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第201話  写真撮ってもらえますか?

最近、デジタル一眼レフを買って、パシャパシャと写真を撮りまくっているお魚。

大きいカメラを抱えてるから写真が上手そうに見えるのか、観光地なんかでは、

「写真を撮ってもらえますか?」

と、相手が使ってるデジカメを渡されることが多々あるんやけど、この相手の判断が結構、間違いやったりする(笑)

一眼レフなんざ形ばかりで、まだまだ下手くそな腕前やから…てなわけではなくて(いや、それもあるかもしれんが( ̄m ̄))、普段使ってるカメラが大きくてしっかりとファインダーを覗いて構えるタイプのカメラなんで、薄型のコンパクトデジカメなんていうのは、非常に撮りづらいからなんやね。

「写ルンです」とかなら別に平気なんやが、最近流行の小さい上に薄い奴は、全くダメ。どないやって構えるねんいうぐらい、厳しいモノがある。

手ぶれ補正ついてても、ブレさせる自信があるで(笑)

てなわけで、薄型コンパクトデジカメを使ってる女性の方は、同じようなカメラを持ってる女性の方に頼む方がより上手く写真が撮ってもらえると思いやす( ̄m ̄)ノ、ぶくぶく。。。

2007/04/27

第202話  愛知立てこもり事件

愛知で起こった、立てこもり事件。警官二人と犯人の家族らが銃で撃たれて、一人の警官がお亡くなりになるていう、非常に痛ましい事件やった。まずは、亡くなられた林さんに、謹んで哀悼の意を表したいと思います。

事件の内容については、次のとおり。

愛知県長久手町の元暴力団組員、大林久人容疑者(50)が人質を取って自宅に立てこもり、拳銃を発砲して県警機動隊特殊急襲部隊(SAT)隊員の林一歩(かずほ)警部(23)=18日付で2階級特進=ら4人を死傷させた事件で、県警は18日午後8時48分、自宅から出てきた大林容疑者の身柄を確保、殺人未遂容疑で緊急逮捕した。事件は発生から約29時間ぶりに解決した。人質とされていた大林容疑者の元妻、森三智子さん(50)はこれより前の同2時51分、自力で脱出、保護された。

調べでは、大林容疑者は17日午後4時前、自宅で、木本明史巡査部長(54)、長男の健人さん(25)、次女の里紗さん(21)に発砲して腹部などを負傷させ、殺害しようとした疑い。このほか、同9時25分ごろ、林警部を撃って大動脈損傷による出血性ショックなどで死亡させた疑いもあり、殺人容疑でも立件する方針。

大林容疑者は18日午後8時半過ぎ、捜査員の説得に応じ、自宅から外に出た。液体の入ったペットボトルと荷物の入ったポリ袋を手にしばらく、捜査員と話し合っていたが、同8時48分、駆け付けた捜査員に身柄を確保された。目立った抵抗はなかった。身柄を県警愛知署に移し、事情を聴いている。

一方、森さんは午後2時50分ごろ、大林容疑者の電話中に「便所に行きたい」と言い、大林容疑者が事務室として使っている自宅東側の建物の北西角のトイレの高窓から脱出、包囲していた捜査員に保護された。

調べや愛知県によると、森さんは05年11月、県警愛知署に大林容疑者の家庭内暴力などについて相談に訪れ、県女性相談センター(名古屋市)に保護された。05年12月半ばからは県内の別のシェルター(避難所)に移り、06年6月に離婚した。しかし、17日に家族全員で復縁などについて話し合い、その最中に大林容疑者が激高、拳銃を持ち出して暴れたため、家族が110番したらしい。同署はこうした問題が動機につながった可能性があるとみて調べている。

森さんは左目付近に軽い打撲を負っているが、健康状態はいいという。愛知署へ搬送され、簡単な取り調べを受けた後、近くの大学病院に運ばれた。当初は足元がややおぼつかなかったが、取り調べにはしっかりした口調で答えたという。(毎日新聞 2007年5月18日配信記事より引用)

テレビの中継で、最初に撃たれた警官が玄関前に倒れている様子が映し出されていたのは、非常にショッキングな映像やったと思う。少なくとも、僕はそう感じた。

素直な疑問としては、なぜすぐに助けに行かへんのかていうことがあった。その理由については、これからの県警の説明を受けな判断できひんので、ひとまず保留しておくしかない。

ただ、現時点で明らかに批判できることはある。それは、マスコミの報道や。

犯人が家の中でテレビを見ている可能性があるにもかかわらず、生中継で警察の動きを伝えるて、どういうこっちゃ?そうまでして、警察の邪魔をして、事件解決長引かせたいんか?生中継はせずに、ひとまずテープには撮っておいて、事後検証した結果、センセーショナルに騒ぎ立てたいなら、騒ぎ立てたらえーんとちゃうん?

なんで早く射殺せーへんにゃとか、警察上層部の判断ミスやとかと色々と批判が出ているけど(そして、その批判ももっともやとは思うけど)、このマスコミに対する批判は、マスコミからは出ていない。ネットでは、早くから溢れかえっているのに。

てめえらの行いを振り返りもせず、反省もせず、ただ、したり顔で誰にでも考えつく悪口だけをまき散らす。そんなゴミみたいな映像をニュースとして流すな。不愉快や。

警察の対応などの件については、また、詳細が明らかになってから書いてみたいと思いやす、ぶくぶく。。。

2007/05/18

第203話  意外な死

同じ日に立て続けに耳に入ってきた、意外な死のニュース。

人気ポップスグループ「ZARD(ザード)」のボーカリスト坂井泉水(いずみ)(本名・蒲池幸子)さん(40)が、入院先の東京都内の病院で死亡していたことが、28日明らかになった。
警視庁四谷署によると、26日午前5時40分ごろ、坂井さんが慶応大病院(新宿区)の病棟脇の地面にあおむけに倒れているのを通りがかった人が発見した。
坂井さんは、後頭部を強く打っており、同病院で手当てを受けていたが、27日午後、死亡した。
同署によると、坂井さんは避難用スロープ(高さ約3メートル)から転落したとみられ、事故死と自殺の両面で調べている。争った形跡はなく遺書もなかった。(読売新聞5月28日配信記事より引用)

28日午後0時18分ごろ、東京都港区の衆院赤坂議員宿舎の自室で松岡利勝農相(62)が倒れているのを迎えに行った秘書官らが見つけ、警察に通報した。首つりによる自殺を図ったもので、救急隊員らが現場で応急処置をした後、午後1時に東京・慶応大病院に運んだが同2時死亡が確認された。松岡農相は自らの事務所の政治資金問題や、官製談合事件が告発された農水省所管の「緑資源機構」の関連団体からの献金問題で野党から追及され、世論からも批判を浴びていた。
警察が詳しい状況を調べているが、農相はリビングのドアのちょうつがいに犬の散歩用のひもをひっかけて首をつっていたという。また午前10時に農相の警護の警察官(SP)と話していたことが分かっており、その後自殺を図ったとみられる。
松岡農相は自らの資金管理団体が事務所の光熱水費をめぐる不明朗な処理で世論批判を受け、野党から追及されていた。安倍晋三首相は「法的な責任を果たしている」と擁護していた。しかし、官製談合事件で刑事事件に発展した緑資源機構の関連団体から献金を受けていたことも発覚。自民党内からも辞任を求める声が出ていた。
松岡農相は衆院熊本3区選出。1990年、衆院選に立候補し初当選。05年に6選を果たし、昨年9月の安倍内閣発足時に農相に就任した。
農林水産省によると、松岡農相は28日午後1時40分から、国会内で開かれる参院決算委員会に出席する予定で、午前中に東京・霞が関の農水省内で同省幹部と事前の打ち合わせをするはずだったが、姿を見せなかったという。(毎日新聞5月28日配信記事より引用)

二人とも立場も状況も違うし、同じ日に亡くなった事は単なる偶然やけど、それでも同じ日に、少なくとも僕にとっては大きなニュースが飛び込んできてショックやったなぁ。

坂井泉水さん、闘病生活を送ったはったんやね。全然知らへんかった。特にファンていうほどでもなかったんやけど、それでも僕世代の超人気歌手やったし、曲も色々と知ってるし、なんかショックやった。年も僕とそんなに変わらず、まだまだ若いのにねぇ。死因を巡っては色々と報道もあるみたいやけど、まずはご冥福をお祈りいたします。

