「河太郎」という字があてて書かれ、「ガータロー」のほかに「ガッパ」「キャタロ」 など呼ばれている。
本土の河童と同一のもので、人間の赤ん坊のように小さく、頭に鉢(はち)を頂いて、 その中の水が無くなると力が弱くなるといっている。この「ガータロー」は島内の至るところに住んでいる。ちょっとした小さな流れ、 平常は水のひあがっているような小川にですらも住んでいると言われていて、 島内にほとんど無尽蔵といってよい程の話のたねを作っている。
この島の「ガータロー」の特長は、本土のそれのように人の肛門を抜いたり、 角力(すもう)が好きだという以外に、更にあたかも本土の狐のように、人に憑いたり、その他いろんないたずらをする事である。
元来島には野生の狐(きつね)や狸(たぬき)というものが棲息していない関係から か、島内で狐に憑(つ)かれたり、狸にばかされたという話は、最近起こったただ 一つの実例を除いては、他にはほとんど絶無であるといってよいが、その代りに 「ガータロー」はいたる所の村々で活動している。
福江市観光協会で
販売していた河童
なお福江大日山には石刻の川獺(かわうそ)一対(いっつい)が狗犬(こまいぬ)代りに奉納されており、又玉之浦大賓寺には本堂の天井力持ちに左甚五郎作と伝えられる木彫の川獺が上げられているが、島人はこれをも「ガータロー」と呼んでいる。
玉之浦町大賓寺の天井力持ち・木彫の川獺
四隅にあり、喜・怒・哀・楽の表情をしている<五島民俗圖誌 久保清・橋浦泰雄 著 一誠社 昭和9年11月発行>
(現代漢字かなに修正しました。)
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