弦の太さでデッドポイントは変わるの?
新型コロナウィルス感染拡大予防対策で自主休業していた間に「ご質問箱」と云うページを設置して皆様から頂いたご質問のお答えさせて頂いておりましたが、これを項目別に整理してコラム記事にさせて頂きました Q:フェンダージャパン製のジャガーを使っていますが3弦の14フレットにサスティンが伸びない箇所がありました。 11〜48ゲージの弦から10〜46の弦に変更してしばらく使わずに放置してあったのですが 昨日練習で弾いてみたらデッドポイントが無くなっていました。 大変嬉しい事なのですが、こういう現象は起こった経験はありますか? また太い弦を張るとデッドポイントが復活してしまう可能性はありますか? A:まずこのご質問にお答えするには「デッドポイントとは何か?」と云う事をご説明する必要がありますのでこちらは動画を添えてコラムの記事にさせて頂きましたのでまずコラム記事をお読み頂きたいと思います→「デッドポイントとは何ぞや」 で、ご質問の「細いゲージの弦に変えたらデッドポイントが無くなった」と云う事ですが、申し訳ございませんが私自身はそう云った経験をした事がありませんのであくまでも推測でのお話になってしまうのですが、弦は硬いと振動し難くなります エレキの3弦はプレーン弦ですがプレーン弦の太さの限界は私見としては0.018くらいだと思っています。これ以上太くなると弦は硬くなり過ぎ振動し難くなります ギター弦は0.020辺りを境に巻き弦に変わるのですが、これは構造上同じ太さであればプレーン弦よりも巻き弦の方が柔軟になり振動し易くなるからです 当店の常連さんで、ものすごく太い弦をレギュラーチューニングで使用している方がいらっしゃるのですがこの弦セットの3弦は0.020のかなり硬い弦でパッケージから出す時にバネの様に「ビョッン」と跳ねるくらい硬いくらいでしたからやはり3弦は振動し難くサスティンはあまりありませんでした この方のお使いのセット弦はそういう時の為に3弦用として0.020のプレーン弦と0.022の巻き弦が同梱されているので巻き弦の方に入れ替えるのをお勧めいたしましたが0.020プレーンの硬い感じがお好みとかであえてこの弦を使用しているとの事でした 話が逸れましたが11〜48セットの3弦は0.018くらいですが10〜46の3弦の0.017と比べると振動し難くはあると思います 今回ご質問のケースではこの振動し易さ・し難さの違いが一つ目の原因と思われます 二つ目に、同一音程で弦が太くなると張力が強くなりますが、同一音程で張力が強ければ強いほど張力は弦振動を終息させる様に働きます 試しに3弦のチューニングを3音下げのDに下げて、2弦を逆にDに上げてチューニングして見て下さい(2弦が切れちゃったらごめんなさい) ギターのレギュラーチューニングの場合、2弦はおおよそ5kg前後、3弦は6kg前後の張力ですがどちらも同じ音程にする事で張力は逆転して(正確に何kgになるかは分かりませんが)3弦は2弦よりも張力が弱くなります この様にした上で双方をピッキングして弦の揺れ方を観察してみて下さい 張力の強くなった2弦は弦の揺れ幅が小さく、張力の弱くなった3弦は揺れ幅が大きく見えると思います 同一音程なのに揺れ幅が小さいと云う事はそれだけ振動が止まるところまで近い=サスティンが短いという事です (注:過剰に揺れ幅が広いと弦が暴れて「干渉」を起こしてサスティンが短くなる事もあります) この実験はゲージの違いがご相談のケースとは段違いで大袈裟ですが同一音程でゲージが変わると張力が変わりますので、小さなゲージの違いでも少なからずこう云った影響が出ている可能性は考えられます 三つ目に、そもそも3弦の14フレットと云うポジションはエレキギターではデッドポイントの出やすいポジションで、個体により音の減衰の仕方に大小はあれほとんどのギターはこの辺りでサスティンは短くなります 元々デッドポイントとなり易いポジションでは弦の硬さが原因の振動のし易さ・し難さが顕著に表れる事が考えられますし、太く重い弦は振り子の重りが重いほど土台に与える振動エネルギーが大きくなる様に、ピッキング直後の振動初期では細い弦よりも大きな振動エネルギーをネックやボディに与え、結果として「干渉」現象が大きく発生してよりデッドポイントが顕著になると云う見方も出来ると思います これはあくまでも推測ですので実際の所は申し訳ございませんがもう一度太い弦を張って確認してみるのが確実かと思います デッドポイントについてついてもう一つご質問がありました Q:デッドポイントの解説をして頂き、大変参考になりました。
人から聞いた話しですが、ギターは構造上、6弦4フレットがデッドポイントで音が伸びないと言われました。自分で試してみたら、音が若干詰まったように思えるのですが、これは本当でしょうか?
A:まず6弦4フレットのデッドポイントの方ですが、実は私このポジションでデッドポイントを感じたことがあまりありません と言うかたまたま私がそのポジションあたりであまりロングトーンを使う事が無かっただけなのかと思いますが… 私の愛器トーカイレスポールで確認してみましたがそこにデッドポイントは感じませんでした 私がほとんどのギターで感じるデッドポイントの位置は一番下のご質問の回答にも書いておりますが3弦の12〜14フレットあたりで、私のトーカイレスポールでは3弦13フレットにデッドポイントがあります で、3弦13フレットと云うとG#… そう!6弦4フレットもG#ですよね! ギターはこの辺りの振動周波数で振動干渉を起こす傾向にあるんだと思います 私のトーカイレスポールでは6弦4フレットでデッドポイントを感じなかったのは、元々このレスポールはボディ・ネックがあまり振動しない個体で3弦13フレットのデッドポイントも比較的出方が軽い為、6弦では感じるほど出無かったのではないかと思います |