誰?僕を呼ぶのは?

ライティ?違う…これは……。

足元に見えるのは僕達の住んでる街?

消えていく、町の明かりが。全てが闇に閉ざされる。

消えていく、全てが。嫌だ、嫌だみんな消えないで。

えっ北の方が光っている。あそこは黒地山。

あれは……。

 

ジリリリリリリリリリ!!

「うわあっ!」

目覚し時計の音に僕は飛び起きた。

「はあ、嫌な夢だったなあ。」

「雄也、そろそろ降りてこないと遅刻するわよ。」

母さんの声が下から聞こえる。

急がないとまた翔護に寝坊したって言われるよ。

けど、あの夢ってなんだったんだろ?

 

第5話

「雷勇者降臨!!」

 

ナイツエレメンタル、司令室。

智彦に数名の白衣の男女。そして自衛隊の服をまとった男が2人いた。

「本日を持ち、ナイツエレメンタルに配属された大林紳一、元二等陸尉です。」

「同じく基山良樹です。」

智彦に向かって敬礼する男は先日勝手に自衛隊の兵器を使って

ゼグルのロボットを攻撃していた2人であった。

「まあまあ、そんなに固くならずに。ここは自衛隊じゃないんだし。」

「そりゃあ、そうだ。まあ、よろしく頼むわ。」

智彦の答えを聞いた紳一はおどけた様に言った。

 

地下格納庫に雷獣ライティと白いひげを生やした小柄な老人、腰まであるブラウン色の髪を持つ女性がいた。

「今の所、地球に降りたっておるのはわしらだけのようじゃな。」

老人がライティに確認する。ライティが頷くのを見て老人が続けた。

「まあ、今はここに世話になるとしよう。」

「けれども、強くなりましたね。ライティさん。」

「そっ、そうですか?」

女性に誉められ照れるライティに老人はため息をついて言った。

「あまる誉めるな。ライティも浮かれるな。」

「もしかして、妬いているのですか?」

女性の言葉に老人はそっぽを向いた。

「まったく、相変わらずですね。そうだ、これから出かけませんか?」

「まあ、この町のことはしておいた方がいいしな。ライティはどうする?」

老人の問いにライティは何を言うんだというような表情になる。

「この姿で街を歩けば騒ぎになるでしょう。」

「いや、エレメントテクターでわしらを送ってくれぬか?」

「そういうことなら、いいですよ。」

 

智彦が紳一達と話し、ライティ達が話し合っている時。僕達は教室で授業を聞いていた。

あと、五分くらいで今日の授業も終わりだよなあ。

けど、なんだろう今朝見た夢。今まで見た夢とは何か違う気がするんだ。

あの時僕を呼んでいたのって。あの雰囲気はライティに似てた。

妙に気になるんだよなあ。

「雄也。」

なんだったんだろう。

「雄也ってば。」

気になる。今度、黒地山に行ってみようかな。

「雄也!!」

「うわあああ!」

翔護の大声で僕はバランスを崩して転げ落ちた。

「いつもより派手に転んだなあ。もうとっくに授業終わってるぞ。」

どうやら、だいぶ前から翔護は僕を呼んでいたらしいけど。

考え込んでてまったく気がつかなかった。

「まったく、今日は真希の買い物に付き合うんだろ。」

そういや、昨日約束したっけ。

真希ちゃんも翔護の横で呆れている。

「どうしたの。いつもよりぼぅっとしてたけど。」

「ちょっと気になることがあってね。」

立ちあがり倒れた椅子を直しながら真希ちゃんに答える。

「ふうん、それより、早く行きましょ。」

「じゃあ、俺は邪魔しちゃいけないからな。楽しんでこいよ雄也。」

そういって翔護は教室から出ていった。

 

