あとがき


Snow White and Seven Encyclopedists in Ball of Fire



「スクリューボールコメディって何?」と聞かれれば「1930年代から40年代のハリウッドで作られたロマンティック・コメディ映画のジャンル」と50字ほどで答えてしまえばそれで済む話なのですが、そこをもう少し掘り下げて説明したのがこのウェッブ・サイトです。



「スクリューボール」−映画における最もロマンティックな瞬間とは?−
2年前、神田の古本屋で見つけたED SIKOV著「SCREWBALL」の序章部分を引用しました。日本語的におかしい読みづらい箇所は素人の翻訳した文章ということでご勘弁を。スクリューボールコメディというジャンルをさまざまな角度から詳細に研究したこの本は、全9章からなり、引用したのは最初のほんの一部です。美しいスチール写真もふんだんに使われているので、それも随分引用させてもらいました。Thanks ED.
「レディ・イヴの頃」−バーバラ・スタンウィック伝記より−
amazon.comで購入したAXEL MADSEN著「STANWYCK」のレディ・イヴの項を引用しています。「レディ・イヴ」はまだスクリューボール・コメディをご覧になったことがない方に一番にお勧めしたい映画です。ストーリーの要約もあるこの文章から雰囲気だけでも味わって頂けたらと思います。50年以上に渡ってスクリーンの中で活躍したバーバラ・スタンウィックは、ハリウッドにおいて、独立したエージェントを持って仕事した最初の女優でした。下町ブルックリンで孤児として育ち、15歳からコーラスガールとして身を立て、ブロードウェーの舞台から銀幕のハリウッドへ・・・。大手映画会社に縛られることなく自分で脚本を選んで出演するというプロ意識、波乱に富んだプライベートの生活などなど読みどころがいっぱいある伝記なので日本での出版を願ってます。
* ルビッチ・タッチについて−Laughter in Paradise−
SCOT EYMAN著のエルンスト・ルビッチ監督の伝記「Laughter in Paradise」から晩年の2作品である「生きるべきか死ぬべきか」と「天国は待ってくれる」の製作過程について述べた第7章を引用しました。「ニノチカ」以降のルビッチの作品、とりわけこの2作は個人的に大好きな映画なのでどうやってこんな作品が作られたのかずっと興味を持っていました。ルビッチの映画に出てくるチャーミングな登場人物達は彼らすべてに注がれるルビッチの暖かい眼差しから生まれていて、それをルビッチ・タッチと呼ぶのだと言うことがここに書かれています。つまりそれは映画に限らず、すべての芸術分野においてマスターピースたるものを作るにあたって必須とされる才能なのかもしれません。アマゾン・コムでは絶版扱いになっていて古本でしか入手できませんが、先日、青山のシネ・シティで手頃な値段の新しい本を数冊見かけました。全8章すべてを読みたい方は是非。
「スクリューボールコメディ/作品リスト」
前述のED SIKOV著「SCREWBALL」の巻末のリストを引用しました。あの作品が入ってるのに、この作品が入っていないというのも多々ありますが、それは著者自身が序章でも述べているように人それぞれ判断基準が違うのだから仕方ないことかもしれません。各作品ごとに星取り評価がついていたのですが、それはあえてはずしました。日本で未公開の作品もまだまだあるので、これらの作品が見れる機会がくることを楽しみにしたいところです。



スクリューボールコメディというジャンルは戦後急速に衰退してなくなっていきました。しかし90年代になって作られたいくつかのアメリカ映画の中にもそのテイストを見ることはできます。「ファーゴ」のコーエン兄弟がティム・ロビンス主演で撮った「未来は今」はフランク・キャプラやプレストン・スタージェス作品に対するオマージュになった楽しい映画だったし、ジェイムズ・キャメロン監督の「トゥルーライズ」はジャンルこそアクション映画かもしれませんが、スクリューボールコメディのテイストをキャラクターにうまく反映させていて、主演のシュワルツネッガーは妻に頭の上がらない亭主役をケーリー・グラントばりのチャーミングさで演じていました。
マニッシュなスーツを着こなし、男に平手打ちをくらわすヒロインが活躍するこのジャンルの映画は今でも十分に斬新で魅力的な作品が数多くあります。このウエッブ・サイトをきっかけにゴージャスで痛快でロマンティックなスクリューボール・コメディの世界に足を踏み入れていただけたらうれしいです。またすでにズッポリと足を踏み入れている方は作品リストを参考にしてますます深くはまっていただきたいと思います。
読みにくい文章に最後までつきあって下さってどうもありがとうございました。 翻訳はまだまだ慣れていないので、誤訳はかなり多いと思います。見つけられて気になられた方はご指摘下されば今後の参考になるので大変助かります。
また、お暇な方はアンケートにもご協力をお願いします。
1998年8月20日  sneeze (*1999年7月25日追記)



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