追加と補足 しよくひんのおと02
食品の成分としての水分
食品に含まれる水は,比較的簡単に分離することのできる状態の水分,自由水と簡単には取り除くことのできない水分の結合水がある.自由水と結合水を厳密に区別することはできないが,物質の表面を覆う第1層目の水は強く結びついている結合水といえる.自由水は,水としての性質を示すが,結合水は,化学的には水であるが,微生物からみると利用できない水である
食品に含まれる水分の測定は,食品を105℃で乾燥させ,質量が恒量に達したときの質量を乾燥質量とし,その差から求める.
食品の保存性を評価する指標として,水分よりも適当な指標として水分活性がある.食品における結合水と自由水は,同じ水でも固相と液相に属しているといえる.液相にはさらに水に溶解する成分がある.水分活性は自由水における水のモル分率になる.
水分活性 (Aw) = (食品の蒸気圧)/(純水の蒸気圧)
表 水分活性と微生物 | ||
微生物 | 最低水分活性 | |
ボツリヌス菌 | 0.93 | |
細菌 | 0.90 | |
酵母 | 0.88 | |
カビ | 0.80 | |
好塩細菌 | 0.75 | |
耐乾性カビ | 0.65 |
水に塩や砂糖などの溶質を加えると,その溶質のモル数が増加するにつれて蒸気圧が低下する.これは,ラウルトの法則とよばれる.このため塩漬けや砂糖漬けにすると,水分活性を低下させることができる.また,塩漬けや砂糖漬けにすると,浸透圧が上昇し,微生物の増殖を抑える効果がある.
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