ショートスキーの弱点と怖さ

ショートスキーの「ここなんとかならないの?」と思ってしまう所

ここまでは普及振興家としてショートスキーをべた褒めしてきましたが、普段ショートスキーを使っていて「もうちょっとなんとかならないものか?」と思うこともあります。
基本的には大体のことはお気軽精神で気にはならないのですが・・・
メリットがあればその反面デメリットもあるのが世の常なのである程度は仕方がないことなのですが、あまり良くない面も理解した上で使うのとそうでないのとでは違ってくることもあるので参考にしてください。


ショートスキーのビンディングは転んでも外れない

まず一点目はビンディング(スキーとブーツをつなぎ止める金具のこと)です。
ショートスキーとかファンスキーという呼び名で市販されている商品は基本的にビンディングが標準装備されているものがほとんどです。しかもそのビンディングは危険な方向に力がかかっても外れてくれない”ちんけなもの”です。
本当に簡易的な構造でブーツの踵に後ろの金具をセットしてブーツの爪先側の金具でテコの原理を利用して挟み込んで止めます





ブーツのサイズに合わせて調整できるのはとてもナイスなのですが、あまりにも簡易的すぎます。格好良いとはお世辞にも言えない風貌に加えて、雪を取ってガチンと履き込むだけの普通のビンディングと違いブーツにセットするのが非常に面倒くさいです。現地では足元に雪が絡みついているうえにストックを持っていないことが多いので尚更です。
それは我慢するとして、一番の問題はビンディングが解放して(外れて)くれないことです。「ショートスキーは危険です」でもその内容に触れますが、本当に危ないと思います。
変な方向から力がかかると解放してくれるビンディング(長いスキーに着いているものと同じもの)を付けられるタイプもありますが、残念ながらショートスキー界ではこっちが少数派です。
これだけショートスキーが世に出回ってスキー場でもよく見かけるようになってるのだからショートスキー市場も製作メーカーから見ても無視できないはずなんですが、一体メーカーはいつまでこの止め具を標準装備で売り続けるつもりなのでしょう。
デザインや性能はさておき真っ先に「なんとかしてほしい」と切に願います。


ショートスキーには流れ止めがなくリーシュが必要

そして二点目がリーシュコードです。
リーシュとは板と自分の足とをつなぎ止めておくものです。スノーボードでは当たり前のように付けるものですが、スキーにはその習慣がないのであまり聞き慣れない人もいるでしょう。
スノーボードと同様にショートスキーには長いスキーのようにビンディングに板の流れ止め機能がついていません。もし板が外れてしまった時にショートスキーだけが滑っていくことがないようにするための非常に大事なものです。
それを知ってか知らずか、格好悪いからといってリーシュを付けずに滑っている人たちもいるようです。事故をしようと思ってする人はいません。僕が宝くじを当てる確率よりは自分の板で人を傷つける確率の方が何倍も高いのです。
そのリーシュコードですが、これがなんとも付けるのが面倒くさいんです。もしかしたら面倒くささが原因で付けないという人のほうが多いのかもしれません。ショートスキーのリーシュは一方が元々ビンディングの後ろ側の金具に付いていて、そのもう一方の端を足に回してつなぎ止めておくものが主流です。リーシュコードの長さの調整は微妙で長すぎると滑るときに邪魔になったり気になったりするし、逆に短すぎると止めるときに大変です
このことについては個人的には今シーズンはスノーボードに習ってあらかじめジャストサイズにセッティングしたリーシュを足の方に取り付けておいて、もう一方の端をビンディングに止めにいけるような金具にしようと思っています。まだ構想段階でうまくいくかはわかりませんが、それで大体リーシュについての私の悩みは解決するはずです。
ただでさえストックのない状態でショートスキーは履くのが大変です。ショートスキーを一度でもされたことのある方ならリーシュコードの取り付けが大変だったと感じた人も少なくないのではないでしょうか。


深雪の滑走は不可能と覚悟する

最後にショートスキーなのだから仕方がないと僕は思っていますが、ショートスキーに対する情報がまったく無い状態で私のサイトへ来てくれている方のために書き加えるとするともう一点。
緩やかな斜面での新雪や深雪では雪と設置している面積が少ないため浮力が弱く(理科の教科書的な説明になってしまってすみません。)板ごと埋まってしまい非常に滑りにくいです。もっとストレートに言うと深雪では滑走不可能です
そういう時は長い板や深雪用の太い板を使いましょう。そのほうがよっぽど楽しいです。


