脚注 10


水の分子軌道

 

        
  HOMO
 
 
 
図 r10.1 水の分子軌道(網線)と電荷(半透明表面:この図では,青の部分がマイナス)

水の化学的性質を考えるためには,分子軌道法による計算結果を用いなければならない.図からわかるように,分子軌道法では,ローンペアの概念はでてこない.一方,分子の形は,混成軌道によって考えた方がわかりやすい.


電気陰性度

表 10.1 Pauling の電気陰性度(Linus Pauling, General Chemistry,1970)

2.1

H

1.0

Li

1.5

Be

2.0

B

2.5

C

3.0

N

3.5

O

4.0

F

0.9

Na

1.2

Mg

1.5

Al

1.8

Si

2.1

P

2.5

S

3.0

Cl

0.8

K

1.0

Ca

1.3

sc

1.5

Ti

1.6

V

1.6

Cr

1.5

Mn

1.8

Fe

1.8

Co

1.8

Ni

1.9

Cu

1.6

Zn

1.6

Ga

1.8

Ge

2.0

As

2.4

Se

2.8

Br

0.8

Rb

1.0

Sr

1.2

Y

1.4

Zr

1.6

Nb

1.8

Mo

1.9

Tc

2.2

Ru

2.2

Rh

2.2

Pd

1.9

Ag

1.7

Cd

1.7

In

1.8

Sn

1.9

Sb

2.1

Te

2.5

I

0.7

Cs

0.9

Ba

1.0-

1.2

1.3

Hf

1.5

Ta

1.7

W

1.9

Re

2.2

Os

2.2

Ir

2.2

Pt

2.4

Au

1.9

Hg

1.8

Tl

1.8

Pb

1.9

Bi

2.0

Po

2.2

At

0.7

Fr

0.9

Ra

1.1

Ac

1.3

Th

1.5

Pa

1.4

U


反転障壁エネルギー

 窒素は不斉中心にならない.これは,鏡像異性体が相互に入れ替わることができるからであるが,入れ替わるときには,障壁となるエネルギーがある.窒素は,その障壁エネルギーが比較的低いため,不斉中心にならない.25 kJ/mol のエネルギーは,波長 4.8 mm の遠赤外線であり,通常の温度で,頻繁に入れ替わりが生じていると考えられる.リンは,その障壁が高いため,不斉中心となりうる.炭素は,鏡像異性体が相互に入れ替わるためには,結合が一度切断されなければならないが,そのエネルギーは,おおむね,400 kJ/mol 程度必要で,実際上はおこらない.

 表 反転障壁を越えるために必要なエネルギー

名前反転エネルギー kJ/mol
NH324.3
CH3NH220.1
PH3132
木原寛ら(著),分子軌道法,講談社,1994.

分子量


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