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日本文学の書評

 

倉橋由美子 (くらはし ゆみこ)

 
(プロフィール)
1935年高知県生まれ。明治大学大学院文学研究科中退。
1960年「パルタイ」で明治大学学長賞を受賞。1961年短編集『パルタイ』で女流文学賞受賞。
1987年『アマノン国往還記』で泉鏡花賞を受賞。
2005年6月10 日、永眠。
 
  
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老人のための残酷童話

老人のための残酷童話

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,600円
発行所  :講談社
発行日  :2003年9月
形態   :単行本・238ページ

ジャンル:日本文学(文芸)

目次
ある老人の図書館  姥捨山異聞
子をほしがる老女   天の川
水妖女         閻羅長官
犬の哲学者      臓器回収大作戦
老いらくの恋      地獄めぐり
 内容
 老人に関するブラックユーモア、怪談、など10篇を集めた短篇集。
人もまばらな螺旋階段状の図書館で、一心不乱に本を読む老人の話や、鬼のようになった老婆を姥捨山に捨てに行く夫婦の話、地獄を巡る観光旅行の話、など。

 感想
 ひとつの話は20〜30ページなので、あっという間に読める。ただ面白い話とそうでない(全く面白くない)話の落差が大きい。 「ある老人の図書館」、「臓器回収大作戦」、「地獄めぐり」の話などは結構面白かったのだが・・・。
 残酷童話って言うタイトルほどは残酷な話ではなく、どちらかというとブラックユーモアのある昔話風の話っていう感じである。 ただ1,600円は高いと思う。文庫本400円くらいが適正価格ではないだろうか。
(書評作成:2003年2月18日)
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野火 迅 (のび じん)

 
(プロフィール)
1957年、東京生まれ。
早稲田大学卒業後、出版社に勤務。
長く雑誌、書籍の編集に当たる。退職後、執筆活動に入る。
 
  
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子供に語ってみたい日本の古典怪談

子供に語ってみたい日本の古典怪談

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,200円+税
発行所  :草思社
発行日  :2004年7月2日
形態   :単行本・241ページ

ジャンル:日本文学(文芸)

目次
・怨(おん)の巻―お化けは何がうらめしいのか?
 逆さまの女、妻の死骸にまたがった男、破られた約束、ノツゴ、
 吉備津の釜、生きたまま怨霊になった上皇、かさねが淵
・怪(かい)の巻―ミステリアスな化け物たち
 青頭巾、耳なし芳一、悪鬼に食われた初夜の妻、生まれた子の寿命を言い当てた男、
 板に押し殺された侍、蛇の幽霊、蛇の子を産んだ娘、
 人面瘡、橋で待つ貴女、幽霊滝
・妖(よう)の巻―美しき魔性の女たち
 雪女、地獄から妻をたずねてきた夫、ともしびに映って死んだ女、
 ダイバ風、ぼたんどうろう
・奇(き)の巻―人間はモノノケより奇なり
 世にも美しい尼、ドクロの盃、かなえが頭から抜けなくなった法師、
 かぶらと交わって子を作った男、亀に唇を喰われた男
・悲(ひ)の巻―たぐいなき自己犠牲の心
 菊花の約束、乳母桜
 内容
 日本の古典怪談30篇を紹介している。現代の子どもたちにも分かりやすいように記述を現代語訳(平成語訳)している。

 感想
 一つ一つの話が2〜10ページ程度と短く、また平易な言葉で書かれているので非常に読みやすい。 怪談ではあるがこれらを読むことにより日本の時代背景について知ることができる。
 これまでも知っていたもの(耳なし芳一、など)、名前だけは知っていたがその内容についてよく知らなかったもの(吉備津の釜(十三番目の人格 ISOLAに登場)、ぼたんどうろう、雪女、など)、全くはじめて知るものなど、大人が読んでも新たな発見ができ、楽しめる内容になっている。
(書評作成:2004年10月24日)
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川端裕人 (かわばた ひろと)

