次ページへ    前ページへ

遅刻戦隊オクレンジャー
第7話「勝手にしなさい」


 命令伝達が遅れる・・・・これは致命的なことだった。オクレキング、オクレクイーンの技は1発たりとも当たらなかったのだ。
「おっさん! 何とかしろよ、これじゃいつかやられちまうぞ!」
「・・・・仕方ない、とっておきを出すか」
「とっておき!? んなもんあるなら、さっさと出せ!!」
「長官に向かってその口の悪さは何だ!?レッド!!」
「いいから出せ」
 アクアマリンが静かに凄んだ。目つきが鋭くて怖い。中学時代はけっこうグレていたのかもしれない。
「んなことはどうでもいいんだ!!」
「分かった、ではコンソールの前にあるハデなボタンがあるだろう」
「あぁ、3つあるが、どれだ?」
「いちばん左だ。いいか、同時に押すんだぞ」
「何が起こるんだ?」
「合体だ!!」池里はバックに稲妻が走るように叫んだ。
「がったいぃぃ!?」全員が・・・・バイオレットは寝ていたが・・・・叫んだ。
「押すぞ、レッド!!」
「お、おう!!」
「合身!チェーンジ、オクレプリンス!!」
 池里がボタンを押した20秒後、オクレクイーンが変形を始めた。
「遅い!!遅すぎる!!・・・・おい、オクレキングはどうした!?」
「すまねぇ、ボタン押すの遅れたぜ!!」
「馬鹿もの〜!!」
 オクレキングがようやく変形を始めた。
「おい、股間から何か出てきたぜ!?」
「ジョイントパーツだ!!」
 オクレキングは高くジャンプし、すでに合体体制に入って待っているオクレクイーンに、そのジョイントパーツが・・・・。
「うおぉ、倫理的理由により文章で説明できない合体の仕方をしやがってぇ!!」
「揺れるぞ、みんなしっかりつかまってろ!!」
 池里の言った通り、その振動はすさまじかった。そして約15秒後、合体は完了した。
「お、遅い! 遅過ぎる!!」
「誕生!! オクレプリンス!!」
 またもや池里の叫びが荒野にこだまする。
「オ・・・・オクレプリンス・・・・?」
「キングとクイーンが合体して・・・・」
「プリンスの誕生・・・・?」
「さ・・・・最悪のネーミングセンスね・・・・」
「むにゃ・・・・」
「う、うるさい!! さぁ、これで怪人に勝てるぞ!!」
(ちなみにオクレクイーンが上になって合体する「オクレプリンセス」もあるのだが、またブーイングがきそうだ。・・・・黙っていよう)
「長官、怪人がいません」
 レモンが冷静に状況説明をした。
「なにぃ〜!?」
 確かにあれだけ巨大な怪人の姿が見えない。池里は急いでレーダーで探知してみた。約20秒後、モニターに怪人の位置が点灯する。
「こ、これは!!槍杉博士の研究所に向かっておるぞ!!」
「さすがだぜ。ここを破壊すればこんなへんてこなロボットを相手にせずにすむからな」
 アクアマリンは「へんてこな」を強調して言った。
「ううむ、オクレキングが飛んできた方向から割だしたのか。敵ながら天晴」
「長官、感心してる場合じゃないですよ。研究所を壊されたら敵に対抗する手段がなくなってしまいます!!」
 みんなが忘れかけていた鳥越が通信機を通して叫んだ。
「よし、いくぞオクレプリンス!!」
 池里長官はまるで自分がリーダーのように仕切っていた。もはや対侵略者用兵器は、個人の趣味を満たす玩具に成り果てようとしているのか・・・・。


次回予告
「ついに、私の出番だな!!遅刻戦隊の危機にさっそうと現れた指令官兼、6人目の隊員!! そしてついに究極の変形合体!! 炸裂する必殺技!! 次回、遅刻戦隊オクレンジャー最終回『遅刻戦隊よ永遠に』に、チェーンジ、オクレ!! ん、私は誰かって? 次回で分かるさ!!」


 7 / 8


        次ページへ    前ページへ