VNAV CRUISEページ 2/3

CRZページのページタイトルは以下の通りである

  ★ ACT ECON CRZ……デフォルトのCRZぺージ。他のスピードモードで
     巡航中、ECON>をプッシュした時にもこのページになる。

ACT ○○○KT CRZ……CAS○○○ノットを維持して巡航する時。

ACT M.○○○ CRZ……マッハ速度0.○○○を維持して巡航する時。洋
上飛行において管制からマックナンバー(マッハ速度)を指定される事があり(マッ
クナンバーテクニックと言う)、その際に使用する。マックナンバーテクニックは、
日本本近辺では東京FIRと那覇FIRの洋上管制区で行なわれる。

ACT E/O CRZ……ENG OUT>をアクティベートした時に現在の高
度がMAX E/O ALT(エンジンアウト最大上昇高度)よりも低い時。

ACT E/O D/D……ENG OUT>をアクティベートした時に現在の高
度がMAX E/O ALTよりも高い時。

ACT CRZ CLB……クルーズクライムを行なう時。

ACT CRZ DES……クルーズ・ディセントを行なう時。

ACT LRC CRZ……LRC>をプッシュした時。LRC速度による巡航を行
なう。

ACT MCP SPD CRZ……VNAV SPD INTV(スピード・イン
ターベンション)を行なっている時。

   ★ACT LIM SPD CRZ……リミットスピード・モードがアクティブな時。

《ECON SPD》

PERF INITページに入力したC.I(コストインデックス)を基にFMCが算出した経済的な速度。ECON SPDは風の状況によって随時変化する。

    *C.I=一時間当たりの乗員及び機体整備コスト(単位はドル

          1ポンド当たりの燃料コスト(単位はセント)

     →つまり大雑把に言うと、飛行機のオペレーティングコストを燃料コストで割ったものがコストインデックス.

  <例>オペレーティングコストが1000ドル/時間で燃料コストが

     10セント/ポンドの場合……

        C.I= 1000 =100

              10

C.Iは飛行時間や消費燃料と密接な関係がある。大雑把に言うと、C.Iを高くすれば飛行速度が速くなり飛行時間が短縮される。その代わり消費燃料は多くなる。反対にC.Iを低くすれば飛行速度が遅くなり飛行時間が長くなる。その代わり消費燃料は少なくなる。C.Iは様々な条件を加味して設定される為、同じ航空会社によってもその日その日によって変わってくる。C.Iは先ほども述べたように飛行速度とも関連してくるから、あまり低い数値に設定しておく事が出来ない(他社よりも飛行速度が遅くては飛行時間が長くなってしまうので)。大体の目安として、C.Iは100近辺の数値を使っているとの事。ちなみにC.Iは0〜9999の間で使用する事が出来る。

《LRC SPD》 Long Range Cruise

第1世代から第3世代の飛行機が長距離飛行する際に使用されていたもの。LRC SPDはグロスウェイト(燃料を含めた全重量)、気圧高度、外気温度によって決められ、在来機ではLRCチャートからLRC SPDを算出していたが、LRCチャートは風の状況を加味していないデータであった。

LRC SPDは大体 最小巡航速度近辺に設定される。最適高度以下では、燃料を消費するにつれLRC SPDは減少する。−400でもLRC SPDによる巡航飛行が可能であるが、通常はECON SPDを使用する為、LRC SPDを使用する機会はない。

《コンスタントMach》

マッハ速度一定で飛行するもの。燃料を消費するにつれ消費燃料が減っていく。通常は管制に飛行速度を指定された時に使用する。短時間であればコンスタントマックを使わずにSPD INTVを使用する事が多い。

CRZ ALTライン(LSK 1L)

@FMCに入力された巡航高度を表示する。PERF INITページからCRZ ALTのデータが転送される。

Aミストアプローチ(着陸復航)した時、LSK 1Lに新しい巡航高度としてミストアプローチ区間における最高高度が自動的にデータベースから呼び出され表示される。

Bアプローチ・タイプ、STARをDEP/ARRページの××××ARRIVALページでセレクトした時、高度制限が現在のCRZ ALTよりも高い(ミストアプローチをした後、再度進入を開始する時にこういう状況が生じる事がある)と、最も高い高度制限がCRZ ALTとして自動的に設定される。

Cマニュアル入力時、FMCの算出したMAX ALT(最大上昇高度)よりも高い数値を入力すると、入力は受理されるが同時にスクラッチパッドにMAX ALT FL○○○と現時点での最大上昇高度が表示される。