 
(プロフィール)
1964年、兵庫県に生まれ、千葉県にて育つ。
東大教養学部を卒業後、日本テレビに入社。科学技術省、気象庁担当を経て、1997年に退社。
1998年「夏のロケット」で第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞を受賞して作家デビューを果たす。
 
  
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ふにゅう

ふにゅう

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,500円+税
発行所  :新潮社
発行日  :2004年7月20日
形態   :単行本・248ページ

ジャンル:日本文学(文芸)

目次
おっぱい
デリパニ
やすきとくんとゆすあしちゃん
桜川エピキュリアン
ギンヤンマ、再配置プロジェクト
 内容
子どものためにがんばる(仕事ではなく家庭生活で)お父さんを描いた短篇集。

おっぱい
愛する娘に好かれたいため女性らしさ(その象徴のおっぱい)を手に入れたいと願うお父さんのがんばりを描く。題名の「ふにゅう」は「父乳」であり、「母乳」のお父さんバージョンの言い方である。

デリパニ
アメリカで妻の出産に立ち会うことになった、血を見るのが嫌いな男のがんばりを描く。「デリパニ」とは「デリバリー(分娩)パニック」の略で分娩に立ちあった男の人がパニックに陥る現象を意味している。

やすきとくんとゆすあしちゃん
子どもがお母さんと結婚したいと言い出したことに嫉妬するお父さんの様子を描く。

桜川エピキュリアン
子どもを男らしくしたいために、自らの体を鍛えるお父さんの活躍を描く。「桜川エピキュリアン」とは物語に出てくるスポーツジムの名称である。

ギンヤンマ、再配置プロジェクト
お母さんが自らの夢を実現するため1ヶ月海外研修に出かけたためとり残されたお父さんと二人の子どもの活動、苦悩、成長を描く。

 感想
 気楽に読める本は無いかと探していて、本書に出会った。 妙にインパクトのある書名に引かれた。 お父さんの活躍、家族の絆がよく描かれている。本書を読んで、自分は子どものために本当にがんばれているのか?、ということを考えさせられた。
 話の内容は題名のインパクトどおりユーモアにあふれており非常に読みやすかった。オススメの本である。
(書評作成:2005年7月7日)
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舞城王太郎 (まいじょう おうたろう)

 
(プロフィール)
1973年、福井県生れ。
2001(平成13)年、『煙か土か食い物』でメフィスト賞を受賞し、作家デビュー。
2003年、『阿修羅ガール』で三島由紀夫賞を受賞。
 
  
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阿修羅ガール

阿修羅ガール

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,400円+税
発行所  :新潮社
発行日  :2003年1月30日
形態   :単行本・284ページ

ジャンル:日本文学(文芸)

目次
第一部 アルマゲドン
第二部 三門
第三部 JUMPSTART MY HEART
 内容
 第16回三島賞受賞作品。
 好きでもないクラスメートの佐野となぜか「やっちゃった」アイコは「自尊心」を傷つけられて、佐野の顔面に蹴りを入れ、ホテルから逃げ出す。 翌日、アイコは佐野が失踪したことを知る。 さらに佐野の自宅には切断された指が送られてきたという。 アイコは、思いを寄せる陽治とともに、佐野の行方を追うが…。

 感想
 話の展開ははちゃめちゃで、複数の全く舞台、設定の異なる世界が複雑に入り乱れるために、ちょっと集中しないと今何の話読んでるんだっけ、というように混乱する部分がある。
  おまけにエロ、グロな描写もありかなり好き嫌いが分かれる作品だと思う。 かなりマイナス面ばかり上では述べたが、話がクライマックスに行くにしたがって話しの全容が見えてくると一気に面白さが理解できてきた。 他の舞城作品も読んでみたいと思わせる内容であった(上でも書いたが好き嫌いが分かれる作品だと思うので、あくまでも自分の感想としてです)。
(書評作成:2005年7月18日)
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藤田宜永 (ふじた よしなが)

