第426回定期演奏会 <2009.3.12-13>

指揮:パスカル・ロフェ

ドビュッシー作曲 交響曲組曲「春」
デュサパン作曲 「エクステンソ」(日本初演)
ラヴェル作曲 バレエ組曲「ダフニスとクロエ」


Ravel Rophe

フランス音楽は普段あまり聴きません。
どうしてもドイツ音楽中心の聴き方になってしまうので、こういう機会はある意味大変貴重だと思ってます。
論理的、あるいは理詰めの思考回路になってしまうのが<ドイツ的>で、感覚的、感性を大事にするのが<フランス的>という区別の仕方が正しいかどうかわかりませんが、フランス音楽は柔らかさがあり、決して観念的ではありません。
大阪フィルではベートーヴェンやブルックナー・マーラーという音楽に慣れてしまっていて、フランス音楽のイメージが湧いてこないので、演奏会が始まるまではやや不安でした。
でも、ドビュッシーが始まるとそんな不安はすぐに消えてしまいました。
物静かで柔らかな音がホールを包む。
オーケストラも、クライマックスに向かってまっしぐらに突き進むという感じではなくて、あたりの空気を彩る淡い色彩が目ではなく耳を楽しませる・・・・そんな雰囲気。
特に第1楽章がそんな彩を感じさせる音楽で、第2楽章になるとややその色彩感は影を潜め、前進力のある音楽になる。
文字通り春の楽しさや浮かれた気分が感じられるが、最初の楽章のフランス臭はあまり感じられず、イメージが若干バラバラになる

2曲目は現代フランスの作曲家デュサパンの「エクステンソ」という曲で、日本初演らしい。
エクステンソとは、<ひきのばす>という意味らしくて、オーケストラの各セクションが明快な音を重ねてゆく。
現代音楽にありがちな、各セクションがバラバラに音を出し統一感のまったくないようなものではなくて、弦もまとまりのある合奏の部分が中心なので、わかりやすい音楽になっていたように思う。

メインはラヴェルの「ダフニスとクロエ」
3世紀のギリシャの物語で、牧童ダフニスと楽しく暮らしていた少女クロエが海賊に誘拐されるが、牧神パンの力でダフニスの元に戻るという淡い恋のお話。
これをバレー音楽にしたのは、ロシアの有名な舞踊家ディアギレフの要請によるもので、同じころこのディアギレフの求めに応じて作品を書いていたのがストラヴィンスキーでありドビュッシーでもある。
特にストラヴィンスキーの代表作「春の祭典」はほぼ同じ時期の作品ということになる。

この「ダフニスとクロエ」は、ラヴェルの代表作であり、多彩なオーケストラとコーラスによるスペクタクル(?)な音楽。
前半はのどかで牧歌的な音楽が中心で、ロフェ/大阪フィルの演奏もその雰囲気をよく出していた。
コーラスも音程がしっかりしてさすがだなと感じさせてくれたけれど、もっと少人数の方が微妙なニュアンスや、ほのぼのとした気分が出せたんじゃないかな(これは飽くまで私の好み)と思いました。
フランスのエスプリを感じさせる音楽だった前半とは対照的に、後半は生き生きとした音の饗宴となった。
海賊の手から逃げ帰ってきたクロエがダフニスの元に戻り、歓喜の乱舞というクライマックスに達して終わるというストーリーにラヴェルの作った音楽は、さまざまな木管楽器・ハープ・打楽器たちの華やかなもので、天才的なオーケストレーションを楽しめる。
ロフェの指揮はこの部分を速めのテンポで一気呵成に盛り上げていく。
大阪フィルの木管群の活躍が目立ちました。
幸太君のソロもいい雰囲気だったし、ホルン・トランペットという金管楽器も熱演!

フランス音楽を本当に楽しませてもらいました。


ロビーで、楽団の人に大植英次さんの体調について質問してみたら、
 「元気です!」
という答えがすぐに返ってきました。
急激なダイエットのために激ヤセになったということですが、本当のところはまだわからないな・・・というのが私の印象。
早く元気を取り戻して、われわれの前に姿を見せ、精気あふれる音楽を聞かせてほしいものです。