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<訃報:ロストロポービッチさん 80歳 死去
「世界最高のチェリスト」>
◇旧ソ連の反体制派
「世界最高のチェリスト」と称賛を受け、芸術家の自由を守る闘いにも全力を傾けた旧ソ連出身のムスティスラフ・ロストロポービッチさん=写真・AP=が27日、モスクワの病院で死去した。80歳だった。同日、タス通信が報じた。
旧ソ連・アゼルバイジャン共和国の首都バクー生まれ。10歳でデビューし神童として注目された。モスクワ音楽院在学中に次々に国際コンクールに優勝、ソ連の誇る芸術家として世界各国で演奏活動を行った。
だが1968年に反体制作家のソルジェニーツィンさんを弁護し別荘にかくまって、長期間の国外旅行禁止の処分を受けた。74年に国外演奏旅行が許可されたのを機に英国で「自由の無いソ連には戻らない」と宣言、歌手のビシネフスカヤ夫人とともに事実上亡命した。
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77年に米国ワシントン・ナショナル交響楽団の音楽監督に就任。ソ連の反体制作曲家としてのショスタコービッチの作品を演奏、反体制物理学者のサハロフさんを弁護するなど、ソ連批判を続けた。ペレストロイカ(改革)政策が進んだ89年にソ連で復権が決まり、90年には15年ぶりにモスクワで公演を行った。
58年に初来日して以来、日本びいきになり、指揮者の小沢征爾さんや日本の子供たちとも度々共演した。【梅津時比古】
毎日新聞 2007年4月28日 東京朝刊
♪今朝このニュースを知り本当に残念です。
ロストロポービッチ氏は晩年、映像と音楽に大変興味をもたれ、小澤氏の指揮で「映像詩・ドンキ・ホーテ」を企画され、BSの放送で精力的に取り組まれたドキュメントは素晴らしいものでした。
また神戸の震災後のコンサートで、鎮魂のためにバッハの曲を弾かせて欲しいと、そして一緒に祈って欲しいと、最後に聴衆に拍手を求めず、人の心をゆり動かす印象的な演奏会となったことも、思い出されます。崇高な魂を持った芸術家がまた、一人消えてしました。
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