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桐野夏生さんの本の書評 |
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桐野夏生 (きりの なつお) |
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(プロフィール) 1951年生まれ。 1993年、『顔に降りかかる雨』で、第39回江戸川乱歩賞を受賞。 1997年発表の『OUT』は「このミステリーがすごい!」の年間 アンケートで国内第1位に選ばれ、翌年同作で日本推理作家協会賞を受賞。 1999年『柔らかな頬』で、第121回直木賞を受賞。 |
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OUT 冒険の国 | ||
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OUTおススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() 本体価格:(上)667円+税、(下)619円+税 発行所 :講談社 発行日 :2002年6月15日 形態 :文庫・(上)446ページ、(下)340ページ ジャンル:サスペンス・ハードボイルド、映画化・ドラマ化された小説 |
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![]() 深夜の弁当工場でパートとして働く主婦たちは、それぞれ心に満たされない何かを持っており毎日鬱蒼とした生活を送っていた。 そんな時その主婦の一人(山本)が発作的に夫を殺害してしまう。 彼女は夫の死体の処理に困り、仲間のパート仲間(香取)に打ち明ける。 香取は他のパート仲間とともに殺された山本の夫の死体をバラバラにして捨てる。 ただしそれは引き続いて起こる事件の序章に過ぎなかった。 ![]() まず殺人事件が起こり、それを隠蔽して完全犯罪を試みるストーリーから、「倒叙推理小説」かと思った。 「倒叙推理小説」は通常のミステリーとは逆にまず犯人が完全犯罪を計画して手の内を明かし、その後警察なりがその完全犯罪のほころびを見出し犯行の真相に迫るというものである(詳細は青の炎をご覧下さい)。 ネタバレになってしまうので、詳細にはかけないが、本書は「倒叙推理小説」の要件を満たしていない(特にエンディング)。 そういう意味では本書は推理小説とはいえない。 「倒叙推理小説」の形式に従ってまとまられていたほうが面白かったと思う。 たださすが桐野氏の作品であり、各登場人物の心境の変化などは丁寧に書かれていた。 また話の展開もスピーディーで衝撃的であった。 ストーリーは今一歩であったが、話の設定、展開はすばらしかった。 |
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(書評作成:2007年8月7日) | ||
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冒険の国おススメ度:(5点満点)![]() ![]() 本体価格:362円+税; 発行所 :新潮文庫 発行日 :2005年10月1日 ジャンル:日本文学(文芸) |
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![]() 永井姉妹と守口兄弟は、兄と姉、弟と妹がそれぞれ同級生同士であり、幼いころから互いの存在を意識していた。特に妹の美浜と弟の英二はより強い絆で結ばれていた。 この関係はずっと続くものと思われていたが、ある日突然に弟の自殺という形でその関係に終止符が打たれた。 それと同時に両家の関係は途絶えてしまうとともに、美浜は深い喪失感を味わう。 その数年後のバブル前夜、美浜は英二の兄である恵一に再会し、時を隔てて永井姉妹と守口兄弟の関係が動き始めた。 ![]() 桐野氏の初期の作品であり、「すばる文学賞」の最終候補策に残った作品であるそうである。 純文学に分類される作品であるため、わくわく感とかスリルなどを味わう作品ではない。 純文学の作品は読み終わった後でも、爽快感というものを感じることは少ないが、この作品では特にそれを強く感じた。 いってしまえば、未完了の感覚ばかりが残ってしまった。 この物語の中では、たとえば永井家の家族の物語、永井姉妹と守口恵一との物語、さらには美浜の勤務先の上司や、美浜が勤務しているビルのオーナーとの物語など、実に多くのストーリーが語られている。 しかしどれもが中途半端に終わっていて、すごくもやもや感だけが残ってしまった。 残念ながら、著者が何を訴えたかったのかは理解できずに終わってしまった。 |
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(書評作成:2013年9月29日) | ||
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