 
(プロフィール)
昭和25(1950)年、福井県に生まれる。早稲田大学中退。
48年、パリに渡り、エールフランスに勤務。55年に帰国後、エッセイを執筆。
61年、「野望のラビリンス」で小説デビュー。
平成7年、「鋼鉄の騎士」で第48回日本推理作家協会賞、同年、「巴里からの遺言」で日本冒険小説協会最優秀短篇賞を受賞。
平成11年「求愛」で第6回島清恋愛文学賞を受賞、
平成13年「愛の領分」で第125回直木賞を受賞する。
 
  
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ぬくもり

ぬくもり

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,333円+税
発行所  :文芸春秋
発行日  :1998年11月10日
形態   :単行本・235ページ

ジャンル:日本文学(文芸)

目次
風鈴の女
二十歳のコンドーム
ぬくもり
命日の恋
天からの贈り物
 内容
大人の男性の淡い恋を描いた5篇の短篇集。

風鈴の女
互いに妻を亡くした旧友の芸術家同士の家族間の交流を描く。

二十歳のコンドーム
成人式後に配られたコンドームを使うため、東京に出てきた田舎の青年と、東京でタクシー運転手を営む元バンドマンの交流を描く。

ぬくもり
久しぶりに地元を訪れた元プロ野球選手と、旧友たちの交流を描く。

命日の恋
交通事故で亡くなった娘の命日に事故現場を訪れた父親と、事故現場でお供え物を置いていた女性との交流を描く。

天からの贈り物
別れた恋人の娘と偶然出会った男性が、その母親をともに探す過程での交流を描く。

 感想
 文芸にジャンル分けされる文学作品は、結局何が言いたいんだろうとか、エンディングがどうもすっきりしない、という感想を持つことが多かったが、この作品は違った。 いずれも大人の男性の淡い恋を描いており、短篇でありながら、起承転結のあるストーリーであり、非常に楽しく読み進めることができた。
 1話は70ページ程度で、ストーリーもしっかりしているので一気に読み進めることができた。 決してハッピーエンドとは言えないエンディングながらも、読後にはすっきりとした感じが残った。良書であると思う。
(書評作成:2006年10月17日)
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小島信夫 (こじま のぶお)

 
(プロフィール)
岐阜県生まれ。
「アメリカンスクール」で芥川賞受賞。
 
  
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抱擁家族

抱擁家族

おススメ度:(5点満点)

本体価格:600円
発行所  :講談社
発行日  :1988年2月10日
形態   :文庫・256ページ

ジャンル:日本文学(文芸)
 内容
 大学講師の夫は、家政婦の口から、妻が自宅に遊びに来るアメリカ兵と情事を重ねているということを聞き動揺する。 なんとか妻との関係を回復させよう努力するが、すべての努力は空回りする。 世田谷に家を新築することを決めたりして、どうにか夫婦関係が修復しかけたその時、妻が病に倒れる。

 感想
 大学の国文学の授業で使用された教材の1冊である。 初版は昭和40年出版と今から約40年前の作品であるが、古さは全く感じられず現代でも十分通じる内容である。
 妻の情事に端を発した家庭崩壊を食い止めようとてんやわんやする夫の混乱振りを描いていて読んでいて楽しい。
 ただ夫が混乱しているさまに焦点を当て、夫の視点から描ききっているために、読んでいるこちらも話の脈絡についていくのにちょっと混乱してしまう。
(書評作成:2004年10月21日)
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白岩 玄 (しろいわ げん)

 
(プロフィール)
1983年、京都市に生まれる。
『野ブタ。をプロデュース』で、第41回文藝賞を受賞する。
 
  
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野ブタ。をプロデュース

野ブタ。をプロデュース

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,000円+税
発行所  :河出書房新社
発行日  :2004年11月20日
形態   :単行本・186ページ

ジャンル:日本文学(文芸)、ドラマ化された小説
 内容
 第41回文藝賞受賞作。
  友人たちとつかず離れずの関係であたり障りのない高校生活を送っていた主人公・修二。 そんな彼のクラスにイジメられっ子転校生(信太;通称野ブタ)がやってくる。 性格や風貌からクラス全体の嫌われ者になった野ブタを、人気者にすべく修二は野ブタをプロデュースする。