そして、もう一つのニュースが松岡農相の自殺。タイミングから見ると、官製談合事件の絡みで自殺を図ったんかねぇ。緑資源機構の元会長いう人も後追いみたいな形で自殺してるし、非常に薄気味が悪い。ホンマに自殺なんやろか?てな疑問が出るのも不思議ではない状況やと思う。

農相の自殺については、野党などから安倍首相に対する批判があるみたいやけど、これはチトいちゃもんやろ。

野党各党は28日、松岡利勝農水相の自殺にショックを受けながらも、7月の参院選をにらみ、「政治とカネ」の問題で引き続き政府・与党を追及していく方針を強調した。特に、安倍晋三首相の任命責任に加え、疑惑が指摘された松岡氏を擁護し続けた首相の対応を徹底追及する構えだ。
「(首相が)もっと早く解放してやればよかった。松岡氏は(自分が)したことと、首相からかばわれていたその相克の中で、悩み抜かれていたのではないか」
民主党の鳩山由紀夫幹事長は同日午後、首相が野党や世論の批判に耳を貸さず、松岡氏を閣僚として起用し続けたことが自殺の一因になったとの見方を示した。同党の国対役員会では「死者にムチを打たないようにする」ことを確認したが、この後、鳩山氏は小沢一郎代表と会談し、「政治とカネ」の問題で政府追及の手を緩めないことで一致した。(時事通信5月29日配信記事より引用)

農相本人が辞めたがっていたのを無理矢理、安倍首相が引き留めていたのなら、これもわかるけど、今のところはそういう情報も入ってへんからねぇ。安倍首相にあるんは自殺の責任ではなくて、前々から金銭にまつわるスキャンダルの多かった人物を農相に据えたていう任命責任の方やろう。これについては、こんな経緯らしい。

「松岡さんはボーン・アゲイン(生まれ変わった)なんだよ!」
安倍氏は昨年4月、松岡氏の人物像を周囲に問われ、こう答えた。安倍氏はこの時期に自民党総裁選への出馬の意思を固めており、すでに松岡氏の農水相起用を考えていたようだ。
安倍氏は、父の故安倍晋太郎元外相の秘書時代から松岡氏と顔見知りだったが、長く疎遠だった。小渕政権で官房副長官を務め、政府・与党に強い影響力を持っていた鈴木宗男衆院議員(無所属)と松岡氏は親しく、強面(こわもて)の「農林族」として知られており、「族議員」嫌いの首相とはそりが合わなかったからだ。
ところが小泉政権の途中で松岡氏は思考を180度転換させ、「守りの農業から攻めの農業」と農業改革を唱えだした。平成17年秋に安倍氏が官房長官に就任した後は、松岡氏は頻繁に官房長官室を訪れ、新しい農業政策の必要性を訴えた。安倍氏もその熱意に次第にほだされていったという。
昨年9月の総裁選直後、内閣情報調査室は閣僚候補者の身辺を極秘に調査したが、松岡氏の閣僚としての適性には疑問符が付けられた。松岡氏は平成10年の鈴木宗男氏に絡む斡旋(あっせん)収賄事件の贈賄業者「やまりん」から200万円の政治献金を受け取るなど、「政治とカネ」をめぐる疑惑が絶えなかったからだ。
それでも安倍首相は松岡氏の起用を押し切った。首相は日豪経済連携協定(EPA)の締結や、世界貿易機関(WTO)の農業交渉などを見据え、「農業団体を正面から説得できる政治家は松岡氏しかいない」と判断したのだ。首相は周囲にこう漏らした。
「クリーンと思った人にも裏切られることもある。これは政治決断だ」
松岡氏は就任後、首相の期待に応えるように、日本食のブランド認証制度の導入や農地集約による大規模農家育成プランなどを打ち出した。4月には中国の温家宝首相来日に合わせ、中国へのコメ輸出再開を実現した。
しかし、1月に松岡氏の資金管理団体が多額の事務所費を計上していた問題が浮上。3月の参院予算委員会で事務所費の使途を「ナントカ還元水」と説明し、国会は紛糾した。緑資源機構の官製談合事件でも関係が取りざたされた。それでも首相が更迭に消極的だったのは「任命権者である首相は本人から辞任の申し出がない限り、クビを切るべきではない」という思いがあったからだ。
そんな首相の思いに対し、松岡氏が出した答えは「死」だった。「政治家は結果がすべてだ」が口癖の首相にとって、現職閣僚の自殺はあまりに重い。首相は28日夕、記者団にこう語った。
「首相として責任を持って閣僚を任命した。その責任の重さを改めてかみしめている」(産経新聞5月29日配信記事より一部引用)

今回の農相の自殺は、確かに結果の一つではあるけれども、この自殺に対する対応の結果ていうモノもある。ただ責任を噛みしめるだけではなく、政治家としての安倍首相のすべて≠見せてもらわなあかんねぇ、ぶくぶく。。。

2007/05/29

第204話 弁護士への懲戒請求

掲示板の方で質問を受けたんで、自分の判る範囲で解説しやす( ̄m ̄)ノ

まずは、一般論から。

弁護士への懲戒請求手続きについては、日弁連のホームページにあるので、こちらを↓

http://www.nichibenren.or.jp/ja/autonomy/tyoukai.html

要旨は、こんなところ。

・ 弁護士および弁護士法人(以下「弁護士等」といいます。)は、弁護士法や所属弁護士会・日弁連の会則に違反したり、所属弁護士会の秩序・信用を害したり、その他職務の内外を問わず「品位を失うべき非行」があったときに、懲戒を受けます(弁護士法56条)。

・ 弁護士等に対する懲戒の請求は、事件の依頼者や相手方などの関係者に限らず誰でもでき、その弁護士等の所属弁護士会に請求します(同法58条)。

「品位を失うべき非行」ていうんが、かなり曖昧なんで、良くも悪くも、懲戒請求できやすく、かつ、懲戒請求が却下されやすくなると。ただ、少なくとも、懲戒請求をするに価する事由を当該弁護士がしてなあかんいうんは、最低限の要件ではあるね。

ちなみに、「弁護士職務基本規程」ていうんがあって、これの裁判に関する条項の中に、こんなんがある。

第十章裁判の関係における規律
(裁判の公正と適正手続)
第七十四条 弁護士は、裁判の公正及び適正手続の実現に努める。
(偽証のそそのかし)
第七十五条 弁護士は、偽証若しくは虚偽の陳述をそそのかし、又は虚偽と知りながらその証拠を提出してはならない。
(裁判手続の遅延)
第七十六条 弁護士は、怠慢により又は不当な目的のため、裁判手続を遅延させてはならない。
(裁判官等との私的関係の不当利用)
第七十七条 弁護士は、その職務を行うに当たり、裁判官、検察官その他裁判手続に関わる公職にある者との縁故その他の私的関係があることを不当に利用してはならない。

で、今回受けた質問は具体的には、「橋下弁護士が山口県光市母子殺害事件の弁護団に懲戒請求するようテレビで煽動したていう理由で損害賠償請求を受けた事案」なので、この具体例に沿って考えてみる。

これに対する記事は、こんな感じ。

山口県光市の母子殺害事件の差し戻し控訴審で、被告の元少年(26)の弁護団のうち広島弁護士会所属の弁護士4人が3日、テレビ番組で懲戒処分を視聴者に呼びかけられ業務に支障が出たなどとして、大阪弁護士会所属の橋下(はしもと)徹弁護士(38)を相手取り、1人当たり300万円の損害賠償を求める訴訟を広島地裁に起こした。
訴状によると、橋下弁護士は5月27日、関西の民放テレビ番組に出演。差し戻し審弁護団について、「もし許せないって思うんだったら、一斉に弁護士会に対して懲戒請求をかけてもらいたい」などと発言した。放送後、広島弁護士会には、4人の弁護士に対し、それぞれ約300件の懲戒請求が寄せられ、4人はその対応のために弁護士業務に支障が出たと主張している。
橋下弁護士の事務所は、訴状が確認でき次第、記者会見を開いて説明するとしている。
この事件で、1・2審は無期懲役の判決を出したが、最高裁は06年6月に2審判決を破棄し、広島高裁に審理を差し戻した。同高裁では、18日から3度目の集中審理が行われる(毎日新聞9月3日配信記事より引用)。

