鍼灸の治療は鍼(はり)とお灸(きゅう)を使って、皮膚表面にあるツボ(経穴)に刺激を加えます。このツボのネットワークを経絡とよび、経絡が五臓六腑と密接に関連しており、ツボに鍼灸を施すことによって五臓六腑も調節できると鍼灸では考えます。すなわち、五臓六腑を良くすることにより健康を取り戻すことができるという考え方です。しかし、このツボの存在が現代の解剖・生理学と相いれないため非科学的な捉え方がされれることがあります。鍼灸の研究はいろいろな角度からなされ、鍼灸学誌論文を検索していただくとありとあらゆる研究が行われていることがわかると思います。そして鍼灸の有効性の高さが科学的に検証され、エビデンスが構築されています。いつの日が医療の中で鍼灸の位置づけが明確になるでしょう。
当院では、症状や病態に合わせて最適なツボを選んで、できる限りの治療をいたします。鍼灸の経験がなく、恐いと思われている方には刺さない鍼(はり)や熱くない灸(きゅう)もあります。
鍼灸治療に来られる患者さんは、肩こり、腰痛や膝などの関節痛が多いのは周知のとおりです。しかし、鍼灸の効果はそれだけではありません。鍼灸の考え方に「未病を治す」という言葉があります。病になる前に、それを予測して治すという意味です。疲れた、だるい、肩がこるといった症状の時に鍼灸を行い、身体のコンディションを良い状態に保つ。このように鍼灸をつかうのが一番いい方法です。介護予防も然りです。しかし、なかなかそのような余裕をもって鍼灸を受ける人は多くありません。逆にあらゆる治療を試み、藁をもすがる思いで相談に訪れる方も少なからずみられます。治らない病気でも痛みなどを軽減させ、QOL(生活の質)をあげることも可能ですし、上手に持病と付き合っていくことも大事です。一応、WHOで1979年にとりあげられた「適応症」をあげておきます。参考にしてください。
とくにありませんが、施術する場所が出るようにゆとりのある服装でお願いします。また、女性の方には患者衣を用意していますのでご利用ください。