 感想
 亀梨和也、山下智久出演のドラマの原作ということで読んだ。 ドラマ同様に話の展開がよく、読み飽きることなく一気に読みきってしまった。 (悪い意味ではなく)まるで漫画を読んでいる感覚で読み進めることができた。
 中盤までの展開は、笑いもありで非常に楽しめたのであるが、ラストがちょっと納得できない。 起承転結で言うと、「起」「承」「転」まではすばらしいのであるが、わずか2ページで締めくくられた「結」の詰めが悪く感じられた。 「結」の歯切れの悪さのためになんとなく読後にすっきりとした感じが残らなかった。 中盤までの出来が非常によかっただけに残念である。
(書評作成:2006年11月23日)
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中島京子 (なかじま きょうこ)

 
(プロフィール)
1964年、東京生れ。東京女子大学文理学部史学科卒業。
日本語学校職員、出版社勤務、フリーライターを経て、2003年「FUTON」でデビュー。
 
  
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桐畑家の縁談

桐畑家の縁談

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,500円+税
発行所  :マガジンハウス
発行日  :2007年3月22日
形態   :オンデマンド・190ページ

ジャンル:日本文学(文芸)

目次
一 コンポート―桐畑佳子の告白
二 甘藷・馬鈴薯―桐畑露子の逡巡
三 白身魚のポモドーロソース―桐畑露子の現実
四 濱榔―桐畑佳子の動揺
五 中華丼―桐畑佳子の恋
六 デリバリー御膳―桐畑夫妻の抵抗
七 紅鮭―桐畑露子の見解
八 梅干―桐畑氏の沈黙
九 かき餅―十条のおじいちゃんの考察
十 凍頂―桐畑露子の嘘
十一 タンタン・スープ―桐畑露子の涙
十二 蟹鍋―桐畑夫妻の主張
十三 米の雨―桐畑姉妹の笑顔
 内容
 結婚に最も縁遠いと思っていた妹・佳子が急に台湾人の恋人と結婚すると言い出した。 それを聞いてかすかに動揺する桐畑家の家族の面々(姉・露子、父・桐畑氏、母・桐畑夫人)の結婚式までの様子を描く。

 感想
 話の内容は妹・佳子の突然の結婚宣言から、結婚式までの家族の交流を描いたものである。特に大きな事件やイベントなどが起こるわけではない。 話自体は家族の心の移り変わりを淡々と描いているだけである。
 既婚・男性の目から見ると、特に深い感慨が残るわけではないが、たとえば結婚をそろそろ意識し始める女性で、妹が先に結婚してしまうような状態になった人にとっては、感慨深く読むことができるのではないだろうか?
 というわけで本書は結婚を意識し始めた独身女性にオススメしたいと思います。
(書評作成:2007年5月3日)
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本多孝好 (ほんだ たかよし)

 
(プロフィール)
1971年、東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。
1994年、「眠りの海」で小説推理新人賞を受賞、99年に受賞作を収録した『MISSING』で単行本デビュー。
 
  
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正義のミカタ

正義のミカタ〜I'm a loser〜

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,500円+税
発行所  :双葉社
発行日  :2007年5月25日
形態   :単行本・413ページ

ジャンル:日本文学(文芸)
 内容
 主人公の亮太はいじめられっ子であり、それから逃れるために無理して大学に進学する。 しかしその大学にはかつて亮太をいじめていた悪友も入学しており、再びいじめの危機がせまる。 そんな時亮太の前に悪友を叩きのめす友人・トモイチが現れた。 そしてトモイチに誘われるままに、「正義の味方研究部」に入部する。 「正義の味方研究部」に入部することで亮太は変われるのであろうか?

