134.★気楽な話題: 訪問客のお見送りについて
つい最近改めて感じた経験から、少し軽い話をしよう。
親戚、友人、知人などのお宅を訪問後帰宅するとき、訪れた先の方が取る見送りの方法はさまざまである。訪問先の方とのお付き合いレベルにもよるが、その応対振りはその人の心の奥行きの一端が見えるとも思える。
訪問先のお宅の玄関を出て挨拶を済ませ、外へ数歩出たとたん玄関扉をバタンと閉じる音をが聞こえる。こういう訪問先は何か訪問のしがいのないお宅だ。
夜訪問してお暇する時、先方の玄関を出たとたんドアを閉めてすぐに玄関の灯りを消灯されるに至るようなお宅は最低だ。
このようなお宅は、まるで「早く帰ってくれ」といわんばかりの感じがする。
逆に一番うれしいのは、訪問先の方が玄関の外まで見送りに出て、こちらが見えなくなるまで見送ってくれるお宅である。「名残惜しいですね。また来てくださいね」という気持が伝わってくるようなお宅だ。
車で離れる時、バックミラーにこちらが見えなくなるまで見ていてくれる相手の姿を見るとなおさら暖かいものを感じる。
このような「心の余韻」とも言うべきものが大事にされない、または意識されないことがだんだん多くなってきているような気がする。
こういうことは最終的には一人ひとりの人間性の発露でもあるのだが、ある程度は教育や啓発などでも人に教えることは可能だ。
私は昔、部内朝礼でこの話をしたことがある。その時ある女性社員から、「私は何も考えずに(前者の方法で)人を見送っていた。それは非常に恥ずかしいことでした。これからは人の気持を考え、これまでのことを改めます」といわれたことがある。この時はちょっぴり「話のしがいがあった」と思ったものだった。
小売業に勤める人にはこういう心の余韻が分かる人が望ましい。