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3 暴力を簡単にふるう人たち

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個人レベルで安易に暴力に訴える人たち、いわゆる粗暴犯とその周辺の人たちの性格傾向や思考パターンについて、私が知っている範囲で類型的にまとめておこうと思います。

基底にあるのは、慢性的な欲求不満感と被害者意識です。
自分の人生がうまくいっているとか、現状にほぼ満足するということができません。
そうして、自分が不幸なのは他の人たちがうまいこと立ち回っているから、当然自分が得られるはずの利得を誰かが横取りしているから、という考えています。
世の中のルールをきちんと守るのは文句を言えない負け犬のすることで、ずる賢い人や力を持った人は、ばれないように法律の裏をかいてのしあがったのだと考えています。
だから、既得権を正当に主張するために手段を選ばないのは迫害されているものの当然の権利のように考えます。
問題を解決するのに、ともかく手っ取り早く効果的に見える手段にとびつきます。
今まで何をしてもうまくいかなかった、という思いが強く、本当は自信がなくて自分の能力を信頼することができません。
それだけに、他人に欠点を指摘されたり批判されたりすると過剰に反応し、自分の全人格を否定されたかのように怒ります。
強そうに見えない相手が笑っていたり、余裕をみせたりすると、自分をばかにしていると曲解します。
ばかにされないためには強いところを見せないといけないと思い込み、弱そうな相手に対しては威嚇や挑発をくりかえします。
逆に、強そうな相手にはいつ攻撃されるかと怖くてたまらないので、表面上は恭順な態度を強調します。
ただ、それも心からの尊敬や崇拝とは関係なく、内心は相手に従うことにも鬱憤をためていきます。
ストレスのはけ口は常に弱者です。

私たちが誰かの恨みをかって暴力の標的になるとか、無差別殺傷にまきこまれるとか、レイプ被害にあうとかいった場合、加害者がこのような思考と行動原理に従っているということを、知識として持っておく必要があると思います。

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