オイルフィニッシュのお手入れ
オイルフィニッシュと云う塗装があります アーニーボール・ミュージックマンのネックなんかはオイルフィニッシュですね 新品当初はサラサラとして木そのまんまの手触りで気持ちよいのですが 手汗や垢が染みて汚れるので手入れに困っている方もいらっしゃると思います オイルフィニッシュとはこれ塗装です ですのでオイルフィニッシュ用の塗料と云う物が存在します 上の画像がそのオイルフィニッシュ用の塗料ですが 左のモノはホームセンターでも比較的手に入りやすい塗料で和信ペイント株式会社の「木彫オイル」と云うモノで成分は合成樹脂(ウレタン)です 右のモノはイギリス ワトコ社製の「ワトコオイル・ナチュラル(W-01)」と云うモノでこちらの成分は油脂(植物油)となっています オイルフィニッシュとはこう云った専用塗料を木に直接塗り込み浸透・硬化させて木部表面に保護膜を形成する事によって木の温かみを生かしつつ保護する物です この2種類を使ってみると保護効果は和信の「木彫オイル」の方が高いようですが、その分少しベタつく感じがありあまり塗り重ねるとオイルフィニッシュのサラサラ感は薄れがちになります ワトコの「ワトコオイル」は和信と比べると粘度が低くサラサラしていますので保護膜の形成も薄くなるようで保護効果は低くはありますがその分塗り重ねても比較的サラサラ感は維持できます それに色々とコダワル方には“植物油成分”と云った所は魅力になるでしょう(^_^;) 「ワトコオイル」は一時期ホームセンターでも良く見かけましたが最近は見かけなくなりました 楽天なんかで探せば見つかりますのであっちこっち足で探し回るよりもその方が早いかもしれません しかし実際の所こう云ったオイル塗料があると言う事はあまり知られていないようで 同じ「オイル」と云うだけでレモンオイルやオレンジオイルで手入れされる方が多いようなのですが、これ実は大間違いです! 同じ「オイル」と名は付きますがオイルフィニッシュ用の所謂オイルとレモンオイルやオレンジオイルと言われる「オイル」では全く性質が異なります |
これはオイルフィニッシュ塗料の容器の口部分画像ですが、塗料が固まっているのが分かると思います 木部に浸透し保護するにはこのように「硬化」しないと意味がありません 対してレモンオイルやオレンジオイルはこのように硬化する事はありませんので、ただただ木部に油が浸透するだけで保護の効果はあるワケ無いのです これらの柑橘類抽出オイルは手垢など油を溶かす効果がありますので手垢取りとして使用するか、油分による保湿効果で乾燥期の木割れ防止としての使用するのが正しい使い方だと思います オイルフィニッシュ用塗料はここで取り上げた商品以外にもあると思いますし、代用になる塗料やオイルもあるかもしれませんがいずれにせよこのように硬化するかどうかと云うのを判断基準にして頂ければ良いかと思います さて、オイルフィニッシュ用塗料を使ったオイルフィニッシュのメンテナンス方法ですが まず、#320くらいのサンドペーパーで下地処理をしますが、手垢が酷い場合はもう少し粗い番手(#240くらい)からはじめて#320で仕上げれば良いでしょう これ以上細かい番手で仕上げると表面がツルツルになって感触のサラサラ感は無くなってしまいますので好みの手触りに合わせて番手を調整すれば良いでしょう 次にオイルフィニッシュ塗料をボロ布などに染み込ませ擦り込む様に塗り、乾かないうちに拭き取ります この後半日ほど風通しの良い日陰で乾燥させれば完了です 次回の手入れからは木部表面の毛羽立ちや手垢の付着が無い限り下地処理は必要ありません 軽い毛羽立ちがある場合は細かいスチールウールなどで下地処理をすれば良いでしょう |
もうひとつのメンテナンスグッズとしてこの「ワトコワックス・ナチュラル(W-15)」と云うものがあります これはロウ成分が入ったオイルフィニッシュ用ワックスで汚れ防止効果があります (使用方法は製品に書かれていますのでそちらを参考にして下さい) 私のお勧めのメンテナンス方法としては毎日そのギターを弾くのであれば初回は「ワトコオイル」をし乾燥後「ワトコワックス」でコーティングといった工程を取り、その後は「ワトコワックス」を月2回、「ワトコオイル」を月1回ほどのメンテナンス周期を基本として、ギターの使用状況や弾き手の体質(汗っかきや乾燥肌など)によってその周期を調節すれば良いと思います なお、ここまでご説明した塗料の使用方法は製品に書かれている使用方法とは若干異なりますが、これは私が実際に使用してみて楽器にはこの方法が適していると考えた方法です ただし、これらのオイルフィニッシュ用塗料を使用する場合は製品に書かれている「取り扱い上の注意事項」を必ずお読み頂き必ずお守り下さいますようお願いいたします ちなみに当店ではボディ・ネックのオイルフィニッシュはお勧めしておりません 変化の大きな日本の気候にはオイルフィニッシュはあまり相応しくないからです そこで同じような感触でありながらオイルフィニッシュよりは耐久・対候性のあるフィニッシュとして「ウレタンシングルコート」と云う仕上げを考えました このウレタンシングルコートのメンテナンスにも「ワトコワックス」をお勧めしています |
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