ベートーヴェンの奇数番号のシンフォニーは力強いものが多いが、これも力感あふれる音楽で、<これでもか!これでもか!>という気迫を感じさせる音楽。9曲の中で一番親しみやすい交響曲かもしれません。 
             
            
              
                
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                  作曲年 | 
                  1812年、ベートーヴェン42歳の円熟期 | 
                 
                
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                  特徴 | 
                  リストやワーグナーが<リズムの神化><舞踏の神化>と呼んだという曲。 
                  明快なリズムでどんどん進んでいくという、誰もが一度聴いたら忘れられなくなると思います。 | 
                 
                
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                  第1楽章 | 
                  緩やかな序奏が長く続くが、徐々に盛り上がっていき、全体を貫く特徴的なリズムに乗ってフルートが第1主題を吹く。 
                  第2主題もリズミカルで、全体がリズムの奔流となって流れていく。 
                  終結部ではこのリズムが低弦で執拗に繰り返され(バッソ・オスティナート)ベートーヴェンの執拗さがよく出てる。 | 
                 
                
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                  第2楽章 | 
                  一転して緩やかな足取りになる。やや引きずるようなリズムで、うつむいたままとぼとぼ歩くような音楽。 | 
                 
                
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                  第3楽章 | 
                  スケルツォ。ふたたび元気を取り戻し、ちぎっては投げちぎっては投げるというような音楽。A(急)−B(緩)−A(急)という構成が一般的だが、ここはA-B-A-B-Aと、真ん中のトリオの部分が2回出るのであれっと思うが、さいごのAは4小節だけで急に終り、勢いを次の楽章に繋げる。 | 
                 
                
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                  第4楽章 | 
                  音をちぎって放り投げ直後に休止、これを二度繰り返した後、旋回するような第一主題(弱拍部にアクセントがあり、独特のスピード感がある)が始まると後はもう怒涛のごとく、荒々しく突き進む。聴く人を興奮の坩堝に巻き込むこと間違いなし! | 
                 
                
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            ラヴェルの色彩豊かな管弦楽曲の最初の曲。ハバネラなど、スペイン色の濃いリズミックな音楽で、間違いなく楽しめる曲です。 
             
            
              
                
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                  作曲年 | 
                  1907年 | 
                 
                
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                  第1曲 | 
                  『夜への前奏曲』 
                  弱音で下降するヴァイオリンの旋律が、夜の暗さを表現するようだ。 
                  この4つの下降音の繰り返しは、<ハバネラ>を除く各曲に顔を出す。 | 
                 
                
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                  第2曲 | 
                  『マラゲーニャ』 
                  3/4拍子の生き生きとしたスペイン舞曲 | 
                 
                
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                  第3曲 
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                  『ハバネラ』 
                  十分ゆるやかに、そしてゆったりしたリズムで−という指定の曲。 | 
                 
                
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                  第4曲 | 
                  『祭』 
                  <十分いきいきと>と書かれた、かなり長めの曲。 
                  規模的にも第1曲と第2曲を合わせた位で、第3曲のハバネラを挟んだシンメトリックな構成になってる。 | 
                 
                
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            ヴァイオリンのすすり泣くようなメロディーが、千夜一夜物語の夢の世界へいざなう 
             
            
              
                
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                  作曲年 | 
                  1888年 (作曲者44歳) | 
                 
                
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                  構成 | 
                  4つの楽章から成るが、<シャリアール王><王妃シェヘラザード>をあらわす2つの主題が全曲を統一するため、物語としての要素が強い。 
                   
                  「千夜一夜物語」−ペルシャのシャリアール王は極度の女性不信者で、初夜を過ごすした女性を翌朝殺してしまうということを繰り返していた。シェヘラザードも殺すつもりだったが、彼女は王の前で面白い話をしたため、王は朝までその話に聞き入ってしまい、彼女を殺すのを一日延ばした。次の夜も、又その次の夜も彼女の話に夢中になり、ついに残虐な行為を止めた− | 
                 