ショートスキーは危険です

ショートスキーは普通の長いスキーよりも危ないものだと思って間違いありません。
ショートスキーはスピードが出しにくいことやとても扱いやすいため比較的安全だと思われてきた傾向があります。そういう一面もあるとは思いますが、それは必ずしもすべて当たっているとは言えません。怪我をしてもそれがショートスキーでの怪我なのか、スキーによるものなのかまでの統計はありませんが、怪我に結びつく割合としたらショートスキーの方が多いのかもしれません。
ショートスキーの「ここなんとかならないの?」と思ってしまう所で述べたようにショートスキーの板は転んでも解放して(外れて)くれません。
いくら板が短いといっても転んだときは邪魔になるし、雪の塊に足をとられて転ぶことなんてざらにあります。そんな時に板が外れてくれないととても恐いことになります。
実際、私も運良く怪我には至ってはませんが、何回か恐い思いをしたことがあります。
結構なスピードで滑っている時に転んで二回転した後でも律儀にしっかりと僕の足にへばりついていました。履くときにきっちりセットされていれば基本的には外れないと考えておいた方がよろしいかと思います。絶対外れないということもないのですが、外れる時は外れるというよりはもぎ取れると言った方が的確です。
板が外れないため、あまりにもあっけなく骨折などの大事故につながる可能性があります。実際に骨折したという人もたくさんいるようです。
ネット上にはファンスキーの危険性についての説明や事故報告について詳しく書かれているサイトがたくさんあります。危険性について検証するためには実際に起こった事故について考えることが最も有効なのは言うまでもありません。ちょっとショートスキーをするのが怖くなるような内容ですが、具体的に本当にあった事例をもとに書かれているのでリアルです。
新たにショートスキーを始められる方もすでに夢中になっている方も一度目を通しておいても損はないと思います。
楽しく遊ぶためにスキーに行って大怪我をして帰ってきたとあっては目も当てられません。
ショートスキーを本当の意味で楽しむためにはその危険性についてもしっかり理解した上で楽しみたいものです。

ここではショートスキーが危険と思われることについて4点挙げます。個人的に特に重要と思ったことに絞っています。スキーや他のウィンタースポーツと共通して言えるような危険性もほかにたくさんあることは言うまでもありません。


解放しないビンディング

固定式のビンディングへの批判ばかりになってきてしまうので、何回も何回も書きたくはないのですが・・・(固定式も軽量化や価格の引き下げなどファンスキーの流行にはなくてはならない要件だったことは間違いありません。)
転倒しても板が外れることがほとんど無いので、そのまま体へのダメージになってしまいます
残念なことに人間の関節というものは一方向にしか曲がりません。板が雪面に引っ掛かり逆方向に力が掛かれば、昔々理科の授業で習った「てこの原理」でポキッということです。


興味本位や無謀なエアトリック

このサイトのモットー「跳ばない!!」ことが唯一の危険回避と言えますが、もともとそういう遊び方もすることを前提に作られた商品です。しかも、スキー場のパークでエアトリックを決めているシーンは誰が見てもカッコイーのは良くわかります。
しかし、順を追って練習をせずにいきなり度胸のみのビックエアーを跳ぶような人もチラホラ。
普通に滑るよりも飛んだり跳ねたりする方が危険度が高いのはあたりまえですが、それよりもパークに入るスキーヤーが未熟なために危険な状態になっている場合が多いのでは?
パーク内は様々な形状のエア台やレールなど危険そうなものがいっぱいです。くれぐれもお気をつけて。


板の短さによる特性を理解しないまま使用

板が長かろうが短かろうが斜面の角度は同じなので、真っ直ぐ直滑降で滑れば同じようにスピードが出ます。スキー場での怪我についてはあまり滑走スピードとは関係がないと言われますが、きちんとコントロールできるスピードで滑らないと危険です。
スピードに対することだけではなく、ショートスキー全体の特性をきちんと理解できていないことにより危険な状態になっていることも多いように思います。

板が短いゆえに
・前後左右に安定性が乏しいこと
・エッジの長さも短いのでその分止まりにくいこと
・サイドカーブがきつく、ずれにくい(反発も強い)こと



スキー経験者の慢心

長い板と比べるとかなり回転性能が高いので、スキー経験者が「簡単に曲がれる!」と思ってしますのは仕方がないことでしょう。
ところがどっこい、滑れば滑るほど奥深くもあり難しいことに気づくはずです。
長いスキーに比べれば楽勝と慢心しきって滑っていると、痛いしっぺ返しを食うことに


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