山口県光市で99年4月に起きた母子殺害事件で殺人や強姦(ごうかん)致死などの罪に問われた当時18歳の元少年(26)の弁護人に対し、懲戒処分を求める請求が、全国で少なくとも3900件出されていることが分かった。06年の全国の請求総数約1300件の3倍に上る。
広島高裁での差し戻し審では、死刑に反対する全国10弁護士会の22人が弁護団を編成。「母に対する人恋しさに起因する母胎回帰」と殺害の背景を主張するなど、強姦目的や殺意を否認している。日弁連などによると、この事件の弁護人らが所属する弁護士会への懲戒請求が激増したのは今年5月末ごろ。橋下(はしもと)徹弁護士(38)がバラエティー番組で懲戒請求を促すような発言をした時期と一致する。橋下弁護士は個人ブログで「弁護士というのはこんなふざけた主張をするものなんだと印象付けた今回の活動は、完全に懲戒事由にあたる」と持論を展開している。
日弁連や各地の弁護士会は、刑事弁護に理解を求める声明を出したが、既に調査を始めたものだけで請求は3900件(3日正午現在)に達した。
「裁判の遅延」を批判する内容が多いという。日弁連は「請求の是非についてコメントは控えるが、異常な数字だ」としている(毎日新聞9月4日配信記事より引用)。

僕は橋下弁護士の発言をテレビで聞いてないんで、どこまでホンマかはわからへんけど、産経新聞配信の記事から要旨を引用してみる。

ぜひ全国の人ね、あの弁護団に対してもし許せないと思うんだったら、一斉に弁護士会に対して懲戒請求をかけてもらいたい。懲戒請求ってのは誰でも彼でも簡単に弁護士会に行って請求を立てれますんで、何万、何十万という形で、あの21人の弁護士の懲戒請求を立ててもらいたい。1万、2万とか10万人くらい、この番組を見ている人が一斉に弁護士会に行って懲戒請求をかけてくださったら、弁護士会の方としても処分を出さないわけにはいかない(産経新聞9月6日配信記事より一部引用)。

また、訴えた弁護士側の意見は、次のとおり。

4人の弁護人側は3日の記者会見で、提訴理由について次のように述べている。
母子殺害事件の被告人の供述内容には常識では信じがたい内容も含まれているが、常識的でないからといって真実でないと決めつけることはできない。弁護団は、被告人の利益のために最善を尽くして弁護するという義務を果たすために職務を行っており、懲戒事由は何ら見いだせない。橋下弁護士は同じ弁護士として、このような立場や役割を熟知しているはずだ。
相当な懲戒事由があると考えるなら、裏付ける根拠を明らかにすべきなのに番組内では説明はなかった。あたかも同事件の弁護人が被告人の供述を真に代弁していないものと決めつけ、視聴者に誤解を与えた。
「視聴者が一斉に懲戒請求をかければ、弁護士会も処分を出さないわけにはいかない」などと発言もしたが、処分は数で決まるものではないし、気軽に署名感覚で行えるものでもない。請求者には弁護士会の調査の中で、出頭や資料提出などが求められることもあるし、虚偽告訴罪も適用される。呼びかけた橋下弁護士自身は懲戒請求をしていないようで、何とも無責任だ。
放送日以降わずか3カ月余りで、弁護人4人に対してそれぞれ300件を超える懲戒請求が広島弁護士会に殺到した。全国の弁護士会が昨年1年間で受理した懲戒請求数は1367件だったので、異常な数字だ。
橋下発言は根拠なく懲戒請求を扇動する不法行為であり、刑事裁判の弁護を引き受けることを萎縮(いしゅく)させ、ひいては憲法で保障された被告人の弁護人依頼権を侵害することにもなる。ほかの単なる批判的言論とは異なり、看過するわけにはいかない。
ワイドショーなどは母子殺害事件について、弁護側の主張を部分的に取り上げ、センセーショナルに報道している。それは国民に事件の表面のみを見せ、誤解させる軽率な行為だが、今回の橋下発言はそんな風潮を助長した。
事件の一部だけを誇張していては本質が見えず、今後導入される裁判員制度も十分に機能しなくなる(産経新聞9月6日配信記事より引用)。

これに対する橋下弁護士の反論は、次のとおり。

山口県光市の母子殺害事件の裁判をめぐり、殺人などの罪に問われた当時18歳の元少年(26)の弁護人の懲戒請求をテレビ番組で呼びかけ、同事件の弁護人4人に損害賠償請求訴訟を起こされた橋下徹弁護士(38)=大阪弁護士会所属=が5日、東京都内のホテルで記者会見を開き、「発言に違法性はない」として争う姿勢を示した。橋下弁護士は「私自身がメディアを通じて話したことは、法律家として責任を持って発言しており、違法性はないと確信している」と述べた。
また、橋下弁護士は、弁護団の問題となる行為として、差し戻し審で主張を変更した理由を被害者や社会に説明していないことなどを挙げた。その上で懲戒請求を呼びかけた理由として「弁護団の行為は、所属弁護士会の信用を失墜させ、弁護士の品位を損なう非行に当たる」と主張した。橋下弁護士は「弁護団は、なぜこの事件で社会が憤っているのかをまったく理解していない」と強い口調で話した。
橋下弁護士は5月27日、在阪テレビ局の番組に出演した際、「弁護団を許せないと思うなら、一斉に弁護士会に懲戒請求をかけてもらいたい」などと発言した。日弁連によると、元少年の弁護人計21人に対しては約3900件の懲戒請求があったという。提訴した4人には約1200件の懲戒請求が広島弁護士会に寄せられている。
元少年は最高裁が無期懲役を破棄した差し戻し審で一転して殺意を否認。死亡させた本村夕夏ちゃん=当時11カ月=の遺体を押し入れの天袋に入れたことについて「ドラえもんの存在を信じていた。押し入れに入れれば、ドラえもんが何とかしてくれると思った」と供述するなど、1、2審とはまったく違う主張をしている(産経新聞9月5日配信記事より引用)。

で、まずは橋下弁護士のテレビでの発言なんやけど、ほぼこの通りの内容で話してたのなら、次のような問題点が考えられる。

1点は、「許せないと思うんだったら」と、懲戒請求を感情論で訴えてる部分。許せようが許せまいが、あくまでも懲戒事由に該当する行為を相手方の弁護士がしてなければ懲戒請求は出せないのに、この言葉やと、許せないと思えば懲戒請求できると思わせる恐れがある。

もう1点は、数が重要やと思わせている点。「1万、2万とか10万人くらい、この番組を見ている人が一斉に弁護士会に行って懲戒請求をかけてくださったら、弁護士会の方としても処分を出さないわけにはいかない」とあるけど、これはない。仮に1億通懲戒請求が届こうが、懲戒事由に該当しなければ、処分はできない。そして、数だけをたくさん送る行為は、少なくとも弁護士である橋下氏には弁護士会の作業を煩雑にし、多大な労力を使わせることがわかっているはず。とすれば、相手方弁護士の主張する「業務妨害」の意図が彼にはあった可能性が出てくる。

この2点を突いて、相手方弁護士は橋下弁護士に対して損害賠償請求をしてきたていうことになる。もちろん、これが認められるかどうかは裁判官次第なんやけど、この橋下弁護士がテレビで発言したとされる内容やと、単なる懲戒請求制度の紹介に留まらず、一般国民からすればともかく、弁護士から見れば「不当な」事由に当たるような懲戒請求ができると視聴者に誤解させて煽ったと見なされる可能性はそれなりにあると思う(まぁ、色々と他にも因果関係を証明する必要があるんで、これが裁判の勝敗に直結するわけではないけど。どういうことかていうと、例えば橋下弁護士が煽ったていう行為と、実際に視聴者が煽られたかどうかということは別問題やからね)。

