132.小売業の「説明責任」

「説明責任」が必要なのは政治の世界だけではない
政治の世界でよく「説明責任」という言葉が最近よく使われる。
政治資金について「適切に処理している」という政治家。それに対して「それでは『説明責任』を果たしていない」というやり取りがよく知られている。
ミートホープ社のような「嘘つき」は論外としても、小売業で顧客に商品やサービスについての「説明責任」はまだまだの感がする。

売場商品をめぐる例
「無印良品」商品は、商品ひとつひとつに何にこだわってこの商品を作ったかの説明がある。売場にも随所にこの説明があり、顧客の信頼と支持を得て成長してきた。最近は出来上がったブランドイメージに胡坐をかいているかのような印象があるが、よい実践例の一つだろう。

量販店のPB商品は価格が安いことが基本的な特徴だが、その商品ひとつひとつに「なぜこの商品なのか」という説明が少ない。PB商品の食品では食してみてがっかりすることも少なくない。

松坂牛とか○○牛という表示も本当にその原料なのかの疑問を感じながら購入している顧客も多いと思う。そればかりか、○○牛の定義や特徴について何の説明も無い売場がほとんどだ。

健康に対する世の中の関心が高まるなか、カロリー、塩分などの表示のある商品も
少ない。メーカー側の協力も必要だが、インストアで作る惣菜などの商品は販売業者の責任領域である。
「説明責任」という概念とはやや離れるが、例えば血糖値に問題を抱える人がどういう食材を選んだら良いのか、またどういう食材を避けた方が良いのかといった提案情報も売場には少ない(あるいはほとんど無い)。

小売業は仲介業ではなく、提案業であることは古くから言われているが、商品現場ではまだまだ価格中心ではなかろうか?