140.「ボックスショップ」の本質は?
●「ボックスショップ」はテナント業か?
「ボックスショップ」という商売形態がある。私の属する企業もこの形態のビジネスを営んでいる。
それは基本的には、趣味と実益を兼ねて自分の製作したものを販売したいという方のために、一定の箱型のスペースを貸して営業してもらおうというものである。その際、毎月一定のスペース貸しに対する賃借料とともに、併せて出展者の製作品(商品)が販売できた場合、一定率の手数料を頂くというのが基本形である。
この説明の延長では、出展者は一種のテナントであり、契約の形態もテナント契約であるかのようにみえる。
しかしこのような理解では「ボックスショップ」の本質を理解できない。その理由は、
こう考えると、「ボックスショップ」ビジネスのコンセプトは、「出展者の自己実現をサポートする」ことが本質といえるのではないか。
- ボックスショップの出展者はその大半がビジネスとは距離を置いた純然たる個人であること。(BtoBではなく、BtoCだということ)
- 個人の「ボックスショップ」への参加動機は「利益追求」とは少し異なる。自分の作成した「商品」を他人に「販売」することで、顧客の喜びを自分の喜びとしたり、顧客に評価されることを自己実現と捉える人たちが大半であること。
●出展者へのマネジメントの必要性
それでは「出展者をサポートする」とは具体的にどのようなことだろうか?
そのキーワードは、出展者を”知る”、”盛り立てる”、そのために出展者と”対話する”ということではないかと思う。
そのために、例えば次のような発想の施策が必要ではないかと考えるようになった。
などなど、出展者へのサポート策はいくつも考えられる。
- 出展者カルテの作成により、出展者の人となりや商品の製作意図、活躍された履歴、協議履歴などを従業員側の共有情報とする。
- 出展者がどんな動機で商品を作ったのか、などを顧客に広く告知してさしあげる。
- 購入された顧客の性別や年代層、顧客の商品に対する感想などを出展者にフィードバックしてあげる。
- 売上が極めて少ない、またはゼロの出展者に対するアドバイス、支援。
- 売場作りに出展者の声の反映のための定期協議。
”カスタマー・リレーションシップ・マネジメント”というが、カスタマー(顧客)とは商品を購入してくれる購買客だけではない。ボックスショップの出展者も共通した視点でマネジメントの必要性があるということが最近の実感である。