 感想
 基本的にはいじめられっ子・亮太の成長を記した青春小説でである(成長といっても期間は4月の入学から5月のG.W.明けまでの1ヶ月弱ですが)。 亮太とトモイチの係わり合いが面白おかしくかかれており、読みながらついニヤッとしてしまった。
 もう一つこの小説のテーマは正義である。 「正義の味方研究部」とは大学にはびこる悪を懲らしめる正義の集団(大学のクラブ)のこと。 はじめのうちは悪の形態がわかりやすく、「正義の味方研究部」の活動がかっこよく見えたが、だんだん何が正義なのかが考えさせられるようになった。
 友情あり、ちょっとした恋愛ありの青春ドラマとして楽しむもよし、いじめられっ子の成長を見る人情ドラマとして楽しむもよし、正義とは何か(そこまで堅苦しくはないが)について考えるもよし。 いろんな意味で楽しめる小説だと思う。ただし全ての話が中途半端で読後のすっきり感が今ひとつであった。
(書評作成:2007年5月25日)
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東 直子 (ひがし なおこ)

 
(プロフィール)
1963年生まれ。歌人。
 
  
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とりつくしま

とりつくしま

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,400円+税
発行所  :筑摩書房
発行日  :2007年5月10日
形態   :単行本・201ページ

ジャンル:日本文学(文芸)

目次
ロージン   トリケラトプス   青いの
白檀   名前   ささやき
日記   マッサージ   くちびる
レンズ   びわの樹の下の娘
 内容
 この世に未練を残して死んでいった人たちが、愛する人のすぐそばにある”モノ”に取り付きます。 ある人は、愛する息子の野球の試合中の「ロージン」に、愛する夫の使う「トリケラトプス」のマグカップに・・・
 そんな死んで”モノ”に取り付いた人と、その人の愛する人との関係を描いた短篇集。

 感想
 一つの話は20ページ程度と非常に短くて一気に読みきった。 しかしその中には結構心を打つもの、心に残るものがあった。 死んだ人と残された人との関係を描いているので切なさはあるが、暗さは全く無い。 著者は歌人ということであり、短い文の中で話をうまく完結させる力に長けているのであろう。
 家族愛を描いた「ロージン」、「日記」、「マッサージ」が特に好ましく感じた。
(書評作成:2007年7月13日)
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もたいまさこ

室井 滋 (むろい しげる)

小林聡美 (こばやし さとみ)

 
  
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やっぱり猫が好き

やっぱり猫が好き

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,400円+税
発行所  :幻冬社
発行日  :1998年9月10日
形態   :単行本・243ページ

ジャンル:日本文学(文芸)、ドラマ化された小説

目次
はまぐりペペちゃん
ギョーザがいっぱい
一緒に寝ようよ
留守電ルンルン
パーティーは終わった
猿の手
プップッピ プップッピ プッピー プッピー
松茸が食べたい!
 内容
 1988年から1991年まで放送された恩田三姉妹がマンションの一室で繰り広げたコメディードラマ「やっぱり猫が好き」。 その中で三谷幸喜氏脚本のシナリオ8作品を選び、アドリブを含めてビデオから台詞をすべて起こしなおし、再構成されている。

 感想
 学生時代に深夜ドラマでおなかを抱えて笑っていたドラマのノベライズである。 今でも当時の台詞や情景が脳裏に浮かんできて大変懐かしく思った。 今をときめく三谷幸喜氏の初期の代表作でもあり、そういう意味でも読む価値ありである。
 「やっぱり猫」ファンの人も、そんなドラマ知らないという人も、必見。 漫画のような感覚で読み進められ、思わずにやりとしてしまうことでしょう。
(書評作成:2007年10月7日)
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ビートたけし

 
(プロフィール)
1947(昭和22)年、東京足立区生れ。
浅草フランス座で芸人修業中に知り合ったきよしと漫才コンビを結成。「ツービート」として、漫才ブームで一躍人気者となる。
その後もソロとして、テレビやラジオの出演、映画や出版の世界などで国民的な活躍を続けている。
映画監督・北野武としても世界的な名声を博す。
 
  
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菊次郎とさき

菊次郎とさき

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,000円+税
発行所  :新潮社
発行日  :1999年12月5日
形態   :単行本・134ページ