今、『「不当な」事由に当たるような懲戒請求』て書いたんやけど、今回の母子殺害事件における弁護団への批判の一番大きな部分は、ドラえもんとか魔界転生とかちょうちょ結びとかいった、およそ荒唐無稽な話を裁判でして、被害者の遺族の方の感情を逆撫でしてるところにあると思うんやね。で、それが弁護士として品位にかけた行為やと。

だけど、これについては、被告人がそう主張しているならば、弁護士としてはそう主張せなあかんわけで、これを懲戒請求の事由にするんは不当やて話になる。

「何言うてんねん、こんなん被告人が自分から言ってるわけないやろ、弁護士が言わせてるに決まってるやん」ていう意見は確かに納得できる。そして、このストーリーを弁護士が作って言わせていると思ってるからこそ、懲戒請求をした人も多いと思う。やけど、「言わせてるに違いない」と、「言わせてる」には、とても大きな違いがあるんやね。言わせている確固たる証拠がない以上は、正当な弁護活動と見なさざるを得ない。被害者のご遺族の方には辛い話やけど、被告人には、この発言により反省・後悔の念がないていう理由で刑罰が重くなるとなった形で報いがいくので、それで我慢するしかないのが現状やと。

なお、9月4日配信の毎日新聞の記事の終わりの方に『「裁判の遅延」を批判する内容が多いという』てあるんやけど、これは被害者のご遺族の方がすでに懲戒請求してる事案のことやと思う。最高裁での上告審から担当しだした安田、足立両弁護士について、次のとおり懲戒請求してる。

山口県光市で1999年、本村洋さん(29)の妻子が殺害された事件で、殺人罪などに問われ、1、2審で無期懲役判決を受けた元会社員(25)(犯行時18歳)の弁護人2人が、最高裁で予定されていた口頭弁論を欠席した問題で、本村さんは15日、2人が所属する各弁護士会に処分を求める文書を送った。「弁護士会が、裁判遅延行為と判断した場合は、懲戒手続きに入ってもらいたい」としている。
弁論を欠席したのは、安田好弘(第2東京弁護士会)、足立修一(広島弁護士会)両弁護士。2人は14日に予定されていた弁論を、日本弁護士連合会が開催する裁判員制度の模擬裁判のリハーサルに参加することを理由に、欠席した(読売新聞06年3月16日配信記事より引用)。

これについては、広島弁護士会では足立弁護士への不処分の判断が出ていて、安田弁護士の方はまだ調査中らしい。ま、それはさておき、各弁護士会が受け付けてちゃんと判断している以上(結果はさておき)、この件についての懲戒請求自体は正当ということになるんやろう。だから、遅延行為を理由とした懲戒請求は、真に懲戒請求のみを求めてる場合には(すでに不処分の判断が出てるんは知ってるけど、大勢で送られたら困るやろから送ったれなんていうんは不純な動機なんで不当な請求になると思う)、正当な懲戒請求ということになるとは思う。ただ、橋下弁護士の発言には遅延行為の方は出てへんみたいなんで、今回の煽動に対する訴訟とは関係ない事案になるんかな。後で橋下弁護士が述べている主張にも遅延行為を理由とするとは述べてへんみたいやしね。それと、この遅延行為はあくまでも安田、足立両弁護士に対してのもので、他の弁護士についてこれを理由とするんは、他に何か遅延行為をしてたら別やけど、してないならば不当な請求になると思う。

ということで、橋下弁護士に対しての損害賠償請求については、法的には根拠のある訴訟と言ってもいいと思う。倫理、道徳的な話は別にしてね。個人的には、こういう事案こそ、相手方弁護団から橋下弁護士に向けての懲戒請求という形で決着させてもらいたかったんやけどね。これによって、一般の国民からの懲戒請求についても、個々に損害賠償訴訟するぞてな考えいうんを「邪推」させてしまうからねぇ( ̄m ̄)

橋下弁護士の方も、懲戒請求制度をもっと丁寧に説明した上で呼びかけたんやったら良かったと思うんやけど、今回の発言の仕方やとあまりに扇情的かなぁ。真剣に今回のことを含めて、弁護士と一般国民の感情の乖離(かいり)について問題提起したかったなら、もっと真摯に、丁寧に説明していれば良かったと思う。ただ、逆にこういった荒っぽい手法やからこそ、今までネットとかの一部だけでくすぶっていた不満が、大手を振るって論議されるきっかけにはなったんかもしれへんね。

長くなったんで、このあたりで終了を。また、何かご意見がありやしたら、それについて書きたいと思いやす( ̄m ̄)ノ、ぶくぶく。。。

2007/09/06

第205話 前回の件で思うこと

前回書いた、「橋下弁護士が山口県光市での弁護団に懲戒請求するようテレビで扇動したていう理由で損害賠償請求を受けた事案」について、自分なりの意見を書いてみやす( ̄m ̄)ノ

まず、相手方弁護団の勘違いについて。今回の件について、橋下弁護士がテレビを通じて業務妨害を煽動したていう言い分については、前にも書いたように、それなりに法的根拠はあると思う。確かに、橋下弁護士のあのテレビでの発言は、要旨を読む限り不適切なものやと思う。では、そのテレビを見て実際に弁護士会に懲戒請求をおこなった視聴者(あるいは、さらにそこからネットなどで情報を知った人たち)は、果たして橋下弁護士に煽動されたから送ったんやろうか?

僕は、それは違うと思う。

彼らは、煽動されたのではなく、(おそらく)誤解をして、懲戒請求を送ったんやと思う。で、その誤解の要因の一つが、あの橋下弁護士の発言にあると。じゃあ、その誤解て言うんは何か?それは、裁判で荒唐無稽な(もっといえば、被告人の遺族の方や一般国民すら人をバカにしてるのかと思わせる)弁護活動をしてたら、懲戒請求できるんやていう誤解やと思う。前にも書いたとおり、裁判遅延については安田・足立両弁護士にしか言えない事由なんで、新しく弁護団に加わった弁護士達への懲戒請求にはならない。なので、今回の橋下弁護士を訴えた弁護士たちへの懲戒請求は裁判での弁護内容についてのことやったと思う。

だけど、裁判での弁護内容は、あくまでも被告人がそう主張しているという建前であり、弁護士にその内容の不適切さの責任を負わせることはできない。前にも書いたように、「弁護士がそう言わせているに決まっている」ていうのは、あくまでも全体から見ての、具体的な根拠はない想像なので、その想像だけを根拠に懲戒請求という「法的に重大な(弁護士の地位という保護するための利益が大きく、それに異議を唱えるためには、具体的な事実・根拠に基づき、その弁護士の行為が明らかに不当であることが必要な)」請求はできない。

その、「法的に重大な」懲戒請求を、あたかも単なる苦情やクレームレベルでできると思わせたのが、橋下弁護士の発言が不適切やったとこやと思う。

じゃあ、誤解をして懲戒請求をした人々は、不当な、あるいは不法な行為をしたんやろうか?いや、そうではないと僕は思う。

事実、日弁連のホームページを見ても、「品位を失うべき非行」という曖昧な表現でしか書かれておらず、法律に詳しくない人にとってみたら、単なる辞書的な意味でとらえて解釈するていうことは十分あり得るやろう。それを細かく具体的に書かず、また、法律知識のあんまりない一般の人にも広く門戸を開いているということは、幅広く国民の意見を聞く謙虚さというものを少なくとも、当初の理念としては掲げていたんやと思う。

仮に、法的には正当とは言えない懲戒請求ではあっても、そこにその弁護士達を困らせようとか、自分の係わる裁判で有利に進めようとかいう不純な目的がないならば、その請求を真摯に受け止め、なぜその行為が懲戒請求に当たらないか、誠実に説明するべきやろう。弁護士会は、弁護士の懲戒処分も含めて、高度な自治が認められている。監督官庁は存在しない。それは、自らが自らを厳しく律し、自らが進んで国民の負託に応えて行くいう高度な理念を維持し続けるから、認められているわけやね。ならば、もっと国民の声を聞き、自らが進んで、国民との間の乖離(かいり)を埋めていこうと、努力せなあかんのとちゃうんか?