ここはショッピングモール。

最近は駅前にできた新しいデパートに押されているけど、普通に物を買うならこっちの方が買いやすい。

学校や家からも近いしね。

「こっちにしようかなあ。」

真希ちゃんが見ているのはぬいぐるみの山。

ちなみに僕は紙袋を持っている。中身は真希ちゃんが買った本とか布とかなんだけど。

布って、何か作るのかなあ。

「決めた、これにしよっと。」

真希ちゃんが決めたのは白いオコジョのぬいぐるみだった。

「いいんじゃない?」

「うん、じゃあお金払ってくるから。」

真希ちゃんはそういうと嬉しそうにレジにいった。

いつものことだけど、本当に嬉しそうだなあ。

「おまたせ、じゃあ行こっか。」

「うん。」

会計を終わらせた真希ちゃんと一緒に店から出ようとした。

「うわっ!」

「きゃっ!」

そこで僕は誰かとぶつかった。

「すいません。」

「いえ、私もよそ見をしていましたから。ところで雄也さんは彼女とデートなのですか?」

謝る僕にその女性は言う。

けど、僕はその女性に見覚えがない。

背が高く、お嬢様らしい気品あふれる顔立ちに、腰まであるブラウン色の髪の毛。

「あなたは、だれですか?」

真希ちゃんが尋ねる。

「そう言えば、この姿で会うのは始めてでしたよね。」

「こんなとこにおったのか。探したぞ。」

白髪に白いひげを伸ばしたおじいさんが僕達のほうに歩いてきた。

「すいません、ムトさん。」

女性がおじいさんに謝ってる。あれ?ムトさんってたしか………。

「もしかして、アートさんですか?」

真希ちゃんが驚いた様に女性に尋ねる。

ムトさんとアートさんって、たしかライティの仲間。

「人間の姿になれたんですか。それで何をしているのです?」

「この街のことを色々知りたいと思いましてね。」

僕にアートさんが微笑んで答える。優しそうな笑顔に僕は見とれていた。

「雄也くん……。私がいながらなにしてんの?」

真希ちゃん、怒ってるよね。あれって…。

「いや、あの……ごめんなさい。」

「まあいいわ。私でも見とれるぐらいだから。」

真希ちゃんはあっさり許してくれた。けど、後で何かおごらされるかも。

「ところで、ライティは?」

「あやつは姿が人間じゃないからのう。エレメントテクター融合状態でここまで送ってもらったんじゃ。」

「そういえば、そうよね。散歩させるわけにもいかないし。」

「真希ちゃん……ライティは犬じゃないよ。」

僕達のやりとりを見ていたアートさんは微笑んでいた。

 

 

「僕は犬じゃない!」

『どうかしたのです?ライティ。』

「いえ、なんでもありません。智彦さん。」

駐車場にライティはいた。もちろん車形態である。

一人で待っているのが暇だったので智彦と通信で会話していたのだ。

『まあ、いいです。それで変わったことはありませんね。』

「ええ、今の所は。」

『ところで、ライティ。あなたには弱点がありますね。』

「空を飛べない事ですか?」

『そうですね。そこで相談なのですが飛行機と融合できませんか?』

智彦の問いに、ライティは考える間もなく答えた。

「無理ですね。フォーマットリングは一種の契約。ある程度、時がたたなければ別の機体に融合できません。

 それに、おそらく僕が飛行機と融合すると今より弱くなると思いますよ。」

『そうか、ならば飛行用のユニットを開発する必要があるか、新たな2人のためにもな。』

「ムトさん、アートさんですね。あの二人も飛行はできませんから。

 まあジャンプして空中の敵を攻撃することはできますが。」

『それでも、やはり空中戦力は必要ですね。』

「ええ、それにブルードラッケン……あれには今のままでは勝てない。」

『おい!聞こえっか。智彦!ライティ!』

智彦との通信に別の通信が割りこんできた。

「紳一さん。どうしたんです。そんなに慌てて。」

『あの青いロボットが現れたんだ。場所は緋宮湾の埋立地。詳しい場所は今送る。』

座標のデータがライティと司令室のコンピューターに送られた。

『ライティ!』

「了解!っと、ムトじいさん達を拾っていかないと。」

『先に行っとけ、あの2人はおれが拾ってく。エレメントテクターのこともあるしな。』

「紳一さんが?わかりました頼みます。」

そう言うと、ライティは駐車場から道路に出て埋立地に向かった、無料駐車場だった事が幸運だった。

内心ホッとしているライティであった。

 

