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庄野潤三さんの本の書評

 

庄野潤三 (しょうの じゅんぞう)

 
(プロフィール)
大正10年(1921)、大阪府生れ。九州大学東洋史学科卒。
昭和30年『プールサイド小景』により芥川賞受賞。
昭和36年『静物』により新潮社文学賞受賞。
昭和40年『夕べの雲』により読売文学賞受賞。
日本芸術院会員。
 
プールサイド小景・静物  メジロの来る庭
 
  
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プールサイド小景・静物

プールサイド小景・静物

おススメ度:(5点満点)

本体価格:320円
発行所  :新潮文庫
発行日  :1965年2月
形態   :文庫・318ページ

ジャンル:日本文学(文芸)

目次
舞踏
プールサイド小景
相客
五人の男
イタリア風

静物
 内容
 7本の小説を収録した短篇集。

舞踏
結婚して5年、3歳になる娘を持つ夫婦に訪れた危機。二人は互いに愛し合うが、夫は19歳の女の子と恋に落ちてしまう。 それにより静かに家庭が壊れ行く様とそれから立ち直ろうとする妻の様子を描いている。

プールサイド小景
第32回芥川賞受賞作品
会社のお金を使い込んだことがばれて首になった中年サラリーマン。 突如訪れた危機により平凡な家庭生活が変化していくさまを描いている。

相客
戦時中の罪により逮捕される主人公の兄を題材にした主人公の日常生活を描かれている。

五人の男
主人公の周囲にいるちょっと変わった男5人に関する話題を描かれている。

イタリア風
主人公が友人であるイタリア系アメリカ人の家を訪れた際のエピソードや人間模様について描かれている。


主人公が海の近くの宿所に宿泊した際のエピソードについて描かれている。

静物
新潮社文学賞受賞作
主人公家族のありふれた日常生活について描かれている。

 感想
 この作品は大学時代に文学の講義で題材となったものである。 それぞれの作品の発表時期は昭和25年から35年の間でありかなり古い。 7篇の作品の中で好きなのは「舞踏」と「プールサイド小景」であった。 残りの作品は残念ながら作者の言わんとするところがよく分からなかった(理解できなかった)。 大学の講義で用いられる=大学の教授が研究対象としている、ということで文学について凡人の私にとって理解できなかったのは無理もなかったのかもしれない。
「舞踏」と「プールサイド小景」は家庭の崩壊を題材としているのでまだ読みがいがあった。 ただし両方の作品ともエンディングは幸か不幸かはっきりとは書かれておらず、問題の進行形の形で終わっている。 エンディングや今後どのように展開していくんだろうかということについて色々と想像するのは楽しいかもしれない。
(書評作成:2004年1月24日)
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メジロの来る庭

メジロの来る庭

おススメ度:(5点満点)

本体価格:467円+税
発行所  :文春文庫
発行日  :2003年8月10日
形態   :文庫・270ページ

ジャンル:エッセー
 内容
 子供たちが独立し、山の上の一軒家で暮らす庄野夫妻の日常生活を日記調で描いている。庭の花が咲いた、庭に鳥が遊びに来たという自然ネタと、子供や孫たち、または友人や近所の人たちとのふれあいネタ、などが描かれている。

 感想
 知らなかったが、庄野夫妻の日常を描くシリーズ物の1冊であり、本作はそのその第9弾になるとのこと。 さすが芥川賞作家であり、日常生活のはっきり言ってつまらないような些細な事柄でも、格調高い文章に思えてしまう。 庄野夫妻の日常生活がしのばれて面白い。 ただ日記調ということもあり、文書は一日完結である。 このため同じ事柄の説明や表現が重複する(しかも何度も何度も同じ表現が出てくる)のは読んでいてうっとうしく感じる。
 この本は「文學界」という文芸誌(月刊誌?)に連載された内容をまとめたものということであり、連載では同じ表現が出てきても読者が読むのにインターバルがあるのでよいかもしれないが、書籍ではちょっと耐えられない。 書籍化するに際して表現の見直しをすればよいのにと思った。
(書評作成:2006年2月16日)
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