今回の懲戒請求について、「請求の是非についてコメントは控えるが、異常な数字だ」と日弁連はコメントしてるらしいが、なぜ、そんなに「異常な」懲戒請求があったのか、それを真剣に考えへんようでは、とても全ての自治を任せられるような組織として認められへん。

今回橋下弁護士を訴えた弁護士は、09月05日配信のJ-CASTニュースによると、『母子殺害事件の弁護士は、懲戒請求を行った人たちについて「橋下弁護士にそそのかされ、被害者的な面もある」として、現段階では提訴しない方針だという』らしいが、ホンマに業務妨害の意図を持って懲戒請求をした人がいるのならば、それは遠慮なく、訴えればいい。やけど、そういった不純な動機ではなく、純然たるあなた方に対する「怒り」をぶつけた人たちには、たとえその怒りが不当なものやという思いはあっても、真摯に説明するべきやと思う。

それが、弁護士という全ての国民の人権を守るという職責を持たされた者達に科せられる義務であり、また、僕みたいな一介の一般人に一々意見されるまでもなく持っていなければならない矜持というものやろう。

この間、ムーブていう関西ローカルの番組で見た時に、なぜ今回の弁護団が橋下弁護士を業務妨害で刑事告訴しないのか、ていう質問に対して、「橋下弁護士は業務妨害の教唆をしたのであり、懲戒請求を送った一人一人に業務妨害の意志があったことを証明しないといけないのが大変だから」という主旨の回答があったみたいやけど、それが根本的に間違っている。例えば、あの銀行が倒産しそうやから預金は下ろさないといけないという言葉を聞いて、それは大変だと金融不安になった場合、預金を下ろした一人一人の預金者に業務妨害の意志が必要やなんて、そんな馬鹿な話はない。

あくまでも、そんな不安を煽り立てた人物に業務妨害が成立するだけや。今回も同じで、もしも橋下弁護士に業務妨害の意図があったのならば、それは教唆ではなく、視聴者を道具として利用した実行犯に過ぎない。

つまり、この弁護団の人たちは本気で、懲戒請求を送った人たちが業務妨害の意図を持って請求したと思いこんでるか、あるいは、そういう振りをしているていうことになる。

前者ならば、被害妄想も甚だしい。もっと国民の素直な感情ていうものを知らなあかんやろう。後者ならば、それこそ「品位」にかけた行動やろう。

正直、僕自身は今回の橋下弁護士の行動については、擁護できひんし、否定的や。大体、自分が懲戒請求してへん理由を聞かれて、時間と労力がかかるからて答えてるんは、ふざけてるんかと。テレビで誰でも簡単にできる言うたんは、その口やないんかと。懲戒請求が非常に重い行為やということを重々知っておきながら、こんな安易な発言をするていうんは、業務妨害の意図はさておき、無責任やと思う。

だから、彼が訴えられたことについては同情はしーひんし、法律の専門家同士やり合えばいいと思う。ただ、今回の無茶な発言によって、全国民的な関心事になったことはいいことやったと思うし、これによって、弁護士と国民のお互いの意思疎通がもう少しできるようになって、少しでも意識の乖離というものがなくなればいいなとは思う。

僕自身、法律については大学で学んで普通の人よりは知識が身に付いてる分、色々と考え方が違うところはあると思う。ただ、法律を知る者と知らない者との間に誤解のある時に、他方は上から目線でバカにし、他方は理屈抜きで感情論のみで訴えるていうのは、どちらも不健全やと思うぐらいの分別はあるつもりや。弁護士というものは、間違いなく必要であるし、対権力者という視点で見れば国民の味方であることも間違いない。だからこそ、学者みたいに象牙の塔にこもるのではなく、世論の声というものに敏感であるべきやと思う。別に、世論におもねる必要はない。ただ、法律の専門家やていう奢りは捨てて、謙虚に傾けるべき耳は持っていて欲しいし、持たねばならないと思う。

以上、久しぶりに少しばかり熱く語ってみた、あぶくでした( ̄m ̄)ノ、ぶくぶく。。。

2007/09/08

第206話 大阪府知事選

出るとか出ないとかの話の末、別件であぶくにも書いてた橋下弁護士が大阪府知事選に立候補決めたらしいね。

 「(宮崎県の)東国原知事のように、大阪の中小企業のセールスマンになりたい」。12日午前、大阪府庁で記者会見した弁護士の橋下徹氏(38)は、大阪府知事選への意欲をとうとうと語った。11日午前まで出馬を否定しており、翻意した経緯から説明に入る異例さだったが、テレビ番組のコメンテーターを務めるだけに、慣れた様子で冗舌ぶりを発揮した。
 橋下氏は午前9時半、タクシーで府庁の本館玄関前に到着。トレードマークの度つきサングラスを外し、黒いスーツに紫のネクタイ姿で会見に臨んだ。
 緊張した面持ちで話し始めたが、出馬を決断したきっかけに触れ「(島田)紳助さんから『いいんちゃうか』、やしきたかじんさんから『今しかない、行け』と言われて決めた」と、目を潤ませる場面もあった。
 出馬と不出馬で二転三転した経緯について「報道されたら出られなくなるという条件のある話だった。大阪を変えたい気持ちにぶれはない」と、法律家らしい理屈で釈明した。
 公約では、府の予算書を読み込んでいたことを明かし、「大阪を企業が活動拠点となる町にする」「子供が笑う街というテーマに沿って、お金を注ぎ込む」「石畳と淡い街燈で人が集まる町に」などと矢継ぎ早にアイデアを打ち出した。
 知事に当選した場合のタレント活動は「メディアに一切出ないのではなく、府民の利益になるのであれば出演したい」と言及。「私に反対の人たちの税金を使う立場になる」など知事就任後を意識した発言も飛び出した(毎日新聞12月12日配信記事より引用)。

絶対に出ない言うてたのに意見がコロコロ変わって信用できひんみたいな批判も多いみたいなんやけど、個人的には、出馬表明と衆議院の解散総選挙だけは政治家が嘘付いても問題ないことやと僕は思ってるんで、それに対する批判はないなぁ。

ただ、言ってる公約というか、主張があまりにも抽象的なんは感心できないところ。まぁ、数字の羅列よりはわかりやすいんやけど、その主張を実現するために何をするのかて言うこととそのための財源をどうするのかていうことぐらいは、きっちりと言わなあかんかと。できるできひんというより、それが本気度のバロメーターやと思う。

政治経験については、別になくてもいいんとちゃうかな。頭さえ良ければ、やりながら覚えるやろうし、ブレーンさえきっちり整えれば大丈夫やと思う。少なくとも、無所属で出るんじゃないみたいやから、その辺は大丈夫やろ。勘もいい人やと思うし、弁護士やったはるだけあって、理屈か屁理屈かはさておき、論理的な思考と説明はできてるし。後は、その直情径行に思える行動が吉と出るか凶と出るかやなぁ。

ま、なんにしても、共産党以外の各党相乗りの選挙より、色々な選択肢の増えた選挙になって、大阪のためには良かったんとちゃうかな(^^)、ぶくぶく。。。

2007/12/14

第207話 橋下氏、府知事に

下馬評通りというか、下馬評以上の圧勝で大阪府知事に当選した、橋下弁護士。

その結果について、次のような分析が記事になってた。

<大阪府知事選>橋下氏当選…閉塞感打破託す お笑い票健在

27日投開票の大阪府知事選で、タレントで弁護士の橋下徹氏(38)=自民府連推薦、公明府本部支持=が初当選したのは、府民が未知数の手腕に賭けた結果とみられる。東京一極集中で多くの地方は低迷、大阪にも閉塞(へいそく)感が覆う。橋下氏の若さと行動力が府民の期待を集めた。一方、民主党が党を挙げて支援した元大阪大大学院教授の熊谷貞利氏(63)=民主、社民、国民新党推薦=の敗北は、都市部の民意をつかみきれない同党の弱点をさらすことになった。【坂口佳代、渡辺創】