                
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                  第1楽章 | 
                  『海とシンドバッドの船』 
                  序奏と主部からなるが、序奏で、<王の主題>が低音で重々しく、<シェヘラザード妃の主題>が独奏ヴァイオリンで艶やかに提示される。 
                  主部では、海の荒れる様子などが親しみやすい音楽で展開。 | 
                 
                
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                  第2楽章 | 
                  『カランダール王子の物語』 
                  シェヘラザードの主題で始まり、ファゴットの<王子の主題>が新たに出て、この二つを中心に展開。 | 
                 
                
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                  第3楽章 | 
                  『若き王子と王女』 
                  王子と王女のテーマにシェヘラザードのテーマが絡んで行くが、この<王子のテーマ>も、弦楽器で演奏される情感あふれた音楽。 | 
                 
                
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                  第4楽章 
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                  『バグダッドの祭、海、青銅の騎士の立つ岩での難破、終曲』 
                  <王の主題><シェヘラザード妃の主題>を中心に、バグダッドの祭の様子、荒れた海と難破などを絵巻物のように描いていく。そして最後は独奏ヴァイオリンがシェヘラザードの主題を悩ましげに弾くと、王の主題もその中に取り込まれてゆく・・・・王が残酷な考えを捨てて、まるで二人が溶け合うように静かに消えてゆく。 | 
                 
                
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            20世紀最大の作曲家ストラヴィンスキーの出世作。ロマン派の香りを残しながら、<ペトルーシュカ><春の祭典>の3部作として、現代音楽のさきがけとしての新鮮さを味わおう。 
             
            
              
                
                   | 
                  作曲年 | 
                  1910年、若干28歳の作品 | 
                 
                
                   | 
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                   | 
                  内容 | 
                  ロシア・バレー団のディアギレフの委嘱により作曲された、舞踊音楽。 
                  後に作曲者が演奏会用組曲としてまとめており、演奏会ではこの組曲のほうが取り上げられることが多い。 | 
                 
                
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                   | 
                  物語 | 
                  ある夜、魔王カスチェイの庭にまぎれこんだ火の鳥を王子が追って入ってくる。 
                  王子に捕らえられた火の鳥は、羽を一枚あげるから逃がしてくれと哀願し、開放される。 
                  王子は、カスチェイに魔法をかけられた13人の王女と出会い、その一人に恋をする。王子は彼女達を救おうと、カスチェイと対決する。そして、助けた火の鳥と共にこの魔王を退治する。 | 
                 
                
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                   | 
                  音楽 | 
                  <王子と出会ったときの王女達の踊りの音楽> | 
                 
                
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                   | 
                  <カスチェイたちの凶悪な踊り> | 
                 
                
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                  前編にわたってロシア民謡から採った音楽が流れ、大きな編成のオーケストラに、チェレスタ・ピアノ・ハープ・たくさんの打楽器を使いながらロマン的な色彩感あふれる音楽。 | 
                 
                
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            声楽をともなった交響曲で、前2作と共にマーラーの作った歌曲集「子供の魔法の角笛」にもとづく三部作の一つ。 
            交響曲第2番が<死と復活>という重いテーマを持つ曲だったが、この曲は自然愛、人間愛を描いている。 
             
            
              
                
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                  作曲年 | 
                  1896年 | 
                 
                
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                   | 
                  内容 | 
                  第一部・二部から成り、第一部は第1楽章、第二部は第2−6楽章という変則的な構成。つまり第1楽章が圧倒的に長く出来てる。 | 
                 
                
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                  第1楽章 | 
                  ホルン8本のの決然とした第1主題を中心に、4つの主題が展開されるソナタ形式の長い曲。ホルン・トロンボーンが活躍し、ハープのグリッサンド(滑るように掻き鳴らす奏法)が印象的。 | 
                 
