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貴志祐介さんの本の書評

 

貴志祐介 (きし ゆうすけ)

 
(プロフィール)
1959年、大阪生まれ。京都大学経済学部卒。
生命保険会社に勤務した後、現在、フリー。
 
十三番目の人格−ISOLA−  黒い家  天使の囀り  クリムゾンの迷宮  青の炎
 
  
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十三番目の人格

十三番目の人格−ISOLA−

おススメ度:(5点満点)

本体価格:660円
発行所  :角川ホラー文庫
発行日  :1996年4月
形態   :文庫・401ページ

ジャンル:ホラー小説、映画化された小説
 内容
 第三回日本ホラー小説大賞大賞長編賞佳作。
 阪神大震災後の西宮が舞台。 人の強い感情が読み取れるエンパスである加茂由香里は、その能力を活かしてボランティアで被災者の心のケアを行っていた。 そんな中、由香里は森下千尋という高校生の少女に出会う。 彼女は多重人格障害をわずらっていたが、彼女と心を通わせることができた。 ところがある日十三番目の人格「ISOLA」が出現し、その性格に彼女は身も凍る思いがした。

 感想
 はじめ読み始めたころは、「催眠」と同じ多重人格者の話で、その人を救う話かと思ったが、途中からはオリジナリティのあるホラー(というよりもSF?)の話となって新鮮な感じがした。 エンディングも一ひねりがあって面白いと思った。 貴志祐介氏のほかの本も読んでみたいと思った。
 なおこの本は漢和辞典を隣において辞書を引きながら読むとよりいっそう楽しく読めると思う(理由は本書中に書かれている)。
(書評作成:2004年2月15日)
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黒い家

黒い家

おススメ度:(5点満点)

本体価格:680円+税
発行所  :角川ホラー文庫
発行日  :1998年12月10日
形態   :文庫・392ページ

ジャンル:ホラー小説,、映画化された小説
 内容
 第4回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。
 生命保険会社の若槻は、保険金の支払い査定の仕事をしている。 ある日、顧客の家に呼び出された彼は、子どもの首吊り死体の発見者となってしまう。 ほどなくして両親から死亡保険金が請求されるが、両親の不審な態度から事件性を感じた彼は、独自の調査を行う。 それにより彼の周囲に身の毛のよだつ事件が連続して起こる。

 感想
 これまで読んだホラーというと、怨念や霊などの心霊現象や未知の生物などを題材としたものが多かった。 この本で取り上げられているのはちょっと行動や考えが一般常識からは外れているが、どこにでもいそうな変質者を題材としており、身近に起こりうると考えられる分、恐怖心は余計にかき立てられる。 ホラーというよりも横溝正史系のミステリーに近いかも。 ただこれまで読んだホラーに比べ、面白さ、怖さの点では数段上である。
 また本書の中では生命保険の裏事情が(正確かどうかはおいといて)詳細に述べられており、その情報を知るだけでも一読の価値はあると思う。
(書評作成:2004年7月19日)
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天使の囀り

天使の囀り

おススメ度:(5点満点)

本体価格:762円+税
発行所  :角川ホラー文庫
発行日  :1998年12月10日
形態   :文庫・526ページ

ジャンル:ホラー小説

ジャンル
序章 呪われた沢     一章 死恐怖症
二章 帰還          三章 憑依
四章 恋愛SLG       五章 親切なる者
六章 聖餐         七章 鷲の翼
八章 守護天使      九章 大地母神の息子
十章 テュポン       十一章 蜘蛛
十二章 メデューサの首 十三章 歯と爪
十四章 カラスとサギ   十五章 救世主コンプレックス
十六章 変貌        十七章 悪夢
十八章 聖夜
 内容
 新聞社主催のアマゾン調査隊に参加したメンバーが次々と謎の怪奇的な自殺を遂げる。 しかもその自殺の仕方は自殺した本人が最も忌み嫌っている方法であった。 自殺者の一人である作家・高梨の婚約者・北島早苗はアマゾンで高梨の身に何が起こったのかについて調査を行う。

