ここまで見ていただいたので、作り方を少しだけ公開します。 私の作り方ですから、こうしなければいけないというものでありませんし、 もっと良い方法が在るかも知れませんので参考程度に思ってください。 ポイント1 竹の切り出しは冬に限ります。(以外の季節は、竹が柔らかく強度が足りないように思います) 竹は一本で充分です(一節で40本ほど作れます) ポイント2 切り出す竹は出来れば2〜3年ものの直径10cm以上、肉厚1cm以上が望ましいです。 (無ければ細い物でも出来ますが、気に入るものが出来るか判りません) ポイント3 切り出した竹はなるべく早く加工して曲げます。(早いほうが曲げやすいです) ポイント4 曲げた竹を一年間ほど枯らします。(強度を上げるためです) ポイント5 さじ部分の加工で大事な事はサイドの曲線と背面から周縁部分につながる丸み付けと角付けです。 角付けは基本的に周縁部交差角90度です。 工程 1.切り出した竹を自分の作りたい耳かきの2.2〜2.5倍ほどの長さに切ります。 (1度にみみかきを2本作る事になります。) 2.縦割りは、希望する仕上り幅を考え余裕を取り幅を大き目に割って行きます。 3.カッターナイフでも何でも良いですから竹の皮を背にして内側の肉を削ぎますが、削ぎ落とすのは 真ん中部分です。注意しているのは竹の外側と平行に平面に削ぐ事です。内側センターを中心に10〜 14cmの肉を中心に近づくほど薄くし、中心3〜4cm部分を厚さを1ミリ以下にする事 (私は、0.7〜0.8ミリぐらいで曲げています。厚みが大きいと曲がりのRが大きくなり、仕上げた時の さじの角度がゆるくなります。それと、慣れないうちは幅は少し細めにしておくと曲げ易いです (幅を大きく取ると、曲げ工程で縦に割れやすくなります)。 この工程で最後に刃こぼれの無い真っ直ぐな刃物を立てて削ぎます、削いだ面と背にあたる皮の部分の 右と左の厚みを正確に揃えます。(同じで無いと曲げたときの右と左の曲がり具合が違ってきます。)
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携帯電話のアンテナと曲げる部分の厚み (少し内側が見えてますが薄緑色部分が厚さです) |
4。曲げは、通常の曲げよりも高い温度で(皮が焦げる寸前の脂が表面で泡立つ直前)角度を180度程に曲げます。 ここは加減が難しいです(私が苦手なのかもしれません)何回も練習しないと出来ないと思います。 妥協するのなら削ぐ厚みを少し大きくしておくか、曲げ角度を90度を越える程度に留めておけば簡単です。 が、その分さじの角度が大きくなるか、さじ部分が大きくなります。 なお、加熱は風の少ない安定した熱源が良いと思います。 5.曲げた後は二つ折れしている竹の真ん中を輪ゴムなどで固定してしばらく枯らします (枯らすほど湿りに強く、強度が上がるので薄く仕上げても丈夫な物になります。) 角度がゆるい場合は、それなりに固定しておけば良いです。
6.充分枯れて強度が上がった頃(私は一年後です)、整形工程に入ります。 最初に、曲げてある材料の曲がりの中心で2つにしますが、切断に『目立てやすり』を使い 内側と外側の両面から少しずつ切り込み、切れかけた所で少しづつ閉じ開きして折ります。 片側だけから切ったりすると、ささくれが出てだめになります。 7.柄の部分は好みで仕上げて良いので割愛し、さじ部分の仕上げ方法だけ説明します。 丸やすり『チェーンソー用』の3mm程の物と目立てやすり、木工用紙やすり(細目)、 ティッシュペーパー、新聞紙の順に使います。 紙やすりは、柄の部分の中仕上げから使っておきます。(さじ部分の仕上げに丁度のやすりになります) 最初にさじの頭の丸み付けを目立てやすりを使い仕上げより少し大きめに形を作り、首の部分も先ほどと同 じ様に大きめ(太め)に形作ります。一番肝心なところは、さじのサイド部分の曲線でこの曲線がみみかき の掻き心地を決めますから荒削りから研磨までどの工程でも最後に仕上げるようにして下さい。 裏側の皮は表皮部分だけ紙やすりを目立てやすりに乗せて研磨する要領で取り払います。 さじ部分の裏側は竹の繊維が見える所まで削ってはいけません。 (表皮と繊維部分との間が一番強い所ですからできるだけ残します) さじの内側は紙やすりを丸やすりに巻き、さじの先端からサイドまでの厚みを揃える事だけ注意して研磨し ます。ここまでは、さじの中仕上げです。さじの周縁部の仕上げは一番最後の工程になります。 8.ティッシュペーパーを4〜16つ折りにして研磨した竹の粉を付けみみかきのさじ部分を除き、 ティッシュペーパーの上から親指のつめを立てて徐々に強く全周に渡りしごき、柔らかい肉の部分の圧縮と光沢を付けます。 9.さじの周縁部分を背中側から正面側に向け丸みを付けます。付け方は平面に紙やすりを置き軽く軽くさ じを紙やすりに当て、平面に対し耳かきを80度ほどから20度ほどまでを、片手でガイドしながらもう片 手の親指と人差し指で柄尻を回転させながら研磨します。 (さじ部分の背面から周縁までの丸みを付ける作業) 10.その後で、さじ部分をティッシュペーパーで折れない程度にゆっくりと研磨します。(見えないささくれのチェックも兼ねています) 11.これが最後の工程です。 新聞紙を何回か折りたたみ、先ほどの様にさじの内側を除き全て研磨します。(光沢を出すためです) そして、『9番』の作業を新聞紙で行いますが、最終は耳かきが新聞紙に水平になるところまで研磨します。時折耳 に入れて当たりを確認しながら気に入ったところで完成です。 *もしも耳に入れて回して掻き取る時に違和感がある場合、 さじ部分のサイドの曲線が自分に合っていない事になりますから もう一度先端からサイド部分の曲線を微調整研磨します。
耳かきの基本構造理論 整形・研磨作業の写真は来年に掲載予定です。