                
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                   | 
                  第2楽章 | 
                  <メヌエット>「花が語る」と題された優雅な3拍子の音楽。 | 
                 
                
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                   | 
                  第3楽章 | 
                  <スケルツォ>「子供の魔法の角笛」の中の1曲をモチーフにした快活な曲で、途中、ポストホルンのソロが森の神秘を表すように吹かれるのが印象的。 | 
                 
                
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                   | 
                  第4楽章 | 
                  アルト独唱が、「おお人間よ、心して聞け。真夜中は何を語ったか・・・」というニーチェの『ツァラストゥラはかく語りき』を歌う。 | 
                 
                
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                   | 
                  第5楽章 | 
                  「ビム・バム」という鐘の音を模した児童合唱の声で始まり、女声合唱・アルト独唱も加わる。天使の歌声をあらわしてる楽しげな音楽。 | 
                 
                
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                   | 
                  第6楽章 | 
                  弦楽器がゆっくりとした主題を奏で、しだいに大きな波になって、分厚いそれでいて緩やかな足取りの音楽。 | 
                 
                
                   | 
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            オペラ(楽劇)の大作を残したこの作曲家が、「ジークフリート」という楽劇からとった旋律をもとにほのぼのとした穏やかな管弦楽曲に仕上げた。 
            再婚することになるコジマとの間に生まれた男の子に付けた名前がこの「ジークフリート」。 
            愛妻コジマの誕生日プレゼントとしてこの曲が演奏された。 
             
            
              
                
                   | 
                  作曲年 | 
                  1870年、ワーグナー57才、コジマ33才 | 
                 
                
                   | 
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                   | 
                  内容 | 
                  弦楽合奏と木管楽器を中心とした室内楽的な構成で、ホルンとトランペットが彩りを添える、愛らしくやさしい音楽。 | 
                 
                
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                   | 
                  作曲の経緯 | 
                  ワーグナー56歳の時に長男を出産してくれた妻コジマの誕生日プレゼントとして作曲した。ひそかに練習していた楽団をコジマの寝室に通じる階段に配置し、午前7時30分に演奏・・・・・! | 
                 
                
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                   | 
                  音楽 | 
                  当時作曲していた楽劇「ジークフリート」から取ったいくつかの主題を中心に、楽劇「ワルキューレ」のメロディーや民謡の旋律を組み合わせた穏やかな音楽で、ワーグナーが作曲した数少ない器楽曲の一つ。 | 
                 
                
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                   | 
                  作曲年 | 
                  1785年、モーツァアルト29歳。 | 
                 
                
                   | 
                   | 
                   | 
                 
                
                   | 
                  特徴 | 
                  モーツァルト晩年(この年でもう晩年ということになる!)のピアノ協奏曲群の第1曲。この20番から27番全てが素晴らしい。なかでもこの第20番は異彩を放つ曲。 
                  まず、異様に暗く引きずるようなオーケストラで始まり、明るい極の圧倒的に多いモーツァルトには珍しい。何かに取り付かれたような主題である。 
                  第2楽章もその中間部が異様に激しく盛り上がる音楽で、これも珍しい。でも最後は明るいモーツァルトが帰ってくる。 
                  ベートーヴェンがこの協奏曲のカデンツァを作曲しており、今でもそれが一番多く演奏される。 | 
                 
                
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                   | 
                  第1楽章 | 
                  ソナタ形式。低音弦のうめくような音形の上にシンコペーションのリズムを持った第1主題が始まる。ちょっと異様な出だし。優しい意第2主題が来るが、全体のイメージはこの第1主題の気分に支配されて終わる。 | 
                 
                
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                  第2楽章 | 
                  ロマンス。A-B-Aという3部形式の構成で、Aは非常に穏やかで優しい曲だが中間部のBは一転してピアノが激しく動き回るような音楽に変わる。その後はまた穏やかな音楽に帰る。 | 
                 
