琵琶湖でスズキがとれた!

京都新聞の記事より


11月25日付「京日記」で、23日 朝、磁賀県・安曇川町の琵琶湖沖合約200メートルのアユ捕 り用のえりで、漁師によって体長約60センチの魚が捕獲され、県水産試験場に持ち込んだ結果、「スズキ」とわかった、とあります。

同試験場では「本来、琵琶湖にいてはいけない魚。大量に放流されていれば、湖の魚 をえさにするなど生態系への影響は十分考えられる。」 とコメントしていました。

「京日記」を受けた12月4日付「凡語」でも琵琶湖への相次ぐ海産魚出現について詳述しました。

京都大農学研究科応用生物科学専攻の中坊徴次数授(魚類学)にこの″琵琶湖 の異変″について聞いてみました。
スズキの写真を一目見た中坊教授は「体長からみて3歳から4歳魚。吻(ふん) =口の先端=から目までの距離が比較的短い。日本に昔からいるスズキは吻が比較的長く、これはタイリクスズキの可能性があります。また、日本近海のスズキは体長が25〜26センチになると胴の黒斑(はん)が消えるのが一つの特徴です。写真のスズキでは黒斑が消えているように見えますが、実物ではかすかに残っているかもしれません。いずれにせよ、DNA鑑定をすればどちらのスズキかわかります」との説明がありました。

九州・有明海の外海に棲息するスズキが双方の特徴をもっているため、中坊教授はいま中国東岸沖にいて 東シナ海を回遊するタイリクスズキと、九州の西方海域のスズキとの接点を海流や魚の形態、DNAなどで研究中。

スズキは北海道北部の海域を除いて日本の周辺海域 に一般的に見られる魚ですが、遠い親せき(どちらもス ズキ目スズキ属)に当たるタイリクスズキは、本来日本近海にはいない魚です。
中坊教授は「この5〜6年、四国で養殖され、各地で放流されているらしい。 国内のスズキに比べ成長が早く、釣り人がヒットさせた時の感触が強烈で、人気魚になっています。」と、放流の背景を語っています。

また、サヨリ、ポラの汽水域の魚が次々と琵琶湖で発見されている現象について、中妨教授は「残念なこですが、琵琶湖へは卵(ら ん)、稚魚、30センチぐらいの時に放流−といろいろな可能性が考えられます。このままでは、琵琶湖はブラックバス、ブルーギルなど外来魚の定着に加え、本来は海産の魚の出現など″湖が荒れる″ばかりですね。ただ、これらスズキなど海産の魚はかなり放流されて生息しても淡水湖では繁殖は無理で、ブルーギルのように増え続けることはありません。」との話でした。                  以上、京都新聞の記事より転載
家辺のコメント
  • 私が小さいとき、琵琶湖へ釣りに来ると「タナゴ」(当時は「ぼて」と言ってました。)ばかり釣れたものです。「ぼて」は、湖岸にたくさんいたのですが、今は見かけることがありません。見るのはブラックバスばかりです。
  • 20年ほど前、東川(アズマガワ)の河口で「鯉釣り」をよくやりました。記録は、80センチです。この頃は、まだブラックバスやブルーギルも多くなく、鯉のダンゴ釣りにはフナも良くかかっていました。
  • ところが、最近はフナもいなくなってしまったようです。以前、守山漁協でのセリを見たとき、子持ちフナがKg10000円したのにはびっくりしました。それほど、フナがとれなくなっているのですね。
  • そうした状況の上での、こうした「海産魚」の出現。私には、非常に危機感がつのります。琵琶湖はどうなっていくのでしょう。
  • 上記の記事中にある「タイリクスズキ」は、市場では「中国スズキ」と呼んでいるようです。また、体側にいくつかの黒点があるため、「ホシスズキ」と呼ぶ人もおられるようです。
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