苦しく起きていることさえ辛かった。そのころは雨が降るのが事前にわかるようになっていて(肩が急速に重くなるので)「カエルちゃん」の異名をとっったり、かなり神経過敏になって、いらいらしたりして友人達には「手負いの獣みたいやね〜」などといわれたりした。なにより辛かったのは、本人にとっては痛くて辛いムチウチだけど、ギブスもしていないし、一見健康そうにみえるのである。だから「なにだらだらしてんの??」みたいな世間の風?まあ、世間になんてどう思われてもいいんだけど。
事故から約4ヶ月が経とうとする今でも病院には通っている。ちなみに夜の車の運転はできない、というか自信が無い。いったいどないしてくれるねん!っていうその頃のわたしのテーマ文句は「阪神ー中日のチケットくらいもってきてくれたってえーやん」だった。いやはやまさに手負いの獣、すさんでたよね・・・なんか不幸は人を荒ませるな〜・・ホント


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