ジャンル:日本文学(文芸)、ドラマ化された小説

目次
SAKI
KIKUJIRO
北野さきさん死去
 内容
 北野武を育てた母・さきについて面白おかしく、そして感動的に紹介している自叙伝的小説である。 幼き日からの父母との記憶を辿る「SAKI」や、母の通夜の後、号泣した著者が母への愛情で綴った「北野さきさん死去」など。

 感想
 北野武のこれまでの人生は幸せか不幸かと考えた場合、一般的には不幸なほうに分類されると思う。 しかし当の本人はそんなそぶりは微塵も感じさせないし、また北野武を知る人もそう感じるであろう。 それはすべて母・さきによるところが大きいのだと思う。
 感動的な話ばかりでなく、菊次郎の不幸話などにんまりとさせられる逸話も紹介されている点がよかった。
(書評作成:2008年12月7日)
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西加奈子 (にし かなこ)

 
(プロフィール)
1977年、テヘランで生まれ、エジプトで育った。その後、大阪で生活してきた。
関西大学法学部卒業。
2007年、『通天閣』で織田作之助賞受賞。
 
  
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通天閣

通天閣

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,365円
発行所  :筑摩書房
発行日  :2006年11月
形態   :単行本・203ページ

ジャンル:日本文学(文芸)
 内容
 通天閣がそびえる大阪のミナミ。 そこに夢を失いつつ町工場で働く中年男と、恋人に見捨てられそうになりながらスナックで働く若い女が住んでいた。 二人は日常生活に興味を失い、徐々に追い込まれていく。 そんなある日、通天閣を舞台に大騒動が起こる。

 感想
 起承転結の中の「起」の部分が少々だらだらとかかれており、読み進めるのに骨が折れた。 ただし「転」、「結」に向かって話がスピーディに進展し、その部分は楽しめた。 ネタばれになるのであまり詳細には書けないが、徐々に分かってくる二人の主人公の関係も楽しめた。 また摩訶不思議な大阪ミナミワールドも垣間見える。
 いろいろと楽しみどころが多い本であるが、その分序盤のだるさが残念であった。
(書評作成:2008年12月27日)
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幸田真音 (こうだ まいん)

 
(プロフィール)
1951年生まれ。
米国系銀行や証券会社で、債券ディーラーなどを経て、1995年『小説ヘッジファンド』(講談社)で作家に。
政府税制調査会、財務省・財政制度等審議会、国土交通省・交通政策審議会の委員など公職も務める。
 
  
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あなたの余命教えます

あなたの余命教えます

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,600円+税
発行所  :講談社
発行日  :2008年3月24日
形態   :単行本・290ページ

ジャンル:日本文学(文芸)
 内容
 中堅電機メーカーで部長代理をしている永関は、定年を4年後に控えていた。 そんなある日、エリートコースを歩んでいた同級生が突然死んでしまったことを知る。 やるせない気持ちから、人の余命というものに興味を持った永関はネット上で余命予測をしている国際アガスティア研究所という組織の存在を知る。 診断料が250万円のということにも興味を抱いた永関は実際に国際アガスティア研究所を訪問した。

 感想
 さまざまな現代の経済・社会的な現象、事件などを絡めて話は展開していきその点では非常に面白かった。 話の中盤までは「国際アガスティア研究所」という謎の組織、また永関を取り囲むなぞの登場人物に興味津々であった。
 ただ話の最後がいただけない。 ネタばれになるので詳細には書けないが、すべての謎が解明されることなく、どうも中途半端な結末となっている。 著者は情報社会の危うさを書きたかったのだと思うが、それに対しても明快な答えが得られなかった。 結局中途半端という印象しかもてなかった。
(書評作成:2009年2月15日)
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滝本竜彦 (たきもと たつひこ)

 
(プロフィール)
1978年、北海道生まれ。
2001年、第五回角川学園小説大賞特別賞を受賞した『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』でデビュー。
 
  
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NHKにようこそ

NHKにようこそ!

