オペアンプでオーディオアンプを作る

 下図はこのOPアンプを使った基本的な回路で極めてシンプルになっています。ただし、入力回路やスピーカー保護回路は別途必要になります。抵抗は1kと10kですので利得は11倍(20.8dB)です。1kか10kを増減すれが利得を調整できます。このOpAmpのGB積は1.4MHzですのでオーディオ帯域であれば36〜37dB程度は増幅可能です。THD(全高調波歪)は1KHz・2Wでカタログ上のTypicalですが0.2%以下です。OPEN−LOOPのときは10Hzからオクターブ20dBで下がっていきますが、1.4MHzまで伸びています。オーディオに使用するのですから、当然、メインアンプとしての使用になりますので音質調整やイコライザがない分シンプルになります。その分、ノイズ密度が重要になります。Typical値で36nV/√Hzとなっています。今回のような使用には十分と思いますが、Hi-Fi用としては大き目の数値と思います。5-Lead TO-220のパッケージですがラジエターは付けていません。この場合の熱抵抗はTypicalで65℃/Wです。

 BURR-BROWNのFET OpAmp OPA544を使用した簡単なアンプです。負荷電流2Aまで流すことができる高電圧・高電流のオペアンプで、モータードライブ・プログラマブル電源・サーボアンプやオーディオアンプ用ということで、スマホやウオークマンをスピーカーで聞けるオーディオアンプを組立ました。

 次に測定用の負荷を用意します。理論的には出力電流が2Aで負荷を8Ωとすると最悪32Wになってしまいます。高価な標準抵抗は持っていませんので、とにかく手持ちのハイパワー用の抵抗をかき集め図のような構成になりました。見た目はよろしくありませんが計算上14Wまでは使えそうです。酸化金属とセメントが入り混じっています。

ダミー用抵抗

75×45mmのユニバーサル基板にOPA544を2つ搭載しています。

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テスト風景はこんな感じです。外観はほとんど気にしていません。スピーカーはテスト用で、実際はパワーに耐えるものを使います。

プラス・マイナスの2電源が必要なので、12Vのスイッチング電源が余っていましたので2個使用しました。2次側をカスケード接続しています。

テスト用スピーカーは100均のスピーカーのケースを使いましたが、中身のスピーカーは別のものに入れ替えます。0.1Wではボイスコイルの焼損で到底使用できません。

回路の説明

で計算しますと7.35Ωで、実測値は7.8Ωです。一番弱いのは35Ω3Wですが、電圧は10.2Vになります。この電圧をもとに他の抵抗の消費電力を計算すると39Ωは2.7W,47Ωは2.2W、33Ωは3.2Wになり、トータルで14.3Wになりますので、この値まではダミーとしては大丈夫ということになります。

 次に音源を決め、その出力レベルからOPアンプの入力レベルを決定します。音源はジャンク屋で入手したSDプレーヤーに決めました。実際に使用するスピーカーは公称6Ωですが、実測すると直流抵抗は8.83Ω、インダクタンスは0.03mHで1KHzで0.18Ωのリアクタンスなので無視できます。簡単に8Ωとしてしまいます。スピーカーの最大入力電力は4Wです。P=V*V/Rですので、これにP=4、R=8を入れるとスピーカーにかかる電圧Vは5.6Vになります。従って、アンプ入力は5.6/GでG=11ですから約500mVになります。音源となるSDプレーヤーのボリュームを最大にしたときPeak−Peakで5Vありましたのでこれを1/10にするため10KΩと1K半固定で抵抗分割し半固定の中点をアンプの入力にしました。半固定の調整はオシロをみながら飽和点で止めるようにしました。回路定数が特定できた時点でポップ音を確認しましたが、ほとんど出なかったためリレー回路は入れませんでした。

左はブレッドボードで時定数を決めたときの様子で、右はユニバーサル基板に組み込んだ状態です。

完成

  これでほぼ準備ができましたので電源を入れると、左右両方のスピーカーから十分満足できる音が出てきました。この音源に使ったSDプレーヤーはメモリ媒体としてSDカード、USBメモリーが使えFMチューナーが入っていてFM放送の受信ができます。また、このチューナーはSDR(SoftwareDefinedRadio)のIC(RDA5807)で処理していますので高周波部品をほとんど使用していません。このICについては、7MHz SDRを机上体験するに記載しています。それにしては感度も良く、専用のFMラジオと比べても遜色がありません。これを\1Kで入手したのですから儲けものです。2台購入し1台は検討用でバラバラになっています。

 メインアンプには、電源を入れたときに発生するポップ音からスピーカーを保護する回路が必要になります。市販の高級アンプでは電源を入れて数秒後にリレーでアンプとスピーカーを接続するようになっています。ここではCR時定数を使ってリレー駆動はMOS_FETでする回路を組みました。この回路で電源オンから約5秒後にリレーがオンして出力回路とスピーカーをつなぎます。リレーは5V用しかなかったので、直列に91Ωを入れています。並列に入っているダイオードはFETがオフしたときに発生するリレーコイルの逆起電力の転流用です。470Kに並列のダイオードは電源オフ時には47μFの電荷を放電させるためのものです。FETも手元にあったものを使いました。VGSが約2VでIをカットオフします。

合成抵抗は

スピーカー保護回路