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映画「未完成交響曲」
〜シューベルトの音楽とカロリーネについて
<8/19鑑賞会>より
月1回のピアノ勉強会で、古今の連弾曲中最高傑作の一つ、伯爵令嬢カロリーネに捧げられたシューベルトの「幻想曲ヘ短調D940,OP.103」を取り上げました。
その音楽は切れ目の無い4つの楽章から成り、
「愛の主題」「闘争の主題」の1楽章、「愛のデュエット」が挟まれるラルゴの第2楽章、スケルツオの
第3楽章、そして冒頭の再現より壮大で、悲壮なフーガ的展開の第4楽章に、フィナーレの引き裂かれる運命の力を拒絶するかのような静かな終わり・・・。
何ともドラマティックなストーリーを感じるもので、
<シューベルトの想い>や<カロリーネはどんな女性だったのかしら?>との様々な興味や疑問が噴出し、メンバーで意見交換しつつ、私のアーカイブスからビデオに撮った映画「未完成交響曲」を思い出し、今日、鑑賞会を開きました。
この映画は、19世紀のウイーン、小学校の教師をしていた貧乏作曲家シューベルトが、呼ばれた
サロンで自作の未完の交響曲をピアノで演奏中、
ハンガリーのエステルハージ伯爵令嬢カロリーネの笑い声に中断される。 |
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彼女はそれを後悔し、音楽教師として彼を雇い、
指導を受けるなか、二人は恋に落ちる。しかし、身分違いの結婚を許さない伯爵によって二人は引き裂かれ、妹の知らせでカロリーネの結婚式に駆けつけたシューベルトは完成した交響曲を披露する。が、同じ第三楽章を今度は彼女の叫び声でまたも中断される・・・。
シューベルトはその楽譜のページを破り捨て、
「わが恋の終わざるがごとく、この曲もまた終わざるべし」とサインする・・・。
「セレナーデ」「野ばら」「軍隊行進曲」「アヴェ・マリア」「ハンガリー狂詩曲」等、名曲が溢れ、音楽映画の魅力満載!
さて、この話は忠実なものではなく、「未完成交響曲」の中断とカロリーネを無理やり結びつけたものらしいのですが、音楽の力を感じるものでもありました!
まさに、カロリーネの「笑い」や「叫び」は、彼の音楽に反応した自身のエモーションでは?
「音楽は人の神経を慰めたり、落ち着かせたりするためにあるのではなく、むしろ彼等の眼を開けさせたり、揺り動かせたり、さらには驚かせたりするためにあるのだというのが私のずっと抱き続けている信念です」 アーノンクール |
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