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27 震災と戦災

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毎年1月17日の前後には阪神淡路大震災に関連した報道が増えますね。
死者6000人余、負傷者4万人余という数字は大きすぎてイメージしにくいかもしれませんが、被災した人たちに取材した記事や番組を通じて、一人ずつの死者負傷者がそれぞれ今の私たちと変わりのない人間であることがわかります。
あの時、現場にじかに接した人たちは、人間の命や身体がいかに脆く、人間が作り上げたモノやシステムはいかに壊れやすいものなのか、またそれを作り直すのにどれほどの手間と時間がかかるか、いやというほど思い知らされました。

ところで、神戸は震災からさらに50年前、第二次世界大戦の末期に大空襲を経験しています。
このときの被害を正確に調べるのは難しいようですが、死者数が8000人を越えるというのが定説のようです。
戦災について実体験を語れる人は少なくなっています。それでも震災後の焼け野原を目の当たりにし、16年たった今も障害をかかえる人たちと出会うことで、私たちはそれ以前よりは戦争の惨禍を想像しやすくなったように思います。

自然災害で苦しむ人をひとりでも減らそう、被害を大きくしないための手だてをみんなで考えよう。そういった動きに反対する人はいないはずなのに、一方で私たちは災害以上の被害をもたらすための道具や設備も着々と準備しているのですね。

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