DCRZ ALTを変更した時、新しいCRZ ALTが現在の巡航高度よりも高ければCRZ CLBページが表示され、低ければCRZ DESページが表示される。

EVNAVを使用中、MCP ALT(ALTウインドウ)に新しい高度をセットしてALTセレクターをプッシュすると、LSK 1LのCRZ ALTがMCP ALTの値に変更され、CRZ CLB若しくはCRZ DESページが表示される。


SPDライン(LSK 2L)

ECON SPD……FMCの算出した経済的な速度。向かい風が増える(若しくは追い風が減る)と増速し、向かい風が減る(若しくは追い風が増える)と減速する。

SEL SPD……マニュアル入力した時の速度モード。

LRC SPD……LRCによる巡航を行なう時の速度モード。

E/O SPD……エンジンアウト時の速度モード。

CO SPD……エンジンアウト時のカンパニースピードモード(エアライン独自の速度)

N1ライン(KSK 3L)

@CRZページがアクティブな時、当該CRZ ALTにおいてCRZ SPDを維持するのに必要なターゲットN1を表示する。
ACRZページがMOD(モディファイ:修正中)の時、若しくはアクティブでない時、LSK 3Lはブランクとなる。

STEP SIZEライン(LSK 4L)

@PERF INIT(パフォーマンス・イニシャライゼーション)ページで入力したステップクライムのサイズのデータがLSK 4Lに転送され、表示される。このラインで入力を変更する事が可能。デフォルトはICAOとなり、マニュアル入力した場合でもDELETEするとICAOに戻る。
A入力可能な範囲は以下の通りである。
   ・0  1000  2000  3000  4000  5000 
    6000  7000  8000  9000  ICAO

ICAO……(International Civil Aeronautical Organization:国際民間航空機関/国際連合の専門機関)STEP SIZEラインで用いられるICAOはコードネームの一種で、FL290未満では2000FT毎のステップサイズが、FL290以上では4000FT毎のステップサイズが自動的に選択される。ちなみに巡航高度は衝突防止の為、磁方位により高度が指定される。IFR(計器飛行:旅客機は通常IFRで飛行する)の場合、磁方位000°〜179°までは3000FT,5000FT……FL270,FL290,FL330,FL370が、180°〜359°までは4000FT,6000FT……FL280,FL310,FL350,FL390が巡航高度となる。

STEP TOライン(LSK 1R)

@次のステップクライム高度を表示する。ステップサイズ(ステップクライム高度と現在のCRZ ALTとの差)は、PERF INITページ LSK 5R若しくはCRZページLSK 4Lに入力されているSTEP SIZEによって決まる。

ASTEP TO高度がMAX ALTを超える時、MAX ALTがSTEP TO高度として表示される(*VNAVではMAX ALT以上の高度へ上昇する事は出来ない)。

BLSK 4CのOPT ALT(現時点での最適高度)がSTEP TO高度以上になってもステップクライムをしない(*MCP ALTにSTEP TO高度をセットしていなければSTEP TO高度へ向けて上昇しない)と、STEP TO高度は更に次の高度を表示する。STEP TO高度の気象状況が悪く(乱気流や向かい風が強い時など)更に次のSTEP TO高度への上昇を計画している時、こういう状況になる。

ATライン(LSK 2R) 

AT<最適なステップクライム地点>

@フライトプラン・ルートの距離、グロスウェイト、スピードモード、現在の高度、LSK 1RのSTEP TO高度により最適なステップクライム地点(オプティマム・ステップクライム・ポイントと言う)が決まる。

APERF INITページLSK 5RのSTEP SIZEに0を入力している時、LSK 2Rはブランクとなる。ステップサイズが0以外(ICAO若しくは1000〜9000の間で1000FT毎)の時、次のオプティマム・ステップクライム・ポイントの予想到達時刻(ETA)及び現在地からの距離(DTG)が表示される。ステップクライムをせずにこのオプティマム・ステップクライム・ポイントを通過すると、ETA/DTGの代わりにNOWと表示される。

Bオプティマム・ステップクライム・ポイント以後のフライトプラン中の各wptのETA及び予想残燃料(RTE DATAページ及びPROGRESSページに表示)は、オプティマム・ステップクライム・ポイントでステップクライムが行なわれるものとして算出される。その為、管制上の都合などでステップクライムを行なう事が出来ない時、以後のETA及び予想残燃料表示は不正確なものとなるので注意。オプティマム・ステップクライム・ポイントでステップクライムをせずに通過した場合、現時点でステップクライムをするものとして以後のETA及び予想残燃料がRTE DATAページ及びPROGRESSページに表示される。