 ◇無党派の5割吸収…本社出口調査

「良くなるか悪くなるかわからんけど、あの人なら変えてくれそう。そんな期待感が強かった」
橋下氏の遊説の大半に同行した自民党府議団幹部は話す。投票を終えた有権者の声からも「変革」への期待の大きさが浮かんだ。
「大阪を変えよう」−−。橋下氏は街頭演説で政策をほとんど語らず、繰り返した。さらに、府職員を抵抗勢力に見立てて「役人連中に何か言われても全部けり飛ばす」と訴え、改革イメージを演出。府民の「賭け」の受け皿となった。
毎日新聞が投票所60カ所で、投票を終えた有権者3100人を対象に行った出口調査によると、全年代で橋下氏がトップの支持を得た。また、女性票の6割弱を集め、2割強の熊谷氏を大きくリードした。
支持政党別に見ると、自民支持層の78%、公明支持層の94%が「橋下氏に投票した」と回答。与党の地元組織の支援が固かったことをうかがわせた。「支持政党はない」と答えた無党派層でも50%が支持、民主支持層の26%にも食い込んだ。
一方、33年ぶりに国政の与野党3極が対決する構図となったことには66%が「賛成」と答えた。特に、民主支持層では「賛成」が78%にのぼり、自民支持層の65%、公明支持層の56%を上回り、対決型を好感していることが分かった。
しかし、熊谷氏はこうした民意を十分に吸収できなかった。「熊谷氏に投票」という回答は、民主支持層でも65%にとどまり、無党派層は28%で橋下氏に大きく及ばなかった。
熊谷氏は兄が財界とのパイプが太いなど保守系候補と受け止められた面もあり、民主党府連幹部は「候補と党のイメージにねじれが生じ、無党派層を吸収できなかったのではないか」と分析した。
投票の際に重視したのは「行財政改革」と「福祉・医療施策」が32%でトップに並び、次いで「資質」13%、「教育施策」11%の順。熊谷氏が公約の柱にした「産業振興」は5%にとどまった。

 ◇動いた「お笑い100万票」

かねて大阪の選挙は無党派層がカギを握るとされてきた。「お笑いの本場」であるためか、タレント候補が受け入れられやすい土壌もある。
86年参院選で西川きよし氏が約102万票を獲得して初当選を果たして以降、いつしか無党派層に対して「お笑い100万票」という呼称が定着。その動向は選挙のたびに注目されるようになった。
3期務めた西川氏は毎回、100万票前後でトップ当選した。横山ノック氏が95年知事選で約163万票を集め、99年には過去最高の235万票で再選されたのは、「お笑い票」が流れをつくり、さらに票の上乗せに成功したと分析された。
タレント候補がいなくても「風」で動くのがこの層の特徴。「小泉旋風」が吹いた01年参院選は自民現職の谷川秀善氏が98万票で、04年参院選ではタレントの島田紳助さんが応援した民主新人の尾立源幸(おだち・もとゆき)氏が91万票で、それぞれトップ当選したのも「お笑い票」が後押しした形だ。
今回当選した橋下氏は、昨年1月に当選した宮崎県の東国原英夫知事にならい、知名度を武器に「大阪のセールスマンになる」と訴えた。与党が前面に出ない選挙戦略をとったこともあり、「お笑い票」の取り込みに成功したと言えそうだ。
99年に横山氏が強制わいせつ事件で辞任。04年知事選で元阪神タイガースの江本孟紀(たけのり)氏が落選したことから、「有権者はタレント知事に懲りた」などと「お笑い票」を疑問視する見方も広がったが、やはり根強いことをうかがわせる結果となった。

 ◇「お笑い100万票」が言われ出して以降のタレント候補(敬称略)◇

  選挙    候補者   得票   得票率(%)

86年参院選 西川きよし 102万  25.4
92年参院選   〃    98万  30.0
95年知事選 横山ノック 163万  47.2
98年参院選 西川きよし 106万  25.8
99年知事選 横山ノック 235万  65.0
04年知事選 江本孟紀   67万  23.9 (毎日新聞1月28日配信記事より引用)


前半の分析は、まぁ、別にどうでもいいんやが、とりあえず公平を期すために全文の引用をしてみた。自分の気になったんは、後半の「お笑い票」についての部分。

なんというか、仮にも全国紙を名乗るレベルの新聞が、あまりにもひどい文章を書くなぁとびっくりした。こんなん、スポーツ新聞や夕刊紙レベルが、面白おかしく書く程度の駄文やろ。大阪府民をバカにしたいんかは知らんが、「お笑い票」などというもんが本気であると信じているとすれば、頭おかしいんとちゃうか?

こんなんは、大阪だけでなく、どこの地域にもある「浮動票」ていうもんで、大阪府は有権者が多いから、その数も比例して多くなるだけやん。当然、数だけで見たら、東京の方が多くなる。石原都知事はまぁ、自民党にも所属してたし、大臣も経験したりと本気で政治家として活動してた人やとは思うが、それでも選挙での決めゼリフは「裕次郎の兄です」やったし、青島幸男元参院議員、都知事についても、タレントとしての知名度を活用した選挙活動(一切選挙活動をしないという逆説的なもんやったけど)をしていた。

別に自分は、このことについて批判する気はない。特に、今回の府知事選の場合もそやけど、既存の政党に対する不満がある時のはけ口として、よく知られている人物で、「好ましい」イメージを持っている人物なら、ある程度知っているという安心感から政治を託してみようという気になれるんは自然やろう。だから、「好ましい」イメージのなかった江本孟紀元参院議員は受け皿になれなかった。

そもそも、今回の府知事選は、橋下氏が勝ったという点もあるけど、ここまでの大差が付いたのは、対立候補やった熊谷氏が負けたという部分も大きい。太田知事に対する不満の受け皿として出馬せーへんとあかんはずやのに、主張する政策が相変わらずの都市インフラ整備て、なんやねん。無駄な公共事業の削減を求められてる中で、なぜ、公共事業(本人は無駄じゃないというんやろうが)を一番の主張とするのか。単に、財界の支持を得たいだけの政策やん。おまけに、府政に対する大きな不満になっていた公務員の優遇問題や同和利権についても、当の組織から支援を受けてるんやから(民主党の支持基盤やから当然なんやが)、そら歓迎されへんやろう。さらには、有名なタレントを応援演説に呼んで、タレント候補批判させるて、悪い冗談やろ。こっちの方が、よっぽど、お笑い候補やったんやが。

民主党としては、先の市長選で民主党候補が勝ったから勢いがあると思たんやろうけど、それがそもそも間違ってる。あれは、関前市長の実績≠ノ対する不満が爆発して、彼が負けただけであり、決して民主党が支持されて勝ったわけではない。民主が関前市長を推してたら、確実に負けていた。今回もそう。太田知事に対する不満が渦巻いてたから、太田知事を推していれば、どの政党でも負けていた。ただ、今回はあらかじめ太田知事が出馬しなかったんで、ニュートラルな状態で各候補が比較され、その結果、橋下氏が一番いい、もしくはマシということで、選ばれた。

これは、別に彼の知名度だけが勝因ではない。知名度ていうのは、いい方にも悪い方にも動く。現に、出馬の際のゴタゴタや、彼のテレビでの言動から、彼を嫌っている人も多かった。ただ、それに対して、熊谷候補が受け皿になるだけの魅力を持っていなかった。

僕の場合は、テレビでの討論会を少し見た程度やけど、なんというか、悪い意味で学者の典型みたいな人やなと思った。上から目線で見、話し、常に人から持ち上げられる状況でないと我慢できひん人なんやろなぁていうイメージやった。少なくとも、有権者に対する謙虚さは感じられへんかったな。それでいて、相手の中傷にばかり時間を割く感心できひん選挙運動。負けるべくして負けたというとこやと思う。

自分は京都府民なんで、直接的には関係のない選挙なんやけど、やっぱり大阪は関西経済の中心なんやから、元気になって欲しい。

だから、タレント候補は…などと言われへんように、頑張ってもらいたいものでやす、ぶくぶく。。。

2008/01/29

第208話 最近のニュース雑感

まぁ、あんまり最近のニュースだけでもないんやけど、困ったニュースが国内外ともに多いねぇ。

国内外ともに絡むのは、やはり中国。毒餃子事件はうやむやなままやし、つい最近ではチベットでのデモに対する制圧で大勢の犠牲者が出たり。

何があかんて、開き直りがあかんよなぁ。メンツにこだわる国やていうんは良く聞く話やが、メンツが大切ならこそ、そのメンツを壊すような真似をしないように、自らが律していかなあかんと思う。

そして、その開き直りの言い訳が笑止としか言いようがない。恥の上塗りというのは、彼らのためにある言葉やろう。ホンマ情けない。

で、同じく情けないのが、今の内閣と民主党。特にひどいのは、民主党の方。参院での数だけを頼りになんでもかんでも反対しまくって、本来は政治とは無関係な日銀総裁の人事まで政争の具にする始末。しかも、それで自分の党の評判を押し下げるんやから、誰も得せーへんやん。頭おかしいんとちゃうか?

