絵はがきに書かれている四明ヶ岳とは、比叡山頂を構成する二つの峰のう
ちの西側を指します。この四明ヶ岳と東側の大比叡ヶ岳とで、比叡山頂は構成
されているのです。
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で、四明ヶ岳ですが...このありさま
でした。駐車場が整備され、巨大な展望
台が建設され、まさに観光地! しかもこ
の展望台は、「ガーデンミュージアム比
叡」の一角にあり、入場料1,000円也と
いう状態でした。(トホホ...
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わたしは以前、宇治の橋寺において「管理者の負担」と「利用者の費用負
担」について考えさせられた経験があります。
(「宇治川のほとりに平安の雅を見た!...かな?」参照)
しかし、どうでしょうかねえ、文化財の見学料と眺望の見物料...同列じゃ
ないと思うんだけどなあ。この点について、ご意見のある方は是非お聞かせく
ださい。
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とまれ、ここに登らなくては話になら
ず、入場料を払って中に入りました。ま、
中に入って思ったのは、入場料をとるだ
けの設備は揃えているなという感想でし
た(なんだかんだ偉そうなことを言いなが
ら遊んでしまったわけです♪)。
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で、いつものちょっと観光案内。
ここでは、印象派の画家たちがキャンパスの上に描こうとした風景や花々の色彩をモチーフにした庭園が造られています。あちらこちらに名画が並べられ、同時に庭園の景色を楽しむことができるのです。残念ながら花の季節ではなかったのでイマイチでしたが、春などに行けばもっと楽しめることでしょう。 |
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それから「将門岩」。史跡(と言えるの
か?)なんですが、わたしとしてはこちらの
方が楽しめるのです。これは、平将門と藤
原純友がここから天下を狙ったという伝説
の場所です。
ご存知の方も多いと思いますが、蛇足
を承知で解説しますと、ここ、比叡山からは
京都市内が一望できます。この眼下に広
がる京の都を眺めながら、将門が純友に向
かって「俺は桓武天皇の子孫だから天皇に
なる。君は藤原北家の出身だから関白に
なれ」と言って、関東と瀬戸内海、示し合わ
せて反乱を起こしたというのです。
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まず根拠のない伝説ですね。でもその会話をしたのがここ、将門岩なんだそうです。ちなみに右の岩が純友岩です。
←四明ヶ岳より京都を一望
むらむらと野心が湧き起こるのもわかる気がします。
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本題に戻りましょう。ここの展望台に登ることで、「四明ヶ岳より琵琶湖眺望」
となるはずです。
しかし...
前方の大比叡ヶ岳が邪魔なんです!
琵琶湖が見えないのです!
ううむ、これはどうしたことだろう。この絵葉書は四明ヶ岳からの撮影ではな
いのか。そう結論するしかありません。おそらく正面の大比叡ヶ岳からの撮影な
のでしょう。で、さっそく行ってみることにしました。たいした距離ではないのです
が、それでもえっちらおっちら登って...唖然。
大比叡ヶ岳には眺望が無い!
周りは木々に囲まれ眺望がまったく無いのです。ここにあるのはTV局の中
継施設だけ。
おいおい、これは...
考えられることは、この絵葉書が撮影された明治後期から大正初期の時点
では、眺望があった。ということでしょう。
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こちらの四明ヶ岳を写した絵葉書で
は、この周辺は、はげ山に近い状態のよ
うです。この大比叡ヶ岳もおそらく当時は
このような状態だったに違いありません。
考えてみれば、植樹なんか、そのほ
とんどは明治以後の事業じゃなかったか
な。日本の山なんか江戸時代まで伐採
に次ぐ伐採で、丸坊主だったってことを、
どこかで読んだことがあります。(そうで
なけりゃ、山を陣地に合戦なんかできる
わけがないのです)
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とは言え、写真が撮れない...時代の移り変わりがテーマのひとつである
この企画ですが、写真撮影そのものができないのはやはり残念です。今回は
失敗かなあ。
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...と、いったんはあきらめたのですが、もう一個所、この
絵葉書の風景を見てみようと思って、先ほど、「ガーデンミュ
ージアム比叡」の管理事務所で撮影候補地を聞いていたの
です。そこでは、坂本ケーブルの延暦寺駅周辺ならこのような
「木」が多い、ということで、親切に教えてくださいました。どう
もありがとうございました。
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さっそく行ってみます。
坂本ケーブルの延暦寺駅です。この鉄道はケーブル鉄
道としては最長距離のものだそうで、大津市の坂本を起点
として途中2つの駅を経由してこの延暦寺駅へ到着します。
ここの駅も古い建築物でした。
さて、景色ですが、ここも眺望がほとんど望めません。や
っぱりだめかと思ったのですが、駅構内のパンフレットをパラ
パラと見ておりますと、おおっと思われる景色の写真が!そ
れが絵葉書の風景によく似ているのです。ここから程近い
「もたて山」という所だそうです。そこはケーブルの駅のひと
つなんですが、ケーブルは出発したところ。仕方ないので、
嫌がるゆきちゃんを引きずって、歩いて行ってみることになり
ました。
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しかし、ゆきちゃんは下り坂が苦手。おっかなびっくり文
句たらたら状態で...うう、これを読んだら怒るだろうな。
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とかなんとか言ってるうちに「もたて山」駅で
す。ローカルですねえ。
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ここからさらに行ったところに、眺望の開けたところがありました。そしてここ
からの景色がすばらしかったのです。まさに絵はがきの風景がそこにありまし
た。思わず、絵はがきはここから撮影したものではないかと思ってしまったぐら
いでした。しかし、角度を考えると、やはり絵はがきのほうが高所からの撮影の
ようです。
でもせっかくの琵琶湖の姿です。ここから比較してみましょう。
絵はがきの方が暗く、残念ながら湖岸の様子などは比較が難しいのです
が、それでも微妙な変化は見てとれます。特に左方の琵琶湖大橋は目立ちま
す。
と、いうわけで今回の「時をかけるおとら」も一応の結果をみることができま
した。う〜ん、それなりに苦労はしたけど、成功だったのかなあ。
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そうそう、紅葉がとても綺麗でした。
ところでもたて山からの帰り、上り坂なんですが、ゆきちゃん、君は下り坂だめだけど上り坂は平気なんだね。30分程かかった下り坂を10分程で登っちゃったよ。これはちょっと珍しいんじゃないかなあ。
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それはそうと、この日の帰り道、例によって京都市内のある場所へ寄り道を
したのです。それは 「おとらのみちくさ」 で。
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