僕達はショッピングモール近くの公園にいた。

他愛のない話しをしているとムトさんとアートさんの持っているエレメントコマンダーが鳴った。

『ムト、アート。ゼグルが現れた場所はコマンダーに転送する。』

「父さん?」

『雄也もいたのか。状況は聞いてのとおり、街ではないのだが一応避難しなさい。

 ムトじいさん、アートさん。現場にはライティが先行している。君らのテクターは紳一君らが持ってくるはずだ。』

公園の入り口にトラックとクレーン車が止まった。

「ここにいたのかよ。探したぜ!」

紳一さんの声って、あれがエレメントテクター?前見た時とちょっと違うけど。

「ああ、さすがに大砲乗っけて街中を走ると目立つから。カモフラージュですよ。」

僕の疑問に気がついたのか良樹さんが説明してくれた。

「まあ、ちゃんと本来の機能も持ってますけどね。」

「こら!さっさといかねえとライティが待ちくたびれっぜ!」

紳一さんに怒鳴られた良樹さんは飛びあがってクレーン車に走っていった。

「では、雄也君たちは早く帰るんじゃ。」

トラックに乗りながらムトさんが僕達に言う。

「気をつけてね。」

「有難う御座います。」

クレーン車に乗ったアートさんが言う。

「じゃあ、飛ばすぜ!」

「ちょっと待ってください!」

紳一さんの声と共にトラックは猛スピードで走り去り、それを追うようにクレーン車が走っていった。

後には僕と真希ちゃんが残された。

 

緋宮湾。それは街の南に位置する広い湾である。

工場や埋立地が多い。その埋め立て地の一つにブルードラッケンは立っていた。

「早く来い、ライティ。」

ラバルはコックピットの中で待っていた。彼の目的はただ一つライティ達を倒すことである。

「俺のコレクションをあそこまで破壊してくれたんだ。許すわけにはいかない。」

ラバル、結構自分勝手な奴である。

 

「いくぜ!モードチェンジ!

