かがくののおと 20


エントロピー 1

  1. 状態の変化

     物質の状態を変化させると,冷やしたり,暖めたりすることができます . 図 .1は,固体から液体への変化と液体から固体への変化を利用して,それぞれ,吸熱と発熱を起こす.正反対の現象だけど,エントロピーからみると,同じ現象です.

      
     
      図 20.1 左は,薬局で売っている,救急冷却材.右は,キャンプ用品で,繰り返し使えるカイロ.

    参考 救急冷却材の中身は,尿素や窒素を含む塩類である.すなわち,肥料となる.使い終わったら,肥料として,土に散布する方が,下水に流すよりいい.繰り返し使えるカイロの中身は,酢酸ナトリウムの飽和溶液である.

    おまけ 使い捨てカイロの中身の主成分は,鉄粉である.カイロとして使うほか,酸素除去剤としても利用できます.

  2.  

  3. 固体から液体への変化における,おおまかな解釈

     固体では,隣り合う分子は,お互いの位置関係が変わらず,自由度が低い.液体になると,自由に移動できるようになり,移動に伴う運動のエネルギーを持つことができる.この運動エネルギーは,周囲のエネルギーを取り込むこんでいる.外部からエネルギーが流れ込んでくるということは,すなわち,固体から液体になると,温度が下がっているということである.

     

  4.  熱の移動が関係する現象は,注目している部分だけでなく,その周りも考慮しなければならない.

     


    系と外界

     

  5. 系と外界

     いままでは,物質のみに注目してきたが,これからは,注目する部分とその周囲の部分を取り扱う.

     

      
     
      図 20.2 
      
      系 (System) 状態の変化や化学反応が起こる部分.
      外界(surrundings) 系の周り.系から出入りする熱を受け取ったり渡したりする.反応容器の周囲の空気など

          

     エンタルピーやエントロピーといった量は,系を中心に考える.すなわち,系の量が増える場合は,符号をプラスにとる.発熱反応であれば,エンタルピーの符号は,マイナスになる.

  6. エネルギーとエントロピー

     エンタルピーはエネルギーを入れる入れ物の量という見方もできる.系に入れ物が多なれば,エネルギーが流入してくるし,少くなればエネルギー が流出する.

     


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Updated, Sep.23, 2008