そして、その民主党を相手にしてすら、どっちもどっちと思わせるような福田内閣の混迷ぶり。とりあえず、半年ぐらい見てきたけど、福田総理いうんが総理の器でないことは良くわかった。ただ、総理大臣という座にいるだけで、自らが何も動こうとしない。これは総理失格やね。前総理の安倍さんは下手くそながらも、自分でなんとかしようと精一杯もがいてるのは伝わってた。とりあえず、とっとと衆議院解散して、総選挙をしてくれ。その結果、多分、自民+公明が2/3未満の過半数とって、さらに衆参逆転の弊害も大きくなるやろうけど、直近の民意の衆院過半数ていう大義名分≠ェできるだけ、今よりはゴタゴタがマシになるやろ。

しかし、あらためて思うが、参議院てホンマにいらんよなぁ。二院制廃止して、諮問機関みたいな感じで、本当の意味での「良識の府」として再生して欲しいねぇ(意見に法的な拘束力はないが、ここの意見に反するようなことは恥ずかしくてとてもできないていう感じ)。

ホンマ、なんとかしておくれ、ぶくぶく。。。

2008/03/19

第209話 光市母子殺害事件判決

光市の母子殺害事件での差し戻し審判決が出たんで、それについて少し語ろうかと思います。まずは、新聞の記事から。

山口県光市で99年4月、母子を殺害したとして殺人と強姦(ごうかん)致死罪などに問われた当時18歳の元少年(27)に対する差し戻し控訴審の判決公判が22日午前、広島高裁であった。楢崎康英裁判長は「強姦の目的や計画性も否定できない」として、求刑通り死刑を言い渡した。元少年が差し戻し審になって新供述を展開したことを「不自然不合理」とし、弁護側が主張した情状面について「斟酌(しんしゃく)する理由はみじんもない」と述べた。

最高裁は06年6月、高裁が認めた情状酌量理由を「死刑を回避するには不十分」として1、2審の無期懲役判決を破棄し、高裁に差し戻した。

判決によると、元少年は99年4月14日、光市のアパートに住む会社員、本村洋さん(32)方に排水管検査を装って上がり込み、妻の弥生さん(当時23歳)を強姦目的で襲い、抵抗されたため手で首を絞めて殺害。泣き続ける長女夕夏ちゃん(同11カ月)を床にたたきつけた上、首にひもを巻き付けて絞殺した。

元少年は差し戻し審の公判で、弥生さん殺害について「甘えたい気持ちで抱きつき、反撃され押さえつけたら動かなくなった」とし、夕夏ちゃんについて「泣きやまないので抱いてあやしていたら落とした。首を絞めた認識はない」と述べた。

供述を変えた理由については、「自白調書は警察や検察に押し付けられ、1、2審は弁護人が無期懲役が妥当と判断して争ってくれなかった」とした。

判決は「弁護人から捜査段階の調書を差し入れられ、『初めて真実と異なることが記載されているのに気づいた』とするが、ありえない」と、元少年の主張を退けた。

また、弥生さんの殺害方法について元少年が「押し倒して逆手で首を押さえているうちに亡くなった」としたのに対しても、「不自然な体勢で圧迫死させるのは困難と考えられ、右手で首を押さえていたことを『(元少年が)感触さえ覚えていない』というのは不自然。到底信用できない」とした。夕夏ちゃん殺害についても、「供述は信用できない」と否定した。

また、元少年が強姦行為について「弥生さんを生き返らせるため」としたことについて、「(荒唐無稽こうとうむけい)な発想であり、死体を前にしてこのようなことを思いつくとは疑わしい」と退けた。

判決は、「身勝手かつ、自己中心的で、(被害者の)人格を無視した卑劣な犯行」と断じた。

1、2審は殺害の計画性の無さや更生可能性を重視して無期懲役を選択。最高裁は強姦目的や殺害方法などの事実認定を「揺るぎない」と判断し、情状面からも「量刑は不当で、著しく正義に反する」として審理を差し戻した。

事件当時、元少年は18歳30日。少年法は18歳未満の被告に死刑を科すことを禁じている。2審の無期懲役判決を差し戻した死刑求刑事件は戦後3例目だが、他の2件は死刑が確定している。【大沢瑞季、安部拓輝、川辺康広】(毎日新聞4月22日配信記事より引用)

結論からすると、ほとんど大多数の国民感情からすれば当然である死刑ということになった。今後の流れとしては、この判決を不服として最高裁に上告し(すでにした模様)、最高裁で棄却か審理をして死刑確定ということになる。もう一回、高裁に差し戻すとか、最高裁が死刑判決を覆す可能性は0ではないけど、今までの流れからすると、まずあり得へんやろう。

今回の事件に関しては、被告人の犯した犯罪の凶悪性もさることながら、差し戻し審でこの被告人の弁護を担当した弁護士達の活動の仕方についても色々と批判が出てた。これについては、前にもあぶくで書いている。

今回の差し戻し審は、1回目の高裁での裁判で、情状酌量の余地ありを理由とした無期懲役判決が出たことに対して、検察側から上告を受けた最高裁判所の、「情状酌量の余地なし、事実について他に理由がなければ死刑とするべき」という主旨の差し戻しにより始まった。

これはどういうことかというと、「今までの事実のままなら、死刑にしなければならない」という最高裁の判断を表していることになる。

だから、新たに結成された弁護団達は事実そのものを替えるという方針に出た。なぜなら、この被告人の反省をいくら述べたとしても、その情状酌量の余地はないわけやから。

そして、端から見ると荒唐無稽としか思えないような主張を繰り返し、殺人ではなく傷害致死が事実だとして裁判に臨んだと。

前にも書いてると思うけど、この弁護団の方針自体は、弁護活動としてはそんなにおかしくないものやと思う。死刑を免れる確率として、よりマシな方を選んだだけやから。

ただ、結果としては、被害者の遺族の方を傷つけ、国民感情を刺激し、ほとんどの国民からこんな奴は死刑以外にありえへんという感情を抱かせた。

結論としては、最高裁の判断が出ているとはいえ、少しでも被告人の本心からの反省を引き出し、あれだけ反省してるのにこれでも死刑が妥当なのかという、国民の中でも色々な感情が沸き起こるような弁護活動をして裁判官にプレッシャーを与えるのが正解やったやろう。百歩譲っても、精神の発達が未熟だからという心神耗弱だけを前面に押し出して裁判していた方がまだ、マシやったやろう。

ま、これも所詮は法律を少し囓ってるもんの薄汚い法廷戦術から来る代替案に過ぎひんわけやが。

結局のところ、世の中には取り返しのつくことと、つかへんことがあり、彼、すなわちこの被告人はその取り返しのつかへんことをしたというだけのことなんやろう。誰がどれだけ取り戻そうとしても、それは無理という話なだけで。

仮に彼が、この被告人が本当に心から反省し、心の底から悔やみ、その上で死刑が執行され殺されれば=Aそれでこそ初めて死刑の意義があり、そして死刑という刑罰がとても残酷なものであるということがわかることになるんやろう。

これは、ネットとかの情報で得た、被害者の遺族の方の思いと一致するらしい。果たして、その日が本当に来るんやろうか?ぶくぶく。。。

* 意外かもしれへんけど、実は、自分はこの被告人に同情的なとこもあったりする。彼の犯した罪は最低であり、死刑も当然やと思う。でも、彼の人生の歯車が狂わなければ、誰もが不幸にならずにすんでいたかもしれへん。そして、中学生という時期に彼の人生の歯車が狂わされたことについて、彼自身にその責任を負わせることは酷やとも思う。誰もが幸せになれない、本当に本当に、哀しいだけの事件やったと思う。