埋立地に走りこんだ黄色い車が瞬時に変形し黄色の剣士になった。

「雷剣士、ライティ!」

ライティが埋立地に立つ。

目の前にブルードラッケンがいる。だがラバルはなにも言わない。

さらにオレンジ色のトラックと黄緑色のクレーン車がやって来た。

「間に合ったぞ!」

「紳一、降りるんじゃ!変形するぞ!!」

「良樹さん。ここは私達に任せてください。」

「了解です。」

二台が止まると、紳一と良樹は降りる。

「セットアップ!」

「エレメントテクター!」

ムトとアートの声が響くとトラックのコンテナ部が消え、かわりにハイパーガドリングが装備される。

クレーン車もクレーンが消えマルチアタッチメントランチャーが装備された。

「モード・チェンジ!!」

そして二台は変形しロボット形態を取った。

「土の拳士・ムト!」

「木の拳士・アート!」

三体のロボットが来た事を確認したラバルはようやく口を開いた。

「そろったな、待っていたぞ。」

「わざわざ僕達がそろうのを待っていたというのか?」

「ああ、お前らを倒す!」

「3対1じゃがな。」

ムトの言葉をラバルは笑う。

「ははは……誰が一人といった?」

ブルードラッケンが左手を上げた。その瞬間、海より小型メカがいくつも現れた。

「数は多いが、今までのよりずいぶん小さいな。」

「はっ、こいつを甘く見ないことだな。行けっ!ブロムガ。」

次の瞬間、浮かんだ小型メカが一斉にビームを放った。

「散開し各個撃破するんじゃ。ライティ、アート!」

『了解!』

そう、それが最良の手だった。だが、空よりなにかが猛スピードで突っ込んできた。

「うわああ!」

それに弾き飛ばされ、ライティは地面に倒れる。そこにブロムガのビームが襲いかかる。

「なんじゃ!くぅっ。」

再び空より襲いかかって来たそれを直前でかわしたムトであったが、発生したソニックブームで体制を崩す。

そこにブロムガの攻撃が襲いかかった。

「ライティさん、ムトさん!きゃああ!」

ムト達に気を取られていたアートは空より降り注ぐミサイルに気がつくのが遅れた。

爆煙がアートを包んだ。

いつのまにかライティ達はブロムガ達に囲まれていた。

「どうだ、小型戦闘ビット『ブロムガ』と超速飛行ロボ『ソニックランス』の波状攻撃は。手も足も出まい。」

ライティ達は体勢を整え反撃しようとしたが、そのたびソニックランスの攻撃を受けてしまう。

「簡単には倒さねえぜ。俺の破壊されたコレクションの分、苦しめて苦しめて苦しめてやる!

ラバルは攻撃を受けつづけるライティ達に告げた。

「おまえらが守ろうとしている物を破壊してやる!無力な自分を恨み、苦しめ!」

ブルードラッケンが再び左手を上げると数体の灰色のロボットが海中より現れ、街に向かって歩いていった。

「まさか街を!うわっ!!」

灰色のロボットを追おうとしたライティにブルードラッケンの蹴りが炸裂した。

「その目で見てろ、お前が守ろうとした物の最期をな!」

ライティを踏みつけたブルードラッケンのコックピットでラバルが笑い飛ばした。

 


 

僕達は公園から帰路についていた。

もちろん買い物袋は僕が持っている。

「アートさんたち大丈夫かな。」

「大丈夫に決まってるよ。ライティもムトさんも、アートさんもね。」

それは心からの言葉だった。たしかにブルードラッケンは強いけど、ライティ達だって負けちゃいない。

それに僕達が信じなきゃ、誰が信じるんだ。

「そうよね、けど嫌な予感がするの。」

嫌な予感、そう言えば今朝見た夢も何か嫌な感じがした。全てが闇に包まれる夢。

大切なものが、街が、父さんや母さんが、ライティが、翔護が、そして真希ちゃんが消えていく夢。

けど、あの時僕を呼んだ声は……。それに最後に見えた輝く黒地山はいったい。

「きゃあっ!」

真希ちゃんの叫び声で考えは中断された。

「真希ちゃん!?」

一瞬なにが起こったかわからなかった。だが見上げたそこに灰色のロボットがいた。

「またこのパターン?!」

僕の言葉に同意するように灰色のロボットが銃を構えた。

だが、次の瞬間爆発が起こった。

「雄也!真希、無事か。」

呆然としていた僕達は、紳一さんの声でようやく我を取り戻した。

「今の内に、にげるんだ!くらえ!」

紳一さんは黒い何かをロボットに投げた。それはロボットに当たると爆発した。

あれって手榴弾?そう言えば紳一さんって元自衛隊員だったっけ。

ロボットがひるんでいる隙に僕達はロボットの姿が見えない所まで逃げる事ができた。

「そう言えばライティ達は。」

「それが、かなりまずい状態です。」

良樹さんの言葉に僕も真希ちゃんも言葉を失った。

「ライティ!」

僕はエレメントコマンダーを取り出しライティに連絡しようとした。

だが、連絡はできなかった。

その代わりにモニターに光点が点滅していた。

「これは?真希ちゃんエレメントコマンダーを貸して。」

僕は真希ちゃんのエレメントコマンダーを受け取ると。父さんに連絡した。

『コマンダーに謎の光点?ちょっと待て。こっちで確認する。』

「うん。ライティは………通信不可能!?」

父さんに光点について話したあと、ライティに連絡しようとしたけど、やはり連絡できなかった。

「ライティ……。」

僕の脳裏に今朝見た夢が蘇る。何を考えてるんだ僕は!

