チリメンジャコについての雑学


「ちりめんじゃこ」と「かえりちりめん」はどう違うのか。
「ちりめんじゃこ」のちょっと大きくなったやつを「かえりちりめん」と呼ぶと、ずーーと思っていました。

今日(1998年9月30日)、市場で長谷川海産の社長と話していて、ひょんな事から、上記の認識が「不十分」なことが分かりました。経緯は、こういう事です。

今年は、「ごまめ」が不漁です。
「ごまめ」というのは、又の名を「田作り」とも言い、4〜5センチくらいの片口いわしを「素干し」にしたものです。
京都のお正月には欠かせない食べ物で、カラ炒りして甘辛く佃煮風にします。(佃煮とはちょっと違うのですが・・・)
このサイズの「カタクチイワシ」は、数年前から不漁は続いているのですが、今年は特別に不漁で、九州から山陰方面の主産地でほとんど漁獲がない状況のようです。
(舞鶴では、春から夏にかけて、親の「カタクチイワシ」はいっぱいあがっていたのですが・・・・なんで、子供がいないんだろう?)

先日の台風7号と8号が、北海道を直撃しました。
ちょうどこの時に北海道へ行っていたのですが、今の時期の代表的な魚である秋鮭やサンマが獲れていませんでした。
ところが、台風一過、海の状態が変わって、秋鮭もサンマも獲れ始めました。
九州・山陰方面のイワシ関係の漁業関係者は、台風9号が九州から日本海を直撃してくれるのを期待?しているようなのですが、どうも、熱帯低気圧に変わってしまったようですね。(がっくりです。)

「ごまめ」の不漁の中身は、「ちりめんじゃこ」が大きくなり、変態して親魚と同じ体型になるはずなのですが、今年は親魚と同じ体型にならずに、稚魚の体型のまま大きくなっているのだそうです。いわば、赤ちゃんの肥満児ですね。これでは、素干しにして「ごまめ」を作れないのです。
なんで、こんな風になっているのか、原因は不明です。
「地球温暖化の影響」というのが一致した見方ですが、温暖化でなぜこのような事が起こるのかは、誰も説明できません。

というような話をしていて、「返り」ということの意味が判明しました。
「返り」→「返る」、つまり、稚魚の体型から、親魚の体型に変態することを「返る」と言うのです。
そして、変態してからの「ちりめんじゃこ」を「返りちりめん」と言うのです。
なるほど、「返りちりめん」をよく見ると、親魚と同じ体型をしており、ウロコもあります。
「チリメンジャコ」は、親魚とは全く違いますし、ウロコもありません。

なるほど、そういう事だったのかと、納得しました。

ついでに、ちょっと追加。
「ごまめ」にするには、脂の少ない「カタクチイワシ」でないと駄目なのです。脂の多い「カタクチイワシ」は、素干しにするとすぐ酸化し、劣化するため、「ごまめ」にはしません。塩ゆでして脂を落とし、「煮干し」(いわゆるダシジャコ)にします。
つまり、「カタクチイワシ」を「生のまま干す」と「ごまめ」、一度、塩ゆでしてから干すと「煮干し」となるのです。

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