136.男の弱点
●男は介護が不得手?
つい先日テレビを見ていたら家庭内介護の状況についてこんな解説があった。
介護の話はともかく、この話を聞いて「男のコミュニケーション能力」の弱さ、しいては職場における多くの男性管理職のマネジメント力の欠点に思いを至らしめた。
- 家庭のなかで要介護者の介護を行うのは、男性25%、女性75%の割合である。
- しかし、被介護者への介護者による暴力事件は圧倒的に男性によるものが多い。
- この背景にあるものは、介護に当たっている男性が孤立していることが背景にある。
- 女性は友人や近所の方に愚痴をこぼして発散する機会は多いが、介護に奮闘する男性はもともとそういうことが苦手で、しかも機会が少ない。
- 母や妻の介護にあたる男性が認知症や聞き分けのない状況に思わず「切れて」しまって暴力にいたるケースが多い。
- こういう男性を支援する団体のあるアンケート調査結果によると、次のようなものがあったという。
- 妻のいる荷の洗濯物を外へ干していると近所の方に見られて思わず家の中へへこんでしまった。自分は職場ではこれでも会社の社長だから。
- (多分妻の)ブラジャーを買いに行ってサイズが分からなかった。
- (妻の)生理用品を買いに行ってレジで赤くなってしまった。
- 料理教室へ行ったが、難しいことよりも味噌汁や野菜の基本的な料理を教えて欲しい。
●男はコミュニケーション力が弱い
職場における男性管理職の多くは、共通する特徴として第1に「論理性」、第2に「攻撃性」がある。
「論理性」について言えば、「スジ」、「本質」、論議をするということであるが、それは必ずといっていいほど「タテマエ」、「ウワベ」、「屁理屈」論と隣り合わせでもある。
「攻撃性」について言えば、「自己主張」、「統率」、「実行力」ということに繋がる性格であるが、そこには「ごり押し」、「横暴」、「ワンマン」と裏腹の関係にある。
男性の性格の悪いところを組み合わせると、タテマエ、屁理屈をごり押しするという最悪のパターンになる。
職場マネジメント能力の根幹を成すのは「コミュニケーション能力」であるというのが私の持論である。コミュニケーション能力とは、説得力のある論理で以って相手に伝達、理解、共感させる能力であるといえる。そしてコミュニケーションは「質」よりも「量」が重要だ。
「論理性」、「攻撃性」がうまく機能しているときはあまり問題がないが、男性が防御側に回ると弱い。ひとたび歯車が狂うと悪い面の組み合わせに陥る。そしてこの自覚がない男性管理職が多い。
自分の家庭の介護現場に戻った時、「論理性」や「攻撃性」とはかけ離れた世界におかれてしまう。このような場所ではなおさら男の弱さが出やすいのではないか。
自分もこれに陥らないように念じている。