「スクリューボール」
−映画における最もロマンティックな瞬間とは?− *1*


Henry Fonda and Barbara Stanwyck in The Lady Eve


逆光に照らされたスター達の姿、流線型のセット、優雅で輝かしき1930年代、ハリウッド黄金期の素晴らしい映画の中にはさまざまな伝説とロマンスが君臨していました。その魅力の虜になった人たちの中には「トップ・ハット」(1935)のフレッド・アステアとジンジャー・ロジャーズの"Cheek To Cheek"のダンスや、「若き日のリンカーン」(1939)で生涯の恋人であったアン・ルートリッジの墓の前にひざまつく謙虚な未来の大統領を演じるヘンリー・ファンダを引き合いに出す人もいます。また映画通の人はおそらく軽蔑の目で見るかもしれませんが、多くの人々が何のためらいもなく「風と共に去りぬ」(1939)でビビアン・リーがクラーク・ゲーブルに抱きかかえられるポスターでお馴染みのシーンを映画史上最もロマンティックな瞬間としてあげていることも事実です。しかし一部の映画狂は違います。彼らがロマンティックな瞬間としてすぐに思い浮かべるのは、ヘンリー・フォンダがバーバラ・スタンウィックに絶えず騙され続け、苦悩に陥りながらもどうしようもなく彼女に恋していることを認めざるをえなかった「レディ・イブ」(1941)のラストシーンで、ここで述べられるのはこういった種類のロマンティックについてなのです。



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