137.経費一律削減要求に対する経験から

「独法」整理と官僚の抵抗からふと思ったこと
独立行政法人の整理に官僚が抵抗をする。ある意味、不思議なことでもなんでもない。官僚に対して、効果のない(低い)ことに対する廃止や削減努力を評価するようになっていないために、誰しも自分の領域を減らすことのないよう抵抗するのは当然のようにも思える。

企業内でも、業績が悪くなってくると経費削減を求められることが多い。
こういう場合、会社全体の経費削減を取りまとめる部署は、ややもすると関係部署に「経費一律n%カット」というような荒っぽい要求をしてくることがある。
いきおい、それを求められた部署は経費削減に抵抗する。

量販店はその組織が中央集権的な企業が多く、経費の支出権限を本社の各部署が有していることが多い。本社各部署が経費削減したところで、それを評価するような組織ルールになっている企業は少ないと思われる。

経費削減要求に対するあるときの対応
自分の経験談だが、あるときこんなことがあった。
会社の業績がもひとつ思わしくない。半期を終えそうになった頃、経費予算を持っている部署にほとんど一律5%のカットを求められた。
私の部署は営業部署でありながら、収入予算と経費予算の両方を多額背負っていたが、収入の業績は絶好調に近かった。私の回答はこうであった。
  • 私の部署は業績好調で、経費削減を実施されたら収入に影響する可能性大だ(経費削減?、とんでもない)。
  • 今のままで年間収入見通しは○○億円ぐらいだ(収入予算大幅超過達成)。
  • むしろ経費予算を後半年でもう1500万円増やしてくれたら収入は見通しより(予算ではなく)さらに5000万円増やしてみせる。
  • もし万一、残り2ヶ月になって収入増が1500万円増にもなりそうもない事態になったら、残り2ヶ月で経費予算を1000万円返上する。
この私の主張に、経費削減担当部署の長はあっさり応じてくれた。そして結果はみんなの努力もあって当初見通し+5000万円の収入実績を上げることが出来た。

発想の転換とともに組織論の再検討を!
もちろんこんな状況はそうそうあるものではないし、いつもできる芸当ではない。
ただ私は腹をくくって、経費削減ではなく、収入と経費の両方の増額を要求したこと。それを認めてくれた経費削減担当部署の長の対応もよかったこと。この二点を指摘しておかなければならない。

なんでも一律という発想ではいけないということだ。
それでも、経費予算だけを握る部署というような予算統制の仕方では組織は本当に上手く回ってはいけない。経費削減を求められると、勢いちじみ思考になり、本当に必要な顧客サービスの低下にも繋がりかねない面もある。経費だけを削減したとしてもそれが評価に繋がらなければ誰も真剣には取り組まない。組織論の再検討が必要だ。