たばこは、元来、「嗜好品」
品位と節度を守って、香りや味の余韻を楽しみ、軽い陶酔感を、ゆっくり楽しむものです。
嗜好品には、酒、たばこ、茶、コーヒーが、挙げられます。
嗜好品とは、たしなみ(嗜み)、このむ(好む)もの、です。
「たしなみ」とは、口 偏(へん)に、旁(つくり)は、老う旨、と書き、
「年老いてうま味がわかるようになる」と言う意味が、込められています。
また、国語辞典などには、「修養や教養、品位や節度、社交上の心得」などの意味が、書かれています。
日本に、シガレット(紙巻たばこ)が入って来てから、いつでも、どこでも、気軽に喫煙できる様に成り、
シガレットの吸い過ぎ、ぽい捨て等と、喫煙マナーが悪く成り、健康を害するもの
と言われる様に成ったのではないでしょうか。
嗜好品は、年老いて、うま味がわかるようになり、
節度と品位を守って、摂取する過程をも、大事に楽しむものなのです。
たばこであれば、一服吸って香りや味の余韻を楽しみ、軽い陶酔感をゆっくり楽しむ。
そして、しばらく間をおいて、また一服吸う。
その間にきせるの手触りを楽しんだり、煙草入れ、たばこ盆を愛でたりもする。
仲間がいれば会話もする。
一人であれば、ゆっくりと立ち昇る紫煙のゆくえを追いながら、
夢想にふけるかもしれない。
日常の時空とは異なった、ゆっくりとした非日常の時空へ
しばし誘ってくれるところに、たばこの嗜好品のよさがある。 喜世留、叺、展示コーナーへ
参考:文春新書<煙草おもしろ意外史>より