強迫の闇の中で得たこと

愛情が憎しみに変わるとき


2003年04月11日(金)

萩尾望都の作品の中に、
ある小説家の短編集を 漫画にしたのがある。
その中で、灯台を慕う恐竜の話が 印象に残ってる。
うろ覚えだけど、こんな感じの話…。



仲間は、みんな死に絶えてしまい、
たったひとり、海の中で、現代に生き残った恐竜…。
彼は、さみしくてたまらない。 仲間を求めて彷徨い続ける。

ある灯台の縦に伸びた形が、自分たちの姿に似ていたので、
彼は、その灯台が 探し求めていた仲間だと思い込む。

彼は、毎年 同じ時期にやってきては、その灯台に向かって、
鳴き声を上げ 呼びかける。 当然、灯台は返事をしない。
でも彼は諦めず、辛抱強く 毎年やってきては、
悲しい呼び声を上げ続ける。 何年も何年も…。

その灯台の守り人は、今年あたり、そろそろヤバイと思う。
守り人は知っていたのだ…。
求めても 求めても 求めても、得られない愛情は、
最後には、憎しみに変わることを。

今年も やってきた恐竜は、
いつものように、悲しい叫びを上げていたが、
やっぱり、自分が受け入れられないと悟ると…、
突然、灯台に襲いかかり、壊し始めた。

灯台の守り人の言うとおりだった。
恐竜にとっては、もう限界だったのだ。
求めても 求めても、応えてもらえないことに。



病気になる前に読んだ作品だけど、心に残ってた。
そんなものなんかな〜と思いつつも、私の心の奥底には、
何かが届いていてたんだろうね。

病気になってからは、その心理が はっきりとわかる。
憎しみの裏に、求めても得られない愛情が 関係してることが。
もちろん、全ての憎しみが そうだという訳じゃない。
そういう憎しみもある、っていうこと。

愛情が欲しいのに、受け入れてほしいのに、認めてほしいのに、
得られないから、つっぱねられるから、拒否されるから…、
だから、憎んでしまう…。

憎しみの裏に 愛を求める感情が
自分の中にも隠れていることが、悔しかったけど、
そんなこと、認めたくなかったけど…、
何度も葛藤しながら、自分を見つめていくと、
認めざるを得なかった。

私は、自分を否定する者を 否定することによって、
自分を肯定しようと してたのだ…。




過去の日記に追加ー。
当時、日記を読んでくれた友人が、以前あったBBSに
カキコして教えてくれた。 この漫画のタイトルは 『霧笛』 で、
ある小説家っていうのは、レイ・ブラッドベリ だと。
そして、私が忘れてた大切なラストも。

3行だけ、友人のカキコから抜粋 させてもらいます。

[2003/04/12.AM.3:55]..............................................................................
「霧笛」は、灯台を破壊した後も、
恐竜はふたたび、ずっと待ち続ける…ってラストなんだよね。
憎んで、破壊しても、やはり、それを求めてしまう…って
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日記には、すごく大切なのが抜けてたー。 o(- -;o
ありがとうです。 (*- -)人

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