その時コマンダーから父さんの声が聞こえた。

「雄也、お前のコマンダーには別の所からの通信が入っているようだ。ただ、音声ではなくデータのようだが。」

「データ?」

「何のデータかはわからない、発信地は黒地山の遺跡だ!」

それを聞いた僕はその場から走り出そうとした。

「おい!黒地山に行くのなら待ってろ、車持ってくるぜ!!」

紳一さんが叫ぶ。

「たく、黒地山までどれくらいあると思ってるんだ。」

 

 

「ははは、どうだ街が壊れていくぞ!」

「おのれ……。」

ブルードラッケンに踏みつけられ身動きの取れないライティがうめく。

ムトとアートは、周囲にいるブロムガを倒していった。

だが、倒しても倒してもブロムガは無数に現れ攻撃を繰り返した。

「どうなっておるんじゃ。うぉっ!」

「いくらなんでも不自然です。きゃぁぁ!」

空からの攻撃に翻弄される二人を見てラバルは大声で笑った。

 

 

僕達が黒地山に近づくにつれてコマンダーの点滅は激しくなっていた。

「なんなんだろ?これは。」

『解析はしているが、今はなんとも言えない。』

父さんの言葉を聞きつつ僕らは遺跡に急いだ。

遺跡に行けばなんとかなる、それは僕にとって希望から確信に変わっていた。

遺跡の入り口には東条教授と武信さんがいた。

「雄也君、話は智彦君から聞いた。これを見たまえ。」

遺跡の壁に刻まれている模様が光り輝き、明滅を繰り返しているている。

「ねえ、この点滅。コマンダーと同じ点滅よ。」

真希ちゃんが言う通り、コマンダーと模様の明滅は同じであった。

 

『ユウヤ……。』

「何か聞こえなかった?」

僕の問いに誰も答えなかった。

いや僕の周りに誰もいなくなっている。みんなどこに。

僕は周囲を見まわした。だがそこはさっきまでいた遺跡の入り口ではなかった。

漆黒の空間、そこに一人の男性が浮かんでいた。

年のころは20代、青い髪に黒い瞳。青色の半袖にジーンズといった服装をしている。

「やっと、会えた。」

その声は僕を呼んでいた声だった。

「ずっと夢を通じて呼んでいたんだが。」

「あの、あなたは一体?それにここは?」

恐る恐る尋ねる僕にその人は少し考えてから答えた。

「オレの名は青隼。精霊騎団の隊長だ。」

「えっ?精霊騎団ってライティ達の?」

その人は頷くと話しを続けた。

「ここは、精神世界に近い所だ。オレにもわからないが、なにか巨大な力が空間を歪めている様だな。

 まあ、そのおかげで君を呼んだりできたんだけど。」

「今、ライティ達が危機なんです!」

僕の言葉に青隼さんは真面目な顔で告げた。

「今、オレはここから遠く離れた場所でゼグル本隊と戦っている。

 だが地球に降りた四方将はライティ達には少し荷が重いかもしれん。

 全員そろえばなんとかなるかもしれないが、他のメンバーの安否も確認できていない。」

「それじゃあ、ライティ達は!?」

「だから君に頼みたいんだ。ライティと心を重ね合わせれる君の協力が、

 いや精霊達と心を重ねられる君達の協力がね。」

「どういうこと?」

青隼さんは周囲を見まわすと、ある一点を指差した。

そこには一匹の鳥が漂っていた。

「あれは?」

「かつて、この世界を守った勇者ブレイの翼であり鎧。ブレイダーです。」

「えっ!」

青隼さんの言葉に僕は驚いた。そんなものがこの世界にもあるなんて。

「今は、これに賭けるしかありません。雄也君。」

「は、はい。」

「君にこれを託す。みんなを頼みます。」

青隼さんの姿が薄れていく。けど託すってどういうこと?