                
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                  第3楽章 | 
                  展開部のないソナタ形式(またはロンド形式) 
                  メインのテーマはやや激しいイメージを引きずっているが、最後は趣がガラッと変わって、ふだんのモーツァルトの明るさ・簡潔さを取り戻す。 | 
                 
                
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                   | 
                  作曲年 | 
                  1895‐1900年 | 
                 
                
                   | 
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                   | 
                  あらすじ | 
                  政治犯をかくまう画家カヴァラドッシとその恋人の歌手トスカの悲劇の物語。 
                  かねてからトスカをものにしようと思っていた警視総監スカルピアが、トスカの恋人カヴァラドッシを、政治犯をかくまったという咎で拘束する。 
                  愛しいカヴァラドッシを何とか助けようとするトスカに対しスカルピアは、彼を助けたければ自分のものになるようにトスカに迫る。 
                  (トスカの歌、<歌に生き、恋に生き>) 
                  意を決したトスカは自分の身体をスカルピアに差し出し、カヴァラドッシの処刑は形だけのものにして命を助け、二人の出国許可書を与えるというスカルピアの約束を取り付ける。 
                  ところがいざその場になると、スカルピアに身体を許すことが出来なくて、テープルの上のナイフを手にしたトスカは、スカルピアを刺し殺してしまう。 
                  それでも出国許可書を手にしたトスカは、偽の処刑で助かるはずのカヴァラドッシと手に手を取って逃げられると思っていたのが、その処刑ははじめから本当に行われることになっていて、カヴァラドッシは銃殺されてしまう。 
                  倒れたカヴァラドッシは演技をしているはずと信じていたトスカが<早く起きて>と呼びかけても返事はない。はっと思い傍によって見るとカヴァラドッシはすでに息絶えていた。絶望のあまりトスカは城壁から身を投げる。 | 
                 
                
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                  作曲年 | 
                  1883年 | 
                 
                
                   | 
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                   | 
                  特徴 | 
                  後期三大交響曲の最初の作品で、次の8番ほどの巨大さはないが、音楽の美しさという面から見ればこちらの方が上かもしれない。 
                  敬愛するワーグナーがこの年の2月に亡くなり、第2楽章のアダージョはその死を悼んで書いたといわれてる。 
                  全曲を通じて弦楽器の美しさが目立つ。咆哮するような金管楽器に気を取られがちだが、弦の音が綺麗に美しさを堪能できる。 | 
                 
                
                   | 
                   | 
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                   | 
                  第1楽章 | 
                  アレグロ・モデラート ソナタ形式 | 
                 
                
                   | 
                   | 
                  ヴァイオリンのトレモロに乗ってホルンとチェロが第1主題を厳かに提示する。伸びやかで落ち着いた音楽が始まる。 
                  第2主題がオーボエで穏やかな旋律を奏でる。 
                  この二つのテーマと、もう一つ別の動機の3つが展開されるので、3つの主題を持つソナタ形式とも考えられる。 
                   | 
                 
                
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                   | 
                  第2楽章 | 
                  アダージョ ソナタ形式(あるいはA-B-A'-B'-A) | 
                 
                
                   | 
                   | 
                  <非常に荘厳にかつ緩徐に>という言葉で指定された楽章で、ワーグナーの死を悼む音楽とされるが、そのことを抜きにしても聴き応えのあるアダージョ。 
                  チューバの合奏で第1主題の旋律がゆっくり流れる。葬送行進曲風と取ることも可能。 
                  これに対して第2主題がヴァイオリンで歌われる−心洗われるような美しさである。 
                  この二つが展開され、最後にチューバが葬送の音楽を奏でる・・・・ | 
                 
                
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                   | 
                  第3楽章 | 
                  スケルツォ (非常に速く) | 
                 
                
                   | 
                   | 
                  躍動感あふれる主要主題が生き生きと活躍する。 
                  それに比べ、中間部は牧歌的な穏やかな音楽でその対比が面白い。 
                  ブルックナーのスケルツォは生き生きとしており、アダージョの深刻さとの対比が見もの(聞き物)。 | 
                 