 感想
 500ページを越える長編で大変読むのに骨が折れた。 中盤以降まで話の内容がまるでわからなかったが、終盤にかけて話の詳細がわかってくると序盤〜中盤にかけての話の伏線がつながりだし、そういうことだったのか、と感じさせられたのは見事である。
 終盤の話のさわりを触れるだけでもネタバレになるので、ここでは記さないが気持ち悪いことこの上なしである。 ただ気持ち悪い、怖いだけでなく最後の最後でちょっと考えさせられた。 主人公の北島早苗の設定(職業)がなぜ○○になっていたのか、すべてはこのエンディングのためなのかとすごく感心させられた。
(書評作成:2007年3月24日)
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クリムゾンの迷宮

クリムゾンの迷宮

おススメ度:(5点満点)

本体価格:40円+税
発行所  :角川ホラー文庫
発行日  :1999年4月10日
形態   :文庫・393ページ

ジャンル:ホラー小説
 内容
 会社が倒産し、なかばホームレス状態となった藤木は、ある朝視界一面深紅色(クリムゾン)の奇石に囲まれた中で目覚める。 自分がどこにいるのか分からず自分の周囲を探す藤木は、携帯用ゲーム機を発見する。 そこには「火星の迷宮へようこそ。 ゲームは開始された・・・」というメッセージが映し出されていた。 それは恐怖のゲームの始まりであった。

 感想
 はじめは物語の設定、背景がよく分からなかったが、読み進むうちに理解ができ、最後にはどっぷりとはまってしまった。 400ページ弱と比較的ページ数は多いが、面白くて1日(実質的には半日)で一気に読みきってしまった。
 話の題材はデスゲームであるが、その設定や使用される武器など日常の常識から逸脱したものではなく、実際には起こりえないと思うがリアリティが感じられる。 殺人の描写もさることながら人格の破壊の過程、デスゲームの真の目的にゾクッとさせられる。
(書評作成:2005年5月26日)
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青の炎

青の炎

おススメ度:(5点満点)

本体価格:667円+税
発行所  :角川文庫
発行日  :1999年10月25日
形態   :文庫・495ページ

ジャンル:ミステリー小説、映画化された小説

目次
第一章 闇の中へ
第二章 ガレージ
第三章 龍恋の鐘
第四章 最後の藁
第五章 ブリッツ
第六章 春の嵐
第七章 こころ
第八章 スティンガー
第九章 豪雨
第十章 Q=IVt
第十一章 海を渡る風
 内容
 主人公の櫛森秀一は十七歳の高校生である。彼は母と妹の三人で平和に暮らしていた。 そんな家族に母が十年前、再婚しすぐに別れた男・曾根が現れ秀一の家に居座る。 曾根は傍若無人に振る舞い、平和だった家庭をかき乱す。 家族の身の危険を感じた秀一は完全犯罪により曾根を殺しことを決意する。

 感想
 ホラー以外の貴志氏の小説をはじめて読んだ。本書は「倒叙推理小説」と呼ばれる分類になるとのこと。 つまり通常のミステリーとは逆にまず犯人が完全犯罪を計画して手の内を明かし、その後警察なりがその完全犯罪のほころびを見出し犯行の真相に迫るというもの(古畑任三郎のシリーズはこれに当たる)。 つまり倒叙推理小説ではミステリーの謎解きに主眼が置かれるのではなく、主人公の犯人に逮捕の手が迫る際の心理的な微妙な動きに主眼が置かれている。 その点ではこの作品では主人公は純粋な高校生であり、思春期の心の心の移り変わりもあいまって心理的な心の動きがうまく表現されていた。
 櫛森秀一が反抗に手を染めなければならない動機もピュアであれば、その後の心の移り変わりもピュアである。 おそらく誰もが主人公に感情移入してしまうはず。読後に切なさだけが残った。
(書評作成:2007年5月22日)
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