「全てはその機械に……。」

青隼さんが指差した先には、僕のエレメントコマンダーが浮かんでいた。

「……この世界を守るのは……この世界に住む者の……ほうがいい。」

その言葉を最後に青隼さんの姿が消えた。

「僕がみんなを、ライティを助けられるの。」

その問いに答えるものはない。

僕は宙に浮かんでいるエレメントコマンダーを掴んだ。

次の瞬間、僕の頭の中になにかが流れ込んでくる。

わかる、次に何をすればいいのか。

「ブレイダー!古き姿を拭い去りて、新たなる力とならん!ユウヤの名のもとに!!」

僕の言葉にブレイダーの姿が光球に変わっていく。

そして、さらに形が変わっていった。

 

「雄也?」

目の前に泣きそうな真希ちゃんがいる。

「どうしたんだ。また泣きそうになって。」

「ばかぁ、急に消えちゃうから心配したんだよ。」

「ごめん……。けど、大丈夫だよ。」

そういうと僕は遺跡から外に出る。

「おい、雄也?」

紳一さんが僕に話しかけてくるけど、今は一刻を争うんだ。

「父さん、さっきのデータをライティに送って。」

『できない事はないが。一体なんなんだ?』

「説明は後!」

『わかった。何とかしてみる。』

通信を切ると僕は右手に持ったエレメントコマンダーを空に向け叫んだ。

「サモン!サンダァァァブレイダァァァァ!」

刹那、エレメントコマンダーから空に光が放たれる。

その光は天を走り、大型ジェット戦闘機にかわった。

機首と翼、それに付随するブースターが白、他は紺色。各部に黄色いラインが入っている。

「あれは、なんだ?」

武信さんの問いに僕は自信を込めて言った。

「蘇った伝承。そして新たなる力だよ。」

サンダーブレイダーがこちらに向かってくる。そして機首から光の帯が伸び僕の身体を包む。

一瞬の浮遊感を感じると、僕はサンダーブレイザーのコックピットにいた。

わかる、操縦法がどうすればいいのかも。

「ライティ!今行くからね。」

僕はライティ達の元に急いだ。

「雄也くん……。」

それを真希ちゃんは呆然と見ていた。

 

「さて、そろそろ終わらせるかな?」

ラバルが言う。

ムトも、アートもすでに動かない。

ブルードラッケンが魔王剣の切っ先をライティの首元に突きつけた。

「終わりだ!」

次の瞬間、爆発がおこった。

「なっ!」

ラバルがその方向を見ると次々とブロムガが破壊されていく。

「なんだ、あの戦闘機は!」

ラバルがそれに気を取られた一瞬をライティは見逃さなかった。

「うおぉぉぉぉ!」

気合と共にブルードラッケンの足を持ち上げるとブルードラッケンから離れる。

「ガドリング!」

「拡散弾発射!」

ムトとアートもハイパーガドリングとマルチアタッチメントランチャーをブロムガに発射した。

連鎖的にブロムガが爆発する。

 