Cステップクライムについて:MCP ALTにSTEP TO高度を入力していないと、オプティマム・ステップクライム・ポイントに到達しても自動的に上昇を開始しない。ATCクリアランス(管制承認)が下りた後、MCP ALTにSTEP TO高度をセットすると、オプティマム・ステップクライム・ポイントにおいてステップクライムを開始する。オプティマム・ステップクライム・ポイントは、ND上のフライトプラン・ルート中に小さな緑色の円とS/C(ステップクライム)という文字で表示される。

AVAIL AT

STEP TO高度がMAX ALTよりも高い為、指定のステップクライム地点(スペシファイド・ステップクライム・ポイント)においてステップクライムが行なえない時、ラインタイトルにAVAIL ATが表示され、STEP TO高度へのステップクライムが可能な地点のETA/DTGが表示される。

TO T/D

T/D地点(降下開始地点)までの距離が200マイル以内になるとラインタイトルにTO T/Dが表示され、T/DのETA/DTGが表示される。

TO ○○○

T/D地点までの距離が200マイル以上あり、エンジンアウトに伴なうドリフトダウンを行なっている時、ラインタイトルにTO ○○○(○○○はドリフトダウン後の巡航高度)が表示され、ドリフトダウン後の巡航高度に到達する地点のETA/DTGが表示される。

OPTライン(LSK 4C)

@現在のグロスウェイトにおける最適高度を表示する。OPT ALTは、スピードモード、現在のグロスウェイト、フライトプラン・ルートの距離により算出される。
A現在のCRZ ALTからSTEP TO高度へステップクライムをするのに最適なグロスウェイトは、OPT ALTが現在のCRZ ALTとSTEP TO高度のちょうど中間地点になった時のグロスウェイトである。この最適なグロスウェイトに到達すると、NOWが表示される。

MAXライン(LSK 4R)

現在のグロスウェイトにおける最大上昇高度を表示する。VNAVによるオペレーション中は、この高度を超えて飛行する事は出来ない。


 CRZ CLBページ 

巡航中により高い高度へと移行する際、LSK 1Lに新しい巡航高度を入力しEXECすると、CRZ CLBページが表示される。MCP ALTにNEW CRZ ALTをセットすると、その高度へ向けて上昇を開始する。又オプティマム・ステップクライム・ポイントにおいてMCP ALTにSTEP TO高度を入力していると、自動的に上昇を開始する。この際CDUにCRZページが表示されていれば自動的にCRZ CLBページに変わる。

ALT INTV(アルティチュードインターベンション)によりステップクライムを行なう事も出来る。ALT INTVを使用するとCDUの操作が必要ないので簡単である(但しALT INTVが使えるのはVNAVをエンゲージしている時のみ)。まずMCP ALTにNEW CRZ ALTをセットし、次にALTセレクターをプッシュする。これでCRZページLSK 1LのCRZ ALTがMCP ALTに変化し、その高度へ向けて上昇する。

CRZ CLBの際の出力は上昇出力でありA/TモードはTHR REFとなる。ピッチモードはVNAV SPDで、LSK 2Lの速度(CRZ SPDと同じ速度)を維持するようピッチが調整される。

 CRZ DESページ 

巡航中にタービュランスや向かい風が強まった事などにより低い高度へと移行(ステップダウン)する際、LSK 1Lに新しい巡航高度を入力しEXECすると、CRZ DESページが表示される。MCP ALTにNEW CRZ ALTをセットすると、その高度へ向けて降下を開始する。又ALT INTVによりステップダウンを行なう事も出来る。ALT INTVのやり方はCRZ CLBと同じである。

CRZ DESの際、出力は毎分約1200FTの降下率となるよう絞られる(この際のA/TモードはTHRモード)。一旦スロットルレバーがその位置にセットされるとレバーはオートスロットルサーボから切り離され、オートスロットルモードがHOLDモードになる。又ピッチモードはVNAV SPDとなり、LSK 2Lの速度(CRZ SPDと同じ)を維持するようピッチが調整される。A/TモードがHOLDモードになると、パイロットはスロットルレバーをマニュアルコントロールする事が出来るようになる(レバーの位置を調整した後も、リポジションしない。つまりA/Tが一時的にティスエンゲージした状態)。以後、スロットルレバーを前後させて出力を調整する事により降下率を変更する事が出来る。この1200FTの降下率というのは、CRZ DES以外にもアーリー・ディセント(T/D地点よりも手前で降下を開始する事)や降下時VNAV PTHの下方から会合する時にもイニシャル・ディセントレートとして適用される。