2008/04/24

第210話 福田改造内閣

なんというか、ジリ貧という言葉がピッタリの福田内閣が今月の1日に内閣改造をおこなったんやけど、それについて少し。まずは、新内閣の構成。

福田康夫首相は1日、政権発足後初の内閣改造を行った。財務相に伊吹文明前自民党幹事長、経済財政担当相に与謝野馨前官房長官をそれぞれ起用し、財政規律重視の人材を登用した。福田内閣は安倍前内閣の閣僚をほぼ継承したが、改造内閣は17人のうち13人を新しい閣僚が占める大幅な改造となった。首相は人心一新によって低迷する政権の浮揚を目指す。

改造内閣の布陣は、自民党3役や閣僚経験者らベテランを中心に固められた。留任した閣僚は町村信孝官房長官、高村正彦外相、舛添要一厚生労働相、増田寛也総務相の4人。女性の入閣は2人で、野田聖子元郵政相が消費者行政担当相、中山恭子首相補佐官が拉致問題担当相にそれぞれ起用された。野田氏は3年前の郵政・解散総選挙での造反・復党組として初めての入閣となった。

また、道路特定財源の一般財源化が焦点となる国土交通相に谷垣禎一前政調会長、農水相に太田誠一元総務庁長官ら閣僚経験者を登用。参院議員からは防衛相に充てられた林芳正元内閣府副大臣が3人が入閣し、公明党は従来通り1ポストで、斉藤鉄夫前政調会長が環境相に起用された。

改造に先立ち、首相は自民党役員人事を行い、昨年の党総裁選で争った麻生太郎元幹事長に幹事長就任を要請、麻生氏は受諾した。総務会長には笹川堯衆院議院運営委員長、政調会長に保利耕輔元文相がそれぞれ就任し、古賀誠選挙対策委員長は留任した。

宮中での認証式は2日午前10時、初閣議は同日昼にそれぞれ行われ、福田改造内閣が正式に発足する。

福田康夫首相は1日夕、首相官邸で公明党の太田昭宏代表と会談した上で、閣僚人事を決定した。皇居での認証式は2日午前に行われ、福田改造内閣が正式に発足する。

閣僚の顔ぶれは次の通り。

【総務】増田寛也
【法務】保岡興治
【外務】高村正彦
【財務】伊吹文明
【文部科学】鈴木恒夫
【厚生労働】舛添要一
【農林水産】太田誠一
【経済産業】二階俊博
【国土交通】谷垣禎一
【環境】斉藤鉄夫
【防衛】林芳正
【官房】町村信孝
【国家公安・沖縄北方・防災担当】林幹雄
【金融・行革・公務員制度改革担当】茂木敏充
【経済財政・規制改革担当】与謝野馨
【科学技術・消費者行政・食品安全担当】野田聖子
【拉致問題・少子化・公文書管理担当】中山恭子
(産経新聞8月1日配信記事より引用)


で、まぁ、身も蓋もない感想なんやけど、碌(ろく)な改造やないなぁ(笑)

つか、内閣改造やいうのに、一番の目玉というか注目が幹事長ていう党内人事なんがなんとも。ま、個人的には麻生氏は好きなんやけどね。

まず、内閣の方から見ていくと、一番の特徴は、いわゆる派閥均衡内閣に逆戻りていうとこやね。おそらく、目的としては、この内閣で新しく国民のために何かを推し進めていく…てなわけやなくて、あまりにも落ち目になってた支持率なんかを少しでも押し上げたいぐらいの意味やろう。だから、伊吹、与謝野、谷垣なんていうメンツが閣僚に入ってるからといって、すぐさま消費税アップなんかするわけもなく、ぶっちゃけ、何もしない(まぁ、参院でのねじれがあるからできないていう方も多分にあるが)内閣がもう少し続くだけやろう。

次の特徴は、桝添大臣の続投や、中山参院議員を拉致問題の担当大臣に持ってくるなど、それなりに国民の人気取りもしているところ。もちろん、党内人事の麻生幹事長もそやね。福田総理の本音としては、この辺でもう少し褒められる≠ト思てたんとちゃうかな。

そして、野田聖子という、郵政民営化反対派を入閣させるていうのも大きな特徴やと思う。同じく保利耕輔ていう人も郵政民営化反対派で党4役に入れてるしね。党内結束の意もあるんやろうけど、国民新党や平沼新党(今のところ党ではないけど)に対するアピールでもあるんやろうね。

後は、大筋には関係ないんやけど、公明党枠が環境省という地味な省の大臣に代わったのもチト面白いとこかな。まぁ、連立与党から一歩引き始めてるていう見方もあるんやろうけど、正直、国土交通とか大きな省庁は不祥事で叩かれまくって嫌になったていうんが本音やろ(笑)。環境いうたら、言葉の響きがエーから、公明党的にはいいやろしね。ただ、厚生労働省に国土交通省と公明党の議員が大臣になる省庁は大きな問題が起こるんで、次は環境省でも何かが…(¬。¬;;

というわけで、色んな人から好かれたいという思いの滲み出た八方美人内閣ていうのが、僕の見方かなぁ。派閥均衡で党内から好かれ、人気者を入れて国民から好かれ、郵政民営化反対派を入れて国民新党や平沼新党あたりにも好かれようていう感じ。ま、その割には、みんなから冷たい視線で見られてる気がせんでもないが。
あ、そういえば、親中派勢揃いやから中国からは好かれてる内閣やて新聞に載ってたな(笑)

小泉路線からの決別ていう見方がマスコミには多かったけど、すでに決別してたから何を今更という感じもするなぁ。というか、以前の自民党路線に戻った結果、必然的に小泉路線からの決別にもなったんやと思うけどね。

上でも書いたように、政策面での分析なんてするだけ無駄無駄。こんなもん、なんもできるかいな。とりあえずは当面問題になってることの場当たり的な対応をしてアリバイ作りするんが精一杯やろう。

内閣については、こんなとこかな。で、次に一番の目玉の麻生幹事長について。なぜ、彼は幹事長を引き受けたのか?

そもそも、幹事長が大きな権限を持っているのは、金と選挙での権力を握っているから。ところが、それをわけのわからん役職を党3役から4役に格上げして、古賀に選挙を仕切らせてるんやから、幹事長としての美味しさはあまりない。自民党の広報役やから、顔は売れるし論戦に強ければ選挙にも役立つけど、麻生クラスでは別にメリットなんていうものでもない。

だから、選挙も幹事長に仕切らせれば幹事長を引き受けると交換条件を出すんは当たり前やけど、選挙は幹事長から切り離したままで、と言われても、なぜ彼は幹事長を受けたのか?

まぁ、こんなん僕が言うまでもなく、巷間言われているように、次期総裁の禅譲があるからやろね。今の福田内閣のままで次の選挙に勝てる確率は低いが、今の党内力学のままで、麻生氏が次の総裁になれるかどうかも難しい。ならば、ここで恩を売っておいて、次の総裁選で森派の支持を受けて麻生総裁から総理になり、解散をして衆院選に打って出る。これが、おそらく麻生−森ラインのシナリオなんやろう。

これやと、自民総裁選で盛り上げたまま解散総選挙に行けるから、マスコミへの露出なんかで有利にもなるしね。

まぁ、これで自民党が衆院選に勝てるかどうかはわからへんけど、今の劣勢を跳ね返すのはこのシナリオ程度しかないやろう。その意味では、今の内閣がひどい方が効果的やから、それも今回の内閣改造での作戦の内かな(笑)
ま、いずれにしても、後は、このシナリオで自民党が勝った時、政界再編がどうなるか。

政局としてはむっちゃ面白いんやが、国民生活としてはどうなんやろな(笑)。ただ、政治に活気が出る方が、経済活動は上手く行ってるような気もするから、それはそれでえーかもね。ドラスティックな改革をするには、それぐらい派手な出来事でも起きひんと無理やしねぇ。

腐った膿は、色々と出し尽くしてもらわへんとね。与野党共々に( ̄m ̄)、ぶくぶく。。。

2008/08/08

★ 第210話〜第220話