                
                   | 
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                   | 
                  第4楽章 | 
                  終曲 (活発に、しかし速すぎず) ソナタ形式 | 
                 
                
                   | 
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                  軽快なリズムを持つ第1主題と穏やかな第2主題、そして第1主題から派生したリズムで全奏する第3の主題の3つが展開される。 
                  長大な前半の2楽章を受けて曲を締めくくるには少し軽めの終楽章である。 | 
                 
              
             
             
            
            
             
            
              
                
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                  作曲年 | 
                  1879年 (スメタナ55歳) | 
                 
                
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                  特徴 | 
                  チェコの国民主義音楽の父スメタナが、オーストリアの圧政に苦しむ祖国とその国民のために書き上げた連作交響詩。 
                  祖国の大地、祖国を悠然と流れるモルダウ(ヴァルタヴァ)川などの自然と、祖国の伝説を素材にした音楽。 
                  この曲はチェコの国歌に匹敵するくらいの意味を持っており、今でも毎年プラハで行われる世界的な音楽祭≪プラハの春≫のオープニングにこの曲が全曲演奏されている。ちなみにこの音楽祭の初日は5月12日、スメタナの命日である。 | 
                 
                
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                  第1曲 | 
                  <高い城(ヴィシェフラト)> | 
                 
                
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                  伝説的な吟遊詩人ルミールが、プラハを流れるヴァルタヴァ川の辺にあるヴィシェフラトの丘にあるお城を眺め、過去の歴戦の勇者や戦いの歴史を回想する。 
                  まずルミールの回想をイメージするように2台のハープがヴィシェフラトの動機を静かに奏で、そのあと全オーケストラがこの主題を歌う。このテーマはこの曲だけではなく「わが祖国」全体に共通して使われる全曲のテーマでもある。 
                  激しい闘争の音楽の後、荒廃したヴィシェフラトが描かれ過去の栄光を懐かしむかのようにハープの音が聞こえる。 | 
                 
                
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                  第2曲 | 
                  <モルダウ> | 
                 
                
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                  単独でもよく演奏される超有名な曲。 
                  プラハを流れるヴァルタヴァ(モルダウ)川の様子を描写した音楽で、スメタナによると、 
                  「この川は二つの水源から発し、次第に川幅を増しながら合流する。両岸には狩の角笛と田舎の踊りの音楽がこだまする。月の光・妖精の踊り・・・ 
                  やがて流れは聖ヨハネの急流に差し掛かり、波はしぶきを上げて砕け散る。 
                  そして大きな流れとなった川はプラハの町を悠然と流れ、高い城の廃墟ヴィシェフラトがその流れをみつめている。」 
                  曲はまずヴァイオリンのピツィカートとハープがせせらぎの音を静かに表現すると、まずフルートが一つの水源を、次いでクラリネットがもう一つの水源を描く。 
                  その二つが合流してヴァルタヴァ川の流れになり、その主題がオーボエとヴァイオリンで演奏される。これが有名なモルダウの旋律である。 
                  今度は森の様子が描かれ、狩の様子や田舎の踊りの音楽になり、月の光や妖精の踊りが優美に流れる。 
                  モルダウのテーマがもう一度展開された後、流れが速くなり音楽もその激しさを増す。 
                  川がいよいよプラハの中心部を流れるようになり、ヴィシェフラトの姿が見えてくる(第1曲のテーマが回想される)。そして川の流れはプラハの町を後にする。 | 
                 
                
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                  第3曲 | 
                  <シャールカ> | 
                 
