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江戸川乱歩賞受賞作の書評

 

三浦明博 (みうら あきひろ)

 
(プロフィール)
1959年宮城県生まれ。明治大学商学部卒業。仙台市の広告制作会社でコピーライターとして勤務。89年独立。
現在、フリーランスのコピーライター。
 
  
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滅びのモノクローム

滅びのモノクローム

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,600円+税
発行所  :講談社
発行日  :2002年8月5日
形態   :単行本・317ページ

ジャンル:ミステリー小説、ドラマ化された小説
 内容
 第48回江戸川乱歩賞受賞作。
 CM製作会社に勤める主人公・日下が骨董市で手に入れたフライフィッシングのリールのケースのなかには、年代物のフィルムが入っていた。 日下はそのフィルムを利用したCMを企画し、そのフィルムの再生を試みるのであるが、そのフィルムには過去の日本の闇の部分の映像が写っていた。
  そのフィルム(映像)を追い求める人々が入り乱れ、ついに殺人事件が起こる。

 感想
 骨董市で手に入れたリールから日本の戦中の過去の事件が暴かれていくというアイデアは面白いと思う。 また最後の結末は全く予想できなかったものであり(かといって話に無理や矛盾が生じているわけではない)、最後まで楽しんで読めた。
 ただ小説で一番重要な冒頭のシーンが話の核心部分に直接的には結びついていない点(結局冒頭でなにが言いたいのかがよく分からなかった)と、主要な登場人物の一人の安否をしっかりと描かれていない点は残念である。
(書評作成:2004年7月14日)
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高野和明 (たかの かずあき)

 
(プロフィール)
1964年東京都生まれ。1985年より、映画、テレビ、Vシネマの撮影現場でメイキング演出やスチルカメラマンなどを担当。
映画監督・岡本喜八氏の門下に入る。1989年渡米。ロサンゼルス・シティカレッジで映画演出、撮影、編集を学ぶ。
1991年同校中退後、帰国して映画、テレビなどの脚本家となる。
 
  
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13階段

13階段

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,600円+税
発行所  :講談社
発行日  :2001年8月6日
形態   :単行本・315ページ

ジャンル:ミステリー小説、映画化された小説

目次
序章
第一章 社会復帰
第二章 事件
第三章  調査
第四章  過去
第五章  証拠
第六章  被告人を死刑に処す
終章  二人がやったこと
 内容
第47回江戸川乱歩賞受賞作。
 喧嘩で人を殺して仮釈放中の青年の下に、犯罪者の更生に絶望した刑務官がやってきて、一人の死刑囚の冤罪を晴らさないかと持ちかける。 ただし二人に設定されたタイムリミットは3ヶ月であり、また死刑囚は記憶喪失であった。

 感想
 現実にはなかなかありえない設定ではあるが、楽しんで読めた。 また犯罪(殺人)によって引き起こされる加害者と被害者の心情、また死刑制度の是非についても考えさせられた。
 ただ肝心のストーリーのほうは、二人の捜査がご都合主義的に進展する安っぽい二時間ドラマの感があったのは残念である。
(書評作成:2004年7月14日)
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首藤瓜於 (しゅどう うりお)

 
(プロフィール)
1956年栃木県生まれ。上智大学法学部卒。会社勤務を経て、2000年、『脳男』で第46回江戸川乱歩賞を受賞。
現在、CASA(現代美術振興協会)を主宰 。
 
  
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脳男

脳男

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,600円+税
発行所  :講談社
発行日  :2000年9月11日
形態   :単行本・323ページ

ジャンル:ミステリー小説、映画化された小説
 内容
第46回江戸川乱歩賞受賞作品。
 連続爆発犯のアジトに踏み込んだ警部・茶屋は、そこで犯人と一人の男・鈴木一郎が格闘しているのを発見する。 彼の機転で茶屋は犯人の罠から逃れるが犯人を取り逃がしてしまう。 さらに鈴木が爆弾の設置場所を知っていたことから鈴木を逮捕する。 取調べの中で鈴木は感情を一切持たないことが分かり、彼を精神鑑定するために病院に収監する。 鈴木を担当することになった女医・鷲谷は彼の過去を調べ始める。 鈴木が感情を持たなくなった原因は?また逃亡した犯人はどこに?

 感想
 江戸川乱歩賞を受賞していることからミステリーに分類されると思うが、内容はサスペンス・ハードボイルド。 謎の男・鈴木一郎のキャラクターが生き生きしており読んでいて楽しいが、彼の活躍、半生しか描かれていない。 ミステリーと思って読むと後悔する。 エンディングもいまいちぱっとしない。
  かなり辛口な批評になったが、鈴木一郎の活躍を読むだけでも面白いと思う。 彼を主人公にした続編があると面白いかも(うまくいけばダイハードのマクレーン並みのキャラに成長するかも)。
(書評作成:2005年8月17日)
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薬丸 岳 (やくまる がく)

 
(プロフィール)
1969年東京都生まれ。駒沢大学高等学校卒業。卒業後、俳優を目指し、劇団に入団するが、半年で退団。その後、執筆活動に。
『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞。
 
  
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天使のナイフ

天使のナイフ

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,600円+税
発行所  :講談社
発行日  :2005年8月8日
形態   :単行本・350ページ

ジャンル:ミステリー小説

目次
序章
第一章 罪
第二章 更正
第三章 罰
第四章 告白
第五章 贖罪
終章
 内容
 第51回江戸川乱歩賞受賞作品。
 愛する妻を惨殺された桧山。 殺したのは13歳の中学生3人だった。 犯人を殺してしまいたいと思いながらも4年の月日が流れ去った。 そんな折、犯人の一人が刺殺され、アリバイのなかった桧山が疑われることとなる。

 感想
 非常に面白くて、読み応えがあり、さらに読後には深く考えさせられるという、すばらしい本であった。 テーマはよくマスコミなどでも問題になる少年犯罪であり、非常に重い社会的なテーマである。 少年犯罪というと事件直後は新聞などでセンセーショナルに扱われるが、そのデリケートな性質上すぐに報道がなくなり、その後あっという間に風化してしまうものである。
 本書では、少年犯罪をめぐる処遇の矛盾、被害者感情などが語られており、改めて少年犯罪の難しさについて考えさせられた。 ミステリー作品でありながら、社会のタブーに挑戦した意欲作であり、多くの人にこの本を読んでもらいたいと思う。
(書評作成:2006年12月19日)
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