前回ウレタン塗装の塗膜の厚みを調べてみましたが今回はラッカーです
前回と同じくデコ板と言う表面がツルツルの板にギターと同じような手順で吹き付け
乾燥した後に剥がし取った物の厚さを測ってみました
ただし、ウレタンの時と同じく下地塗装の平面出しサンディングをしない分
下地塗装の吹きつけを一回省いてあります
ノギスの先に挟まれている”ウロコ”のような物が見えるでしょうか?
これが剥ぎ取ったラッカー塗装です
ラッカーはウレタンのように柔軟性が無くパリパリと砕けてしまうので
剥ぎ取るのに苦労しました
ウレタンよりラッカーの方が柔らかいと一般的には言われていますが
柔軟性があるのは実はウレタンの方なんです
塗膜の硬さと柔軟性とではではちょっと意味が違うのかも知れませんが
混同されがちだと思います
わかりやすく言えばウレタンと比べてラッカーの方が”もろい”と云うことでしょうか

で、結果が0,08ミリです
(またもやサンディングが恐ろしくなる…)
一般的なコピー用紙がおおよそ0,1ミリですからそれより薄いと云うことですね
偶然だと思いますがウレタンの時のちょうど半分です
でも、2ミリと1ミリの違いは大きいと思いますが
0,08ミリと0,16ミリの違いはもはや比べるような物では無いと思いませんか?
私は別にラッカーの方がウレタンよりギター向きな塗装とは思いません
「ラッカーには微細な穴があり、塗装後も少しずつ木が乾燥していくのを
妨げないからギターには最適な塗料である」
と云うようなことを言う人も居ますが、実際どうなんでしょう?
ラッカーのもろさはその”微細な穴”のせいなのかも知れませんが
湿度変化の大きい日本の気候ではその微細な穴が
良い方にばかり影響するとは思えないのですが…
それにポリエステル極厚塗装のギターでも
冬場にフレットバリ(ネックの木痩せ:主に過乾燥が原因)が出ることがあります
(指板まで塗装されているギターでも)
つまり極厚塗装をしていても外湿度の影響は受けている云うことです

個人的にはラッカーの良いところは独特の濡れたようなツヤだけだと思います
それ以外は脆くて扱いが大変な旧時代の塗装
私はそう思うんですがねぇ

と、技術者としての意見を言わせていただきましたが
個人的には実はラッカー派だったりします
やっぱりあのツヤはたまらない!(こればっかり…)

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