おススメ度:(5点満点)

本体価格:552円+税
発行所  :角川文庫
発行日  :2005年6月25日
形態   :文庫・327ページ

ジャンル:日本文学(文芸)、アニメ化された小説

目次

一章 戦士の誕生
二章 ジハード
三章 邂逅
四章 造物主への道
五章 二十一世紀のハンバート・ハンバート
六章 追憶、そして誓約
七章 回転する岩石
八章 潜入
九章 おしまいの日々
十章 ダイブ
終章 NHKにようこそ!
 内容
 大学を中退し、ひきこもりとなった佐藤達広は、その引きこもりの原因がNHK(日本ひきこもり協会)の陰謀であると妄想する。
 そんな中、佐藤の前にひきこもりから脱却させてあげるという謎の少女・中原岬が現れる。

 感想
 通常の小説の主人公というと、何らかの活躍が描かれており、おそらく読み手は少しは感情移入しながら読み進めるはず。 一方で、この小説の主人公・佐藤はひきこもりであり、挙句の果てにドラッグに手を出して現実逃避したりとひたすら情けない存在。
 また、佐藤を救う謎の少女・中原もいろいろと問題を抱える存在。 そんな二人の活躍は感情移入できないながらも、なかなか面白かった。
 感情移入できなかったのは、ニートやひきこもりということがまだ社会問題となる前に成人してしまったがためか。 今の世代だったら、もっと楽しく読めるかも。
(書評作成:2011年12月3日)
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岩崎夏海 (いわさき なつみ)

 
(プロフィール)
1968年7月生まれ。東京都日野市出身。
東京藝術大学美術学部建築学科卒。
大学卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。
放送作家として「とんねるずのみなさんのおかげです」「ダウンタウンのごっつええ感じ」等のテレビ番組の制作に参加。「AKB48」のプロデュース等にも携わる。
その後、ゲームやウェブコンテンツの開発会社を経て、現在はマネジャーとして株式会社吉田正樹事務所に勤務
 
  
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もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,600円+税
発行所  :ダイヤモンド社
発行日  :2009年12月3日
形態   :単行本・272ページ

ジャンル:日本文学(文芸)、映画化、アニメ化された小説
      ビジネス

目次
プロローグ
第一章 みなみは「マネジメント」と出会った
第二章 みなみは野球部のマネジメントに取り組んだ
第三章 みなみはマーケティングに取り組んだ
第四章 みなみは専門家の通訳になろうとした
第五章 みなみは人の強みを生かそうとした
第六章 みなみはイノベーションに取り組んだ
第七章 みなみは人事の問題に取り組んだ
第八章 みなみは真摯さとは何かを考えた
エピローグ
 内容
 高校2年の川島みなみは、野球部のマネージャーになることを決意した。 彼女の目標は、チームを甲子園に連れて行くこと。 ただみなみの高校があるところは、高校野球の激戦区である東京とであり、また選手はおろか監督までもがそんなみなみの夢を無理だと決め付けていた。
 みなみはまずはマネージャーについて勉強したいと思い、ちょっとした勘違いから経営のバイブルである、ドラッカーの「マネジメント」を購入する。 その本を読んだみなみは当初は間違った本を購入したと後悔するのであるが、その本を読み進めるうちに高校野球との接点を見つけ、「マネジメント」の記載内容を参考にしながら、周囲の人たちを巻き込んで甲子園出場という夢に向かって奮闘する。

 感想
 大ベストセラーということもあり(250万部越えで、ダイヤモンド社で最も売れた書籍である)、本書を手にとって読んでみた。 非常に面白く、2時間ちょっとで一気に読みきってしまった。
 本書については、マネジメントを勉強した人などから酷評されることも多いが、ちょっとマネジメントを勉強してみたいと考える人にとって、そのきっかけつくりとなるという意味で非常に有益な本であると思う。
  酷評する人の中には、本書は「マネジメント」を誤って理解させる悪書であるという人もいる。 確かにそのような側面もあるかもしれないが、一見関係なさそうな、高校野球とマネジメントを関係つけてストーリー展開しているところは、(ご都合主義もあるかもしれないが)大いに参考となった。
(書評作成:2013年11月10日)
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