食堂が休みのときは,お釜が活躍します
ご飯を炊くときに,考慮する項目
水素結合の切断
でんぷん(アミロース)は,ブドウ糖の重合体である.でんぷんの高分子鎖は,らせ ん構造になっている.らせん構造を構成するのに寄与しているのが,水素結合であ
る.水を十分加えたうえで,加熱調理すると,水素結合が切れ,その間に水が入り, でんぷんのらせん構造がこわれる.さめたご飯が,しばらくするとおいしくなくなるのは,再び,水素結合により,でんぷんのらせん構造が形成されるからである.
ご飯を炊くことは,お米の粒に,十分,水を供給し,加熱し,分子振動を大きくして,水素結合を切断するということが1つのポイントである.
酵素による糖化
お米をはじめとして,種子には,発芽のときにでんぷんをブドウ糖に分解するため に,でんぷん分解酵素(アミラーゼ)が含まれる.お米に含まれるでんぷん分解酵素は,働きと,活性温度で,3種類あることを知っておくとよい.
aアミラーゼは,ごはんを柔らかくする働きがあり,bアミラーゼは,ごはんをおいしくする働きがある.ご飯が炊きあがっても,しばらく,蒸らしの時間をおくのは,bアミラーゼによる,でんぷんの糖化を待っているのである.
参考, 日本化学会編,身近な現象の化学 2,培風館,1989.
水加減
まずは,水加減が重要である.山でご飯を炊くときは,すこし多めにする.(1000 m ごとに,約2度沸点が下がる) 仲講師の場合は,お米の量の2倍にしている.鍋にお米を入れ,その高さの2倍のところまで,水を入れる.水に浸した状態で,30分はそのままにしておく. |
![]() 図 1合分の場合の水加減 |
始め,ちょろちょろ,中,ぱっぱ.
ご飯を,柔らかく,おいしく炊くためには,ゆっくり加熱していき,途中から少し火力を強め,少し吹き出すようにする.なんのことはない,昔から言われているとうりである.あとは,赤子ないてもふたとるなである.
終点の判定
電気式自動炊飯器出ない場合は,炊きあがりは,自分で見極めなければならない.ふたを開けると,蒸らしがうまくいかないので,当然,ふたを開けずに判断しなければならない.
水が十分ある時は,沸騰すると,勢いよく水蒸気がでる.時には,吹きこぼれる.沸騰していると,鍋が振動するのが伝わってくる.ごはんが炊きあがってくると,水が少なくなり,水蒸気の量が減ってくる.湯気が少なくなり,振動がおさまると火を止める.
むらし
火を止めても,すぐにふたを開けたりしてはいけない.酵素が働いているのを想像しながら,20分ほど待つ.
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チタン製コッフェルを使うときは,少し距離をあけて,均一に加熱すること.さもないと,こげつきます.金網を使ったときは,金網からの輻射熱で下が熱くなるので,テント内で調理するときは,断熱材をテントに敷くこと.特に,ポリエステル製のテントは,注意してください. | 炭でご飯を炊くことには,あんまり意味は,ありませんが,火力が適当で,蒸らしのときも保温が利きます.炭の燃焼ガスは,他の燃料と異なり,水蒸気が含まれないので,焼き物では,水分がとれ,より香ばしくなりやすいです. |
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秋は,いろんな炊き込みご飯の季節です.だし,みりん,酒,醤油,その他適当に入れます. | パエリア風炊き込みご飯 だしが入ると,気持ち,沸点が上昇します.気圧の下がる,山の上では,ご飯がおいしくたけます....のハズです. |
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