しょくひんかがくののおと 4


立体化学  有機化合物の構造

  1. 異性体 (isomer)
  2. 構造異性体
    分子を構成する原子は同じでも,結合の仕方が異なる異性体
    化学物質として別物

    butane   methylpropane(isobutane)
    b.p = -0.5°C        b.p = -12°C

  3. 幾何異性体 (cis 体, trans 体)

    分子内の化学結合に二重結合があると,2つの異性体が生じる.
    二重結合は,結合を軸として回転することができない.
    二重結合部分の反応性などの化学的性質はほぼ同じであるが,物理的性質は異なる
    化学物質として別物であるが,適当な中間体を介して相互に入れ替わることがある

     
         
      cis-2-butene trans-2-butene 

  4. 光学異性体

    観測者からみて時計方向に偏波面が回転している場合は(+),反時計方向の場合は(-)
    比旋光度  α = θ / l C
    θ は旋光角,  l は試料セル長, C は濃度
    化学的性質は同じ

  5. 不斉炭素(asymmetric corbon )
    キラルな分子をつくる
    窒素原子は不斉中心にはならない.(窒素イオンはなる)
  6. 鏡像異性体

    キラル(chiral -achiral)
    鏡像体と重ね合わせることができない分子.

    対象心も対象面もない場合,キラル

  7. 対掌体(enantiomer)

    お互いに鏡像関係にあるキラルな分子同士

  8. ラセミ混合物(racemic mixture)

    対掌体の等量混合物.これは,光学活性を示さない.
    化学合成によりできる

  9. 有機化合物の立体構造

    D体とL体の表記は,グリセルアルデヒドの配置を基本にしている

      
         
      D-(+)-glyceraldehyde L-(-)-glyceraldehyde
      図 グリセルアルデヒド

    Fischer の投影法
    もっとも酸化されている炭素を一番上に置き,直鎖を上下にする.縦方向は向こうがわにつながり,横は手前につながっていると約束する.


    旋光性 (+)と (-)は,かならずしも一致しない.
    天然のアミノ酸は,L体
    生物学的性質は著しく異なる.
      
         
      D-amino acid L-amino acid (天然のアミノ酸)
      図 アミノ酸

    注意   
         
      Fisherの書き方のときの配置 左にアミノ基,右にカルボキシル基としたときの配置.アルキル基を下に書くと,水素とアルキル基は手前になる
      図 L-アラニン

  10. diastereomer
    2つ以上不斉炭素がある
    1つの不斉炭素の配置が異なるジアステレオマーをエピマー
      
         
     
      図 ジアステレオマー
  11. R- S- 表示法
    優先順位 原子番号の大きい原子が優先する
    同じ原子同士では,その原子の次に結合している原子を比較する
    優先順位の低い原子を立体中心の向こう側におく.
    優先順位が時計周り(cw)の順ならば,R
    優先順位が反時計周り(ccw)の順ならば,S
    水素Hはもっとも優先順位が低い 向こう側
  12. ケト エノール互変異性 (ket form - enol form, tautomerism)

    糖の異性化などに関与する

     

    一般的には,ケト型の方が安定

  13. 立体配座 (Conformation)
    結合軸の回転によって可能な位置関係のバリエーション

     


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Last updated, May 15 , 2005.