能登・佐渡島ツーリング 3 | |||||
1996.7.19〜7.23 |
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7.21@ 夕べは畳の上で爆睡、おかげで二日間の疲れが吹き飛んだ。しかし天気はすっきりしない。予報では雨にはならないようなので、まずは安心か。朝食を終え出発の準備に取りかかる。テントを片付ける手間が要らないというのは、体力的にも時間的にも助かるが、なにしろ経費を浮かせようとするとそれを厭うことはできない。 おかげで時間だけは有効に使える。今日は一日めいっぱい佐渡島を走ることにしたい。なにしろ今回のツーリングはここが目当てだったのだから。
7:45民宿「つぶろ」を発つ。とりあえず目指すはお決まりの佐渡金山へ。国道350号の海岸線を北上、途中点在する集落を通過するが、無人島かと思うほど人がいないし、すれ違う車もない。日曜日の朝ということもあるのだろうが、いずれにしても人口がきわめて少ない。ここに住めば無線かパソコンでもないと、娯楽が無くて気が変になりそうだ。その分、人々は純朴なんだろう。 金山の近くになると人家が目立ってきて、金山の入り口あたりには先ほどの寂しさが嘘のように、ホテルや旅館が建ち並んでいる。国道から狭い生活道路へ入り込んで、曲がりくねった上り坂を走ると佐渡金山前に到着。9:00。佐渡のどこにこれだけの人が隠れていたのかと思うくらい、たくさんの観光客である。バイクも我々以外に5台ほど停まっている。さて入場券を買って地下の金山廃鉱へ入って行く。当然ながら坑道はひんやりしており、湿気を含んではいるが涼しくて快適だ。ただアップダウンの狭い通路には辟易するが。 通路には所々当時の現場を再現するためにリアルな人形や採掘の道具を動かしているが、シーズンで人が多いからいいようなものの、これが1人だけなら恐くて最後まで見れないだろう。 通路の所々にタヌキ穴といってかろうじて人1人が入れる穴があって、そこからさらに奥に金採掘のトンネルがクモの巣状に延びている。佐渡金山が全盛期には今のような照明装置もなかっただろうし、昼夜の別も分からずただ穴を掘るだけの毎日を送っていた坑夫たちの心境はいかばかりか… 佐渡島金山には無宿人や罪人が多く送られてきたそうである。彼らは何時帰れるというあてもなく、単調な作業の繰り返しの毎日だったのだろう。彼らは切り立った崖の壁に掘られた坑道に放り込まれ、一日の起きている時間のほとんどを金採掘の重労働に強制されていたという。食料だけが山上からロープで吊され渡される。穴から出ようにも外は崖っぷちで、抜け出ることは崖から墜落死することを意味する。作業をしなければ食料が補給されない。つまり一生涯穴蔵で金を掘り続けなければならないということだ。 不健康な穴蔵で病に遭い死んでいった坑夫がたくさんいたそうだ。金山公園の片隅にこうした無宿人を弔う墓標が建っていたのが、きらびやかな金とは対照的に印象深かった。 10:00金山奉行所の前で記念撮影をし、さらに佐渡島一周へ駒を進める。
11:10佐渡島の中でも絶景の一つである二ツ亀前。これは陸地から突き出たこんもりとした小山のような半島で、二匹の亀が連なっているような姿をしているのでそう名付けられたのだろう。標高は100m以上はあるだろう、頂上まで登ることはできるが、今日はそんな余裕はない。この先の喫茶店で休憩する。
佐渡島の東側に廻り南下する。12:15両津港着。ちょうど昼になったので、両津港前の土産物屋や飲食店の建ち並ぶにぎやかな通りの食堂で昼食をとる。テレビではNHKののど自慢をやっている。あっ、そうか今日は日曜日なんだ。毎日一生懸命走っていると曜日の感覚がなくなってしまう。 昼飯を食べながら今夜からの行程を打ち合わせる。まずは今日中に佐渡島を発つか、それとももう一泊して明日本土へ帰るかという選択。17:00小木港発のフェリーに乗ると19:30に直江津港に着くが、それからキャンプをするのはちょっと辛い。しかし二日連続で旅館というのも経費が痛い。そこで、今夜は小木港の近くのキャンプ場に野営し、明日早朝6:00発のフェリーに乗ろうということになった。6時発のフェリーということは、遅くとも4時半には起きなくてはならないが、まぁいいっか。 両津港から海岸線沿いを走り、14:00松ケ崎灯台の公園で休憩。江戸時代以前はここが佐渡島の唯一の港だったそうで、その名残として当時の木造船のミニチュアが展示してある。公園とはいえ管理人もいないが、炊事場やトイレは完備してあり、キャンプができる。 今夜のキャンプ地はフェリー乗り場に近い素浜海水浴場のキャンプ場と決めているので、とにかく小木まで帰ることにする。 15:30小木港に戻る。これで佐渡島は外周を一周したことになる。とびきり美しい海岸線という印象はないが、それが佐渡島の自然のままの姿なのだろう。 佐渡島に来てこれに乗らずに帰る手はない、すなわち小木のたらい船である。上江洲はもったいないと言って乗らない。700円払って順番を待っておそるおそるたらい船に足を掛ける。船頭さんは女性だ、しかし近づいてよく見ると還暦前後のおばあさんではないか! まあ、そんなことはどうでもい。少し沖までは船頭さんが漕いでくれて、そこで余興として運転を代わってくれる。ところが、相手は円形のたらいである。少なくとも舳先があれば後ろで櫓を漕げば前に進むのだが、いくら漕いでも駒みたいにぐるぐる回転しているだけではないか。こりゃあかんわ(@_@)永遠に岸にたどり着けない。船頭さんにバトンタッチして、やっと岸にたどり着いた。
さて、まだ佐渡島で経験したいことはたくさんあるが、明日が早いのでもうキャンプ場に入らなくては。途中で買い物を済ませて16:45素浜キャンプ場。まだ海水浴に興じている連中もいる。日本海が一望できる小高い場所にあるテントサイトにテントを設営し、コインシャワーで一日の汗を流す。ところがうっかりタオルを持って入るのを忘れて、時既に遅し、上がるときはびしょぬれのまま下半身の一点だけ両手で覆い隠して、一目散にテントの中に飛び込んだ。 日本海に沈む夕日を眺めながら佐渡島最後の酒宴が始まる。
20:30就寝。 本日の走行距離 218km |