                
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                   | 
                  チェコの伝説をもとにした作品で、若い英雄の女性シャールカの物語。 
                  「恋人に裏切られ、屈辱を受けたシャールカは激しい怒りに燃え、女性部族の仲間たちと共に男性軍に復習しようとする。 
                  鎮圧に向かった兵士スティラートは、木に縛られた哀れな姿の女性シャールカを見つけ、その女性の美しさに一目ぼれし助ける。ところがそれが罠で、助けられたシャールカたちの振る舞う酒に酔いしれた兵士達が寝込んだ隙に女性軍が彼らに襲いかかり皆殺しにしてしまう。」 
                  曲は女性軍と騎士へいたちの戦闘場面から始まり、木管とヴァイオリンがそのテーマを出す。 
                  木に縛られたシャールカのテーマはクラリネット、スティラートのテーマはチェロ。この両者の掛け合いの音楽がきれい。 
                  酒を振る舞う場面は舞曲、そして兵士が寝込んだ後ホルンの信号。この合図で女性軍が襲撃をかける。音楽も最高潮に達し、女性軍の勝利となって曲は終わる。 | 
                 
                
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                  第4曲 | 
                  <ボヘミアの牧場と森から> | 
                 
                
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                  題名の通り、スメタナが祖国ののどかな風景を感情豊に表現した曲。 
                  「ボヘミアの風景を眺めて祖国の自然美に心打たれた時の情感が描かれている。森や牧場から、時には陽気なまた時には寂しげな歌が聞こえてくる。森から角笛が響き、豊かな大地は歌に満ちている。誰もが各自の思いでこの歌を感じ、詩人は歌心を感じることが出来る。」 
                  ボヘミアの草原を吹く風がヴァイオリンで出て曲が始まる。 
                  牧場の様子、村の娘達の踊りなどが表現され、ホルンによる森の主題も出てくる。そして収穫の踊りやポルカの後、曲はクライマックスになり、プレストで終わる。明るく伸びやかな曲である。 | 
                 
                
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                  第5曲 | 
                  <ターボル> | 
                 
                
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                  チェコの中世の歴史の知識が少し必要になります。 
                  ルターの宗教改革からさかのぼること100年、14−15世紀のチェコにカトリック教の改革が必要と立ち上がったヤン・フスというカレル大学の総長がいました。カトリック教会の堕落から大学を守るために立ち上がり、国民主義的な思想を背景にして改革に立ち上がるが、保守的なローマ法王庁と対立し、最後には反カトリックの罪で処刑される。しかしこのフスの唱えた「真実は勝つ」というスローガンをもとに結束した人たちが「フス団」を結成し、国王とカトリック教会に反旗を翻す。これがボヘミア戦争、あるいはフス戦争と呼ばれる内乱である。フス教たちの結束は、宗教的な絆と共にチェコ国民としてのの民族意識のより強い結束をもたらした。 
                  このフス戦争の先頭に立ったヤン・ジーシカ達が要塞を築いて立てこもったのが南ボヘミヤの街、ターボル。 
                  このターボルの要塞で闘う人たちが歌ったのが≪汝らは神の戦士たれ≫という賛美歌。その賛美歌は、戦いに向かう兵士達に固い信念と勇気を与えた。 
                  この賛美歌(コラール)を主題とし、勇ましく戦う姿を描いたのがこの曲。 | 
                 
                
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                  第6曲 | 
                  <ブラニーク> | 
                 
                
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                  曲は、「ターボル」の続編。 
                  「フス団の戦士たちが眠るのがブラニークの丘。そしてその眠る戦士たちは、圧政に苦しむ国民を救う時を待っている。敵の襲来がありそこにあの≪汝らは神の戦士たれ≫のコラールが響いてくる。チェコの国民はこの賛美歌と共に立ち上がり、勝利を勝ち取り自由と幸福を手にする。」 
                  曲は第5曲と同じふす段の賛美歌で始まる。 
                  羊飼いののどかな様子の後、敵の襲撃、そして戦いの様子が描かれ、圧倒的な盛り上がりになる。 
                  戦いに勝った後、落ち着いた晴れやかなテーマが大きく歌われる。 
                  そして最後には第1曲の「高い城」のテーマが回想されて全6曲を閉じる。 | 
                 
                
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