「危ない所だった。けど間に合ったよね。」

僕はホッとしていた。

ブロムドがこっちに向かってレーザーを発射してくるけど、こんな攻撃かわさなくても。

案の定こっちのスピードに追いつけなくて全然違う方を撃ってる。

「ライティ、聞こえる?」

僕の声にライティは当然驚いた。

「雄也、雄也なのか?」

「そうだよ。」

僕は簡単に今までの事を話した。その間も敵の攻撃はかわしている。

「隊長が無事だったのか。」

「本当によかった。」

「ならば、わしらも負けとれんな。」

アートさんがリカバーシェルを発射し三人の損傷が修復されていく。

ムトさんの蹴りが複数のブロムガを叩き落し、ライティがスパークバインドで複数のブロムガを振りまわす。

もちろん、僕も機体左右のスパークショットでブロムガを落として行った。

「おっと。」

こっちに突っ込んできたロボットを僕はかわした。

「空中戦ならこっちが上だ!」

ラバルの声が響く。

たしかに敵の動きが速く決定打は撃てない。その時、父さんから通信がはいった。

『データ転送完了しましたよ。』

「父さん待ってたよ、その言葉を!ライティ聞こえる?」

「ああ、わかった!」

ライティも何をするのかわかってるようだ。そうあのデータ、いやプログラムは……。

「ブレイブチェンジ!」

僕の声と共に合体サポートプログラム発動の文字がサンダーブレイザーのコンソールに表示される。

サンダーブレイザーが垂直方向に昇って行く。

機体下部、左右のブースターがそれに付随するウィングごと機体上部に移動し、機体下部が伸びると脚になる。

機体前部、左右の部分が縦方向に180度回転し腕が伸びて、肩から腕ができる。

ブースターが上にスライドし、主翼が上にスライドし90度横に回転した。

機首が背中の方に折れ曲がり、左右ブースターの間に挟まれる様におさまる。

「とぅっ!」

ライティがジャンプし車形態になり、そのまま胸部に格納される。

「セットアップ!」

ライティの声と共に紺色の頭部が現れ、たたまれていた金色の額飾りが展開された。

瞳に緑の輝きが灯る。

「雷帝合体!ブレェェェイブ・ライティ!!」

その声はライティの声だった。今、紺色の鎧に白き翼を持つ勇者が降り立ったのだ。

僕は、闇の中にいた。けど不安はない。なぜならここはライティの中だから。

僕の足元に図形が描かれた黄色い円がある。魔法陣なのかな?

目の前にライティが見ている風景が見える。

「ライティ!」

「うん、雄也!スパークショット!!

ブレイブライティの両腕に装備されている銃から雷撃の弾丸が連続で発射される。

「すごい。」

あっという間に爆発四散したブロムガを見てアートが呟く。

「サンダーソード!」

右足のサイドから剣のグリップが飛び出すとそれを掴む。

光が伸びると、それが銀色の刃となった。

バーニアで空を飛びソニックランスと対峙した。

高速でこちらにミサイルを撃ってくるけど、その程度なら。

案の定ライティが剣で斬り落とした。その時の爆煙でソニックランスの姿が見えなくなる。

けど、僕には見えている。

「右だよ、ライティ!」

「わかった!」

突っ込んで来たソニックランスを素早くかわす。すれ違う一瞬に剣を振るいウィングを斬り落とした。

「サンダーチャージ!」

剣に雷撃が集まる。その剣を右手にバーニアを開放して落ちていくソニックランスに迫る。

「シャープネス・サンダー!!」

すれ違い様にソニックランスを切り捨てる。

ブレイブライティが着地するとソニックランスは宙で爆発した。

「ここまでのパワーがあるとは!」

ラバルが叫ぶと姿を消した。

「逃げたのか。」

「たぶんね。」

僕はライティに答えると、ムトさん達に言った。

「さあ、はやく街にいるロボットも何とかしないと。」

「そうじゃったな。急ごう。」

この後、街にいるロボットが全て倒されるのにそんなに時間はかからなかった。

 

 

「雄也くん!」

僕がブレイブライティから降りると真希ちゃんたちが駆け寄ってきた。

「雄也くん、雄也くん!」

真希ちゃんが抱きついてくる。たしか前にも同じような事があったっけ。

「いたいよ、真希ちゃん。」

「よかった、無事で……。」

「しっかしブレイブライティか。すげえな、これで空を飛ぶ敵も大丈夫だよな。」

紳一さんの言葉に真希ちゃんは反応した。

「けど、雄也くんがなんで戦わないといけないの?」

真希ちゃんの問いに、僕ははっきりと答えた。

「守りたい人がいるからだよ。そしてそのための力もある。これでなにもせず逃げたら、それこそ卑怯者だよ。」

「なんか、雄也くんが変わった。どこか手の届かない所に行ってしまいそう……。」

「僕はここにいるよ。だって、僕の守りたいモノはここにいるんだからね。」

「雄也くん……。」

そう、今ならはっきり誓える。「真希ちゃんは、僕が守る」って。

 


次回予告

雄也だよ。

突然ライティに向けて決闘を申し込む通信がはいった。

駆けつけるとそこには漆黒の騎士が現れた。

その名は四方将、闇騎士デスモード。

えっ?「勇者の剣」の力を見せてもらうって?

そして、現れる。漆黒の魔王。

次回、雷勇者ブレイブライティ

第6話「漆黒の挑戦者」

今、新たな伝承が刻まれる。

 

シークレットコード「キングス・チャリオット」


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