やはり書かねばなるまい。
「カッパ」である。
先日もここで書いたが遠野でのカッパ目撃&写真撮影騒動の顛末がはっきりしてしまった。もちろんわたしも本物とは思っていなかったが、しかし「電波少年」とは…
報道によると、『お笑い芸人のモンモン(29)が全身緑色のタイツを着て、頭に“皿”を載せ、今年8月から約3カ月間、川沿いの雑木林でテント生活を送り、時折地元民に姿を見せ、地元紙などに自作自演の投稿を続けていた企画だった。』とのことである。
ヒジョーに複雑な気分だ。
もちろん、この企画がどういうスタンスで製作されたものかは、番組を見ないと(見たくないが)なんとも言えないが、しかし正直なところ、嫌な気分だ。
これが単なる一個人の遊びなら許せる。わたしだってUFO写真をトリックで撮って、学級新聞に載せたこともある。(急に思い出した。記憶とはつくづく不思議なものだ)
誰か個人がカッパの変装をして、写真を撮って、投稿した。これならシャレでいいんじゃないのか。その写真を見る人のほとんどはトリックだと思って見、一緒になって楽しむことだろう。あとでトリックだとわかっても、まさか本気になって怒る人もおるまい。
しかしこれがTVの視聴率稼ぎのための企画であるとしたら、話は別だ。
みんなで騙されたふりをして楽しむ、ということを「利用」されたのだ。
日本テレビの言い分は次のとおりだ。
『日本テレビ広報部では、「担当者は、日本人が忘れかけているロマンを求めて、何かホッとさせる話題として企画した。まさか(カッパは)いないだろうとニコッとしていただくノリ、シャレの一環。タレントのおわびの様子も含めて今度の放送でお見せしますが、局としての謝罪はありません」と話している。』
「日本人が忘れかけているロマン」をコケにしているという事実はないのか。みんなで笑いながらカッパの写真を楽しむ、ある種のお祭りにも似た騒ぎを一気にシラケさせておいて、「何かホッとさせる」「ニコッとしていただくノリ」はないのではないか。
(カッパが実在するかどうかは別として)遠野という民話の古里で、その民話を思いっきりコケにし、カッパという日本の非常に古くさい妖怪を通して触れる、日本人としての奥底にあるノスタルジーというかなんというか、言葉で表現しにくいものをもコケにしている。
誤解しないでほしい。騙されたから怒るのではなく、騙されたかった人々を利用したから怒っているのだ。なんかうまく表現できていないが。
もしかすると、TVの企画が当初から見え見えのもので、本当に写真もシャレだったのかもしれない。受け取った「東スポ」が「電波少年」の企画と知りつつ大々的に報道したのかもしれない。だとすると責められるべきは「東スポ」であって、「電波少年」ではないだろう。しかし、「電波少年」の実績が実績なだけに、疑わしく思ってしまうのである。
一騒動を起こして、顛末をオンエアする。そうすることで視聴率を稼ぐ。
ヒジョーに嫌な気分である。
わたしのような反応の仕方こそが「シャレ」のわからない無粋なもので、「そんなに気にしないで、笑って済ませばいい。なんせ『電波少年』のやることだし」と、そのようにお叱りを受けるかもしれない。
そうかもしれないが、ただ確かにヒジョーに嫌な気分なのである。
(H14.11.13 記)
追記。
そうそう、学級新聞のUFO写真だが、その記事の最後にはトリックであることをきちんと説明し、ついでにどうやって撮ったかも併せて記事にしていたことを報告しておきます。
それほど悪人ではないつもりなのだ。
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