脚注 28


溶融炭酸塩型燃料電池

 電解質は,650℃で溶融している,炭酸リチウムと炭酸カリウムの共融混合物を用いる.温度が高いと,ΔGは低下するが,反応が起こりやすくなるので,電力を取り出す場合には,効率がよくなる.火力発電所に置き換わる施設として研究されている.

 

酸化    2H2   + 2CO32−  -->   2H2O + 2CO2 + 4e   式 

還元    O2 + 2CO2 + 4e  -->   2CO32−            式   

 赤色のCO32−は,電解質中を移動してきたイオン.電子は外部の回路を移動する.

 650℃におけるこの反応の自由エネルギー変化は,ΔG = − 196 kJ/mol (g) なので,得られる電圧は,この反応式で水が2分子得られ,4電子反応であるので,

     E = − ΔG / n F

       = 196 x1000 x 2 / (4 x 96485) = 1.01 V

 この電圧が,水素酸素燃料電池で得られる,650℃における理論電圧である.650℃におけるこの反応のエンタルピー変化は,ΔH = − 247 kJ/mol (g) なので,燃料電池の達成できる,最大理論効率は,

    最大理論効率η = ΔG / ΔH = 0.79

 となる.高温になると,理論電圧は,低下するが,反応が起こりやすくなるので,実際には,効率の低下はあまりなく,低温で動作させる燃料電池よりも,実質的に効率が高くなることが期待されている.


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Last updated, Nov.7, 2001.