とぜんぐさ(不定期雑記)

a@004  「しゃっくり」がとまらない

  少し前のことになるのだけれど「しゃっくり」がほぼまる二日、止まらなかったのだ。その二日間は断続的に「しゃっくり」が続き、いいかげん難儀なまにあった。

  「しゃっくり」というのは横隔膜の痙攣だと聞いたことがある。

  『だから「しゃっくり」をしすぎると脇腹が痛くなるよなあ』
  と、職場の女性陣に話をすると、一斉に笑われて否定された。
  『そんなことはない』
  と断言する。
  『そうかなあ。痛くなったことがあったような気がするけどなあ』
  『なんかの記憶違いじゃないですか?』
  そういう会話をしながら「ひゃっく!」と連発していたわけだが、さすがに二日目の夕方まで「しゃっくり」をしていると彼女たちも心配してくれだした(ただし、笑いながらだが)。
  とは言っても心配してもらったからといってどうなるものでもない。苦しいのはそのままである。

  ネットで「しゃっくり」の止め方を探してみたら、なかなかに優れたサイトに出会い、そこに書かれている幾つかを試してみる。

  『豆腐の原料は?』
  『大豆』。
  質問してもらってそう答えると、あら不思議、ピタリと…

  止まらねえよ!

  息を止める。水を飲む。etc…

  ダメ…


  二日目の夜は職場の飲み会でもあった。焼き肉食べ放題に釣られノコノコついて行く。
  レバー、ビール、レバー、ビール、生レバー、ビール、キャベツ、ビール、レバー…
  わたしはキモが好きである。
  しかし困った。「しゃっくり」が止まらない。「しゃっくり」をする度に、胃袋の底から「レバー風味」が登ってくる。レバーは好きだが「レバー風味」はちょっと…
  やがて日本酒に切り替える。程々に酔うに連れて「しゃっくり」が真剣に苦痛になってくるではないか。いかん、悪酔いしそうだ。
  『すみません、今日はこれで帰ります』
  二次会を断って帰宅。風呂に入ってさっさと寝る。布団の中で「ひゃっく!」を連発しながらそれでもやがて眠りの中に…

  翌朝「しゃっくり」は止まっていた。一日おっかなびっくりだったが、再発もなくほっと一息ついたのであった。


  ところで…

  「しゃっくり」をしすぎると「死ぬ」らしい。

  俗信だと思うがこれについては思い出がひとつある。
  10年ぐらい前の話だが、職場(病院の事務をやっている)での宿直中のことである。夜間に救急の患者さんが来た。支払いに来られたのは付き添いだろうか、年配の男性だったが、料金計算をしているわたしがたまたま「しゃっくり」をしていたのを見て、『「しゃっくり」の良い止め方がある。百発百中だ』とある方法を教えてくれた。それは息を止めるとかなんとか、確かその類の方法だったと記憶しているが残念ながらよく覚えていない。ただし、あとで試したら確かに止まった。
  『昔、ここの病院に友人が入院していてなあ。よく「しゃっくり」が出たので、この方法で止めていたのだ』とその年配の人は語った。
  そんなこんなで和みながら計算をし、支払いを受け、帰りがけに彼はボソリと言ったのだ。

  『まあ、でも最後には「死んだ」けどな。そいつ』

  おーい!!...

  今から思えばある種の病気の末期にはよく「しゃっくり」が出ることがあるのだ。亡くなったのは病気のせいで、「しゃっくり」のせいではないのだが…

  なんにせよ、「しゃっくり」は程々で止まってくれるのが良いと思うのである。
(H14.11.13 記)





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