「十一夜物語」それは 自分の居場所を探しつづける大人達のための短篇寓話集。
十一の物語のそれぞれが、懐かしくも、愛すべき「ものがたりの世界」に貴方を回帰させることだろう。
二人の作者が別々に短編を執筆しながらも、トータルでひとつの世界を作り上げる試みに挑むうち、相反しつつも共鳴しあう個性のコラボレーションは、時に叙情的に時には怜悧にその世界を繰り広げる。
人の孤独、魂の在るべき場所を問いかける、不思議な、そして儚くもなつかしい世界へいざなう異色作である。
「十一夜後には『影の刻(皆既月食)』が来る。それまでに、つつがなく婚礼を済ませなければ、災いが訪れる。」
遊牧民の若者アージュヴェダの花嫁は、異部族から招いた女。皆既月食の夜まで十一夜の間、彼女が語る物語を夜毎聞くのが、異部族間婚礼の掟だった。禁忌のもと、顔も見られず、触れあうことも言葉を交わすこともできぬまま、女が語る物語だけが、アージュヴェダの魂の奥底に眠る謎を呼び覚ます。 月下の元、女が語るのは、十一の多彩な物語。やがて婚礼の進行とともに、アージュヴェダの過去が浮き彫りになってゆく。
序 | 蒼弓月の夜 | 十一夜後には影の刻がくる。アージュヴェダの婚礼の儀のはじまり。 |
第一夜 | 鬼神の少女 | 魅力的な鬼神族の少女が、その生の最期に出会ったものとは。 |
第二夜 | 剣と燕 | 廃虚の国に降り立った燕に、謎の老人が語った、呪われた物語。 |
第三夜 | 龍の来ない夜 | 恵まれぬ孤独な少女の妄想はやがてどこに着地したのだろうか。 |
第四夜 | 風の謡うたい | 風の謡うたいといわれた男が、月色の髪の少女に出遭い愛を知る。 |
第五夜 | 蝶の記憶 | 狩の達人が捉えた「蝶」は狩人を魅了し、やがて死に至らしめた。 |
第六夜 | 巫女王伝説 | 神秘的な王国に、王女の許されざる恋は何をもたらしたのか。 |
第七夜 | 十九の夏 | 成人の儀式の前夜、若者の運命を変えてしまった出来事とは・・。 |
第八夜 | 水霧 | 理想に燃える王は、その手で掴めるものしか信じはしなかったが・・。 |
第九夜 | 夢の女 | 生死の境をさまよった剛の者が、彼岸の入り口で出会った女とは。 |
第十夜 | 狼の踊り | 異邦人が訪れた夏、舞い踊る狼の幻影は何を意味するだろうか。 |
第十一夜 | 生長する影 | 急がねば、今宵もまたあの影が・・炎の向こうに男が見たものとは。 |
結 | -------- | 影の刻を前に、アージュヴェダの婚礼はいよいよ最終夜をむかえた。 |
十一夜物語は、文字どおり、「十一の物語」からなる短篇集である。
舞台は、機械化以前時代の遊牧民の集落。17才のアージュヴェダの婚礼の儀式として、十一の夜夜毎、花嫁から「ものがたり」を聞くのであるから、十一の物語の前後には、幕間的な意味あいとしてそれぞれの夜のアージュヴェダと花嫁のやり取りの部分のエピソードももりこまれている。つまり、十一の物語は、この本の「劇中劇」といってもよいものである。
そのため各話の構成は、
となってくる。
つまり、作者の、執筆作業は短編制作に加え、アージュヴェダと花嫁のエピソードの作成という二種類作業を平行させる形をとることになる。その他に、作者による後書き、作者紹介、解説文、Thanks for のページなどが掲載される。
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