愛機シグマリオンによるテキスト量産でかなりネタがたまってきた&サイト開設から4ヶ月たって、やっと『Paint Shop』の使い方に慣れてきたこともあって、最近は毎週末には新ネタ更新中。だが先月のラストを飾る予定だったウエアハウスの99年限定1000Xは友人のY氏から届いた予定外のネタの登場に画像が間に合わず、繰り越しとなった(笑)
でも”to less than one month”にはどうにか間に合ったかな。

まずは色落ちを見て欲しい。くすんだインディゴ・ブルーと少し黄ばんだ大腿部の色落ち。
だが別に数ヶ月も洗わずに穿き込む、いわゆる根性穿きをしたワケではない。
これがウエアハウス1000XX、「酸化デニム」の1999年のLimited Editionである。
大学時代のバイト先が梅田だったことも
あって、近場のウエアハウスの茶屋町店
にちょくちょく顔を出していた。
だがWAREHOUSEのテキストでも述べた通り、MSはそれまでウエアハウスのアイテムは
スウェットやベルトなど、非デニム系
のアイテムしか購入したことがなかった。

そんなある日、スタッフの方から
「今度スゴイの出ますよ」と興味と物欲を
掻き立てられる話を聞いた。
それがこの99Ltdシリーズだった。
1000、1001、1003の3つがラインナップ
され、MSはこの1000と1001を購入した。
ちなみにまだ1001はワンウォッシュのみ
で裾上げすらしておらず、部屋の片隅で
未だ訪れる事のない出番を待っている。
デッドストックやヴィンテージと呼ばれる
ジーンズやデニムジャケットは30年、モノ
によっては半世紀以上の時を経て我々の
前に存在している。その膨大な時間が
インディゴを酸化させ、デッドストックの
デニムは黒っぽく、また色落ちの進んだ
デニムはくすんだような独特のブルーに
変化している。

ウエアハウスはこの風合いを再現すべく、
染色の段階で酸化剤を投入したデニムを
創り上げた。その為、同時期に定番として
リリースされていた1000XXに比べ、rigidの
状態でもかなり黒っぽいデニムに仕上がっ
ていた。

ただこの酸化剤は一部洗剤に含まれるリン
に反応して落ちてしまうので、洗剤での洗濯
には注意が必要とのアドバイスがあった。
面倒なコトは一切考えず真面目なMSは月に
1〜2回のペースで水のみ&洗濯機任せの
洗濯を行った。ただそれだけで素晴らしい
ヒゲと大満足の色落ちのジーンズになった。

少し余談になるが、ジョー・マッコイのシャープ
なタテ落ちともドゥニームのXX激しいタテ落ち
ともまた違う、1001XXのタテ落ち。各社とも
最も力を注ぐポイントであり、その解釈を
最も良く理解できる部分と言えるだろう。
塩谷氏の発言は自身が愛着とコダワリを持って
モノづくりに挑めばこそ、安易に新規参入が進む
状況に対する苦言だったに違いない。
そしておそらく、この時にはもう、酸化デニムの
構想は十分に練られていたのだろう。

その情熱は創業から9年を経た今も、衰えては
いない。人気の1000-1001XXを敢えて廃盤、
メンフィス産綿花にコダワった単一混紡綿、
その綿花から生み出された強捻糸のデニムを
新定番の1001XXに与えた。
WAREHOUSE 1000XX 1999 Limited Edition
1999 Limited Edition
ジーンズの基盤となるデニムのモデルチェンジを繰り返し、ラングラーの11MJZや
限定モデルとはいえ、Leeの1920年代モデルをラインナップに加えるなど依然と
してウエアハウスはマニアックな姿勢を貫いている。既に一定の評価を得た今、
普通なら現状に安住してしまいたくなるのが心情だろう。

だが、ウエアハウスはまだまだ満足を知らない。
彼らはこれからどんなモノづくりで僕達を楽しませてくれるのだろうか。
コダワリは生地や染色だけに留まらず、時間
にまで及んだウエアハウス。一体、何が彼らを
そこまで追い立てたのだろうか。

『だって飽きますよ。チェーンステッチは6番糸
使ってますばっかじゃ。ハッキリ言ってこれだ
けじゃ足りないんです』(ポパイ編集部:『98年
度版ジーンズ大特集』POPEYE 5月10日号;マ
ガジンハウス.1998.P83)

飽和し、成熟の進む当時のレプリカジーンズ
ブームに対し、ウエアハウスの代表を務める
塩谷健二氏が誌面でこう語ったのが98年。
100ものブランドが「生地のザラつき」
「糸の番手」と、どこも同じポイントばかりを
「コダワリ」と強調していたサプライヤー達。
しかしそれは既に先人達が体現していた
コダワリを踏襲したに過ぎない。

柔らかいデニムにもかかわらず、ハッキリと刻まれたヒゲ。
しっかりとノリを落とした為、激しくはないが非常に自然な
ヒゲがお気に入りだ。

99限定モデルにのみ使われたレザー・ラベルの
デザイン。以前のショートホーンっぽい牛が復活。
このレザー・ラベルはリデザインされ、今年(04年)
にリリースされた最新の1001XXでも採用された。

10ozデニムを採用したベルトループ。ライト
オンスデニムのベルトループは個人的に
あまり好みではないが、中央部の巻き込
みを増やし、非常に魅力的なアタリが表現
されている。

タテ落ち感を最もよく体験できる画像。ウエアハウスの
特徴として良く言われるように「まず点で落ち、つなが
って線になる」細かなタテ落ちが見られる。そしてこの
独特の黄ばんだような色落ちが酸化デニムの効果に
よるモノだろう。

購入当初はアーキュエイト・ステッチが入っていたが、
MSがカッターと針で抜いてしまった。ステッチの有無
とは無関係に穿き込まれたバックスタイルは時を経た
魅力に溢れている。