神農祭りとは11月22日23日の二日間、大阪の道修町で行われるお祭りです。
「大阪では、十日戎が年初めのお祭りで、こちらはしめのお祭り。神農さんで一年がしまるといっても過言ではありません」
と言うわけでやってきました道修町。
メンバーは、サブマスとトウヤです。
「すごい人ー」
「盛況でございますね」
「ノボリさん、クダリさん。迷子にならないで下さいね」
三十手前に言う台詞ではありませんが、なりそうなので困ります。
「あ、じゃあ手つなご!」
と言って左手をギュ。
「それは名案ですね」
と言って右手をギュ。
「…………」
トウヤの右手、クダリと恋人つなぎ。
トウヤの左手、ノボリと恋人つなぎ。
(…両手使えねー)
ついでに逃げられません。
「トウヤ、たこ焼きかって!」
「こちらのイカ焼きはイカの形をしてないのですね」
遠慮の無い白黒兄弟に両側からぐいぐい引っ張られます。
「ちょ!お兄さん方どっちか開放して下さい!!」
「いや」
「いやでございます」
今日はオフなのでいつもの目立つコートは着てませんが、それを除いても身長190近く、双子で銀髪(おまけにおかしな造形のもみあげ)とくれば注目をあびるのは必至。
そんな二人と手をつなぎ、おまけに、
「はい、トウヤ。たこ焼きあーん」
「クダリ、ちゃんと冷ましてからにしませんと」
「だいじょうぶ、ふーふーしたから」
「トウヤ様。こちらのイカ焼きもどうぞあーんしてくださいまし」
「………」
両側からこんな事をされては、
(穴があったら入りたい…むしろ貝になりたい)
思春期な14歳はたまったものではありません。
いらん事言うんじゃなかった、と心底思うトウヤでした。
ちなみにトウヤのお目当てはべっ甲飴
さて、こちらゼー六前。
「…龍麻、何かすごく目立つ三人組が居る」
「あ?」
ゼー六といえば、アイス最中。特にバニラが最高。
で、それを食べてる龍麻と壬生です。
そんな二人の目の前をサブマスと遠い眼をしたトウヤが横切りました。
「…あれは兄弟か?似てないが」
「でも恋人つなぎしてたよ」
「じゃあ、恋人か。今日日(きょうび)のホモはオープンじゃのう」
「真ん中の子一人で両側の相手してるのかな」
「毎晩3Pか大変やな」
トウヤが聞いていれば全力で否定しますが、残念ながら耳には届いていません。
「さて、アイス最中を食べて体が冷えた!移動するぞ!」
「寒いならなんでコート着ないの」
11月中旬なので結構寒いのですが、龍麻はコートを着てません。
「甘いな。大阪の製薬会社勤務の人間は験を担いで神農祭りが終わるまではコートを着ないのさ」※本当です※
「…龍麻、製薬会社勤務じゃないよね」
「まあ、そうなんだがな…」
「僕のコートに入る?」
「そんな恥かしい事は出来ぬ!安心しろ皮膚の下は鱗やから寒さはそんなに感じない」
(むしろ爬虫類は寒さに弱いんじゃあ…)
と思いましたが、怒られそうなので黙ってました。
「しかし、寒いのは寒いからこの先の蝸牛庵でサンドイッチでも食うか」
「そうだね」
「では、行くぞい」
「……」
「壬生、どした?」
壬生が黙って手を出します。
「今日日のホモはオープンらしいから」
「なるほど」
頷いて自分の指をからめます。
「さて、なにサンド食うかな」
「ホットサンドがいいよね。寒いし」
しっかり恋人つなぎした二人はサンドイッチ屋目指して去っていきました。
ゼー六のアイス最中と蝸牛庵のサンドイッチは美味いですよ
後日。
龍麻のところに少彦名と神農が遊びに来ました。
「こんにちは」
「やっほー、黄龍元気しとる?」
「なにしにきたー!!!」
龍麻が威嚇します。
「龍麻!落ち着いて!」
「落ち着けるか!こいつらこの間の祭りで信仰心ウハウハなんやぞ!どうせ自慢しにきたんやろ!帰れ!!」
神様パワーの源信仰心
沢山あるとウハウハで、無いと神風邪をひいたりする。
ちなみに、自分の神社がない黄龍は万年信仰心不足。
神社もち及び寺もちを目の敵にしてます。
「黄龍、落ち着け。信仰心のおすそ分けにきただけや」
と言って錠剤を取り出します。
「まあ、自慢もするがな」
「それはするな。信仰心もタダやないし」
「だから大阪神は嫌いなんや!帰れーーー!!」
「龍麻、神農様は中国じゃあ…」
「出身は関係ない。土地に染まるんだよこいつらは」
結局1時間ほど自慢話を聞かされました。
「ちくそー、僕にだって神社があればー…」
「お前の知名度からすると神社があっても無理やろ」
(それは確かに)と壬生は思いましたが黙ってました。
「そういえば、今回変な願い事あったわ」
「なに?」
「いや、俺ら薬の神様やん?だいたい健康とか病気回復やねんけど、一件だけ変わったのがな」
「ああ、あったな「貝になりたい」って」
「…どこの死刑囚だよ」
「その前が「穴に入りたい」やったから何か恥かしい事でもあったんやろ」
「叶えたったんか?」
「マジ願いちゃうやん。まあ、おもろそうやから適当に叶えたけど」
「いいよな!お前たちはそうやって適当に叶えるだけの力があってよ!!」
「黄龍すねたー」
「いい歳してすねんな黄龍」
「うっさいわ!だまれ!」
壬生がよしよし、してあげました。
ポケモンの世界
「トウヤ、どうしたの?」
「いえ、この間から異常に…」
「異常にどうしました?」
「異常に隠し穴が見つかるんです。本来ならば無い場所まで」
「?よかったんじゃない?」
「でもそこで見つかるのパルシェンオンリーなんですよ」
「びみょー」
「微妙でございますね」
「ですよね…」
神様に適当に叶えられた結果です。