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絲山秋子さんの本の書評

 

絲山秋子 (いとやま あきこ)

 
(プロフィール)
1966年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、住宅設備機器メーカーに入社、2001年まで営業職として勤務。
2003年「イッツ・オンリー・トーク」で第96回文學界新人賞を受賞。
2004年「袋小路の男」で第30回川端康成文学賞
2005年「海の仙人」で第55回芸術選奨文部科学大臣新人賞、
2006年「沖で待つ」で第134回芥川賞を受賞。
 
イッツ・オンリー・トーク  袋小路の男  スモールトーク  沖で待つ
 
  
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イッツ・オンリー・トーク

イッツ・オンリー・トーク

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1500円
発行所  :文藝春秋
発行日  :2004年2月10日
形態   :単行本・181ページ

ジャンル:日本文学(文芸)

目次
イッツ・オンリー・トーク
第七障害
 内容
 第98回文學界新人賞作の「イッツ・オンリー・トーク」を含む2つの短篇。
イッツ・オンリー・トーク
 蒲田に住む鬱病に病む女性と、奇妙な男友達(元ヒモの居候、鬱病のヤクザ、痴漢のkさん)との交流を描く。

第七障害
 障害レースの落馬事故で馬を死なせてしまった女性ジョッキーが、その罪悪感からレースを止め、自らの明日を捜し求める様子、友人との交流を描く。

 感想
 いずれの話も自らの明日を捜し求める女性の話である。 「イッツ・オンリー・トーク」は鬱病を病む女性と周囲の変わった男性との交流を面白おかしく描いている。 面白くはあるが、結局何を描きたかったのかがいまいち伝わってこなかった。
 一方、「第七障害」は、馬を殺してしまった罪悪感から立ち直り、自らの明日を必死で捜し求める女性がうまく描かれており、こちらは非常に共感できた。
 「イッツ・オンリー・トーク」は星一つであるが、「第七障害」は星五つで、平均して、この本のオススメ度は星三つである。 ただ「第七障害」は非常にオススメである。
(書評作成:2006年11月10日)
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袋小路の男

袋小路の男

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,365円
発行所  :講談社
発行日  :2004年10月28日
形態   :単行本・165ページ

ジャンル:日本文学(文芸)

目次
袋小路の男
小田切孝の言い分
アーリオオーリオ
 内容
 大谷日向子は高校時代からの憧れの人・小田切孝とは12年の付き合い。 けれどもまだ手も触れたことはない。 そんな二人の距離感を描いた、「袋小路の男」、「小田切孝の言い分」。
 そのほかに、受験を控えた姪と科学に精通したおじの文通を描いた「アーリオオーリオ」。

 感想
 「袋小路の男」、「小田切孝の言い分」では恋人以上の関係には進展しない男女二人を描いている。 まあ現実社会ではありえないストーリーながら、なぜか二人の関係にのめりこんでしまう。 二人の関係はその後どうなるんだろうか?と気にはなってしまうがそれは読者一人ひとりが考えればいいことであろう。 恋愛のようで恋愛でなし、友情のようで友情でなし。 その関係も著者から読者が問われているような気がする。
(書評作成:2008年12月26日)
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スモールトーク

スモールトーク

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,200円+税
発行所  :二弦社
発行日  :2005年6月10日
形態   :単行本・145ページ

ジャンル:日本文学(文芸)

ジャンル
1 TVR Tuscan
2 Jaguar XJ8
3 Chrysler Crossfire
4 SAAB 9-3 Cabrioet
5 Aston Martin Vanquish
6 Alfa Romeo Alfa GT
対談 徳大寺有恒×絲山秋子
 内容
 人生に少し疲れを感じている女流画家・ゆうこと、彼女の元彼・本条との交流を、6台のマニアックな自動車を絡めて描いている。

 感想
 6台のすごくマニアックな輸入車の解説を読むだけでも楽しめる。 話自体は30代独身女性の不安定な心の移り変わりを軽いタッチで描いているのであるが、それに車を絡ませてくる点が面白い。 自動車好きには興味深く読める小説だと思う。
 読後に気がついたのであるが、主人公のゆうこは「イッツ・オンリー・トーク」の主人公・ゆうこと同一人物?
(書評作成:2007年10月14日)
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沖で待つ

沖で待つ

おススメ度:(5点満点)

本体価格:952円+税
発行所  :文藝春秋
発行日  :2006年2月25日
形態   :単行本・108ページ

ジャンル:日本文学(文芸)

目次
勤労感謝の日
沖で待つ
 内容
勤労感謝の日
三十代半ばの独身女性が 命の恩人が勧める見合いに義理を感じて応じてはみるものの、お見合い相手は鼻持ちならない男。 彼女は途中で我慢できず退席してしまう。

沖で待つ
同じ職場に配属された同期の男と女の交友関係を描く。 二人は恋愛関係ではないが お互いに分かり合える間柄。 二人はどちらかが死んだら、お互いのHDDを壊して人に知られたくない秘密を守るという約束をする。

 感想
 いずれの作品も30歳を越えた女性が主人公の話である。 「勤労感謝の日」は仕事からドロップアウトした女性、「沖で待つ」は中堅社員としてがんばる女性が主人公であり、対照的な立場が描かれている。 ストーリー上特に盛り上がる場面もないが、たんたんと話が進行し、その分気楽に読み進めることができた。 ちょっとした時間つぶし、または気分転換したいときにはもってこいと思う。
 最初「沖で待つ」という題名から、漁師のお話かと思っていたが、大きな勘違いであった。